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風次郎の『八ヶ岳山麓通信』 No287
雪の新年の八ヶ岳
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雪の八ヶ岳山麓へ 2020・01・15
早朝の東京は激しい雨が降っていたが、列車が高尾の山にかかる頃はその雨もあ
がり、さらに相模川を上って大月に至る頃は、陽ののぼる気配がわかるほど山肌を
覆う雲の動きが来光に拭われるように活発になっていた。
あたりの山の稜線は薄っすらと雪を纏った様子である。
今年はまだ拝していない冬姿の八ヶ岳を眺めるのが楽しみであった。
笹子トンネルを超えて勝沼からの甲府盆地は、まだ雲に埋まったままだったが、
陽が当たり始めるとたちまちその雲はどいて、平地の塩山、山梨市の駅を過ぎる頃
からは新雪でスッポリト化粧した南アルプスの山々が望めた。裾のあたりにたなび
く雲が配されれば、余計に高く見上げられる甲府盆地からの南アルプスであるが、
この朝のように清々しく晴れた日に勝る見時は無いと思う。ましてその新雪を戴い
たときに遭遇する幸運はまれである。列車を降りてしばしその神々しい山容のパノ
ラマを味わいたい感激に誘われる思いであった。
列車が甲府駅を発つと、私は進行右窓の八ヶ岳が気になるのであるが、そちらは
まだ雲に覆われたままであった。しかし、左側には朝日を正面に受ける南アルプス
の駒ケ岳が、次第に見上げる位置に近づいて行く車窓に広がってきた。それに並ん
で、今朝の新雪を置いた鳳凰三山が、まだその中腹に釜無川の谷に流れる雲を湛え
たまま、きらきらと朝日を浴びているのであった。
雲はどんどん薄れ、やがて列車が日野春や長坂の台地を走るようになると、覆い
被さるような北壁を見せ始める駒ケ岳が、大きくその姿を現すのである。
山肌に雪があると高山はその荒々しさを、余計に厳しく見せつける。雪が新鮮で
あればあるほどそうだと思う。
しばらくの車中これを堪能して、私は海抜950mの富士見駅に降り立った。
やっと雲がどいて、八ヶ岳は次第に南の空から西斜面にも陽の光が差してくる時
間であった。
富士見からの八ヶ岳は正面が編笠と西岳、奥に権現と赤岳がちょこんと見え、そ
の北にやや大きく阿弥陀岳と並ぶ。まだ阿弥陀やその北側は雲に隠されてはいるが、
全ての峰は新雪に覆われ、私の眼には冬山らしく落ち着いて見える。
文字通り新年の雪八つであった。
雪は里にも5センチほど積もっており、駅前広場もいちめんの雪の原を、雪を固
めるような気分で歩いた。自宅を出るとき、昔から山行きに履いていた登山靴を出
して履いてきて良かった。その感触もまた今となっては貴重である。
南天寮までは10分もかからないのであるが、わざわざ高見の道を山を眺めなが
ら歩いた。八ヶ岳の稜線は、やはり荒々しく輝き、中腹は雪を絡ませて淡く、裾の
カラマツ林はやや透けたように広がる八ヶ岳西麓の雪景色である。
その情景は里山に及び、間近の屋並みに至るまで白い銀世界の広がりであった。
やがて陽が高くなるにつれ、入笠山をはじめ西山の釜無連山全容がすっきりと陽
を浴びて、雪の朝の山里の風景は完成されたかのようである。
南天寮も、秋に手を入れた庭の林が、その跡かたの寂しくなった枝の少なさを見
せぬとの思いやりとでも言いたいような、雪が飾っているかのさっぱりとした見栄
えである。
「今年もこの里に自然の静けさを求めて通うことにしよう」と、庭の雪を掴み、
手にした雪を擦って感触を楽しんだ次第である。
風も無い穏やかな雪の朝だった。
風次郎
南アルプス 鳳凰三山 と 駒ケ岳
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