(ニューヨーク市立図書館)
ビルとビルの長い隙間に射し込んでくる朝陽を背にうけて、
黒いコートに肩掛けカバンをかけ、
胸を張って歩き去るビジネスマンに見入った日があった。
〇
ここニューヨークマンハッタンの
グランドセントラルを出て西へ向かう46ストリート、マジソン街の交差点で、
振り向きかげんに手を挙げた我が息子よ。
21世紀、スタートの1月だった。
いつの日かこの時を思い起こして、幾多の発想の基点に為すすべを培へ。
明日の世界の創造を想いて、はばたけ、
はばたけ!
「全て糧なのさ。」
私は、そう言ってやりたかったのだ。
君はここで、世界のビジネスエリート達とともに、
何を想い、互いの心を交わして働いているのか。
ここが世界の最先端で、新しい経済への試練がここから始まるなどと、
いちいち考えていられないほどの人生を、どう受け止めているのか。
このありとあらゆる国からの、使命を託された人々と、
一体どのようにコミニケートを続けるのがグローバルだと感ずるのか。
若き君に与えられたステージに、何の不足もありはしない。
いつの日かこの時を思い起こして、幾多の発想の基点に為すすべを培へ。
明日の世界の創造を想いて、はばたけ!
そう言ってやりたかったのだ。
そうさ、全てが糧なのだ。
厳しい寒い冬だったと思うだろう。
今日、ドアの外は雨、
帰国する私はグランドセントラルステーションのホールに佇み、
「それじゃ、しっかりと」と出勤する君を見送って、
空港へ向かうために荷物ケースを押し始めたものの、
もう一度君の姿を目で追って、振り返る。
雑踏の中に見えなくなった君に、
「全てが糧なのだ!」
私はそう言ってやりたかったのだ。
いつの日かこの時を思い起こして、幾多の発想の基点に為すすべを培え。
明日の世界の創造を想いて、
はばたけ!と。
君は立ち上がり、
君は立ちすくみ、
そして叫ぶだろう。
ならばせめて、その叫びは若さで示せ。
そう言ってやりたかったのだ。
○
時は流れるが、
熱い想いは流されやしない。
しっかりと見つめた、人生の目標は、
少しの風や、そこいらの人間のつくる洪水なんかではびくともしやしない。
晴れた空は必ず戻ってくるものなのだ。
ニューヨークと東京を行き来するジェットの道は高度12000メートル
そこには何時も青空がある。
そうさ、いつも青空を飛びつづけようじゃないか。
2001/1(NYからの帰路) 風次郎
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