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シクロを楽しみ、ホアンキエム湖の畔にしばらく寛ぎの時を過ごす。街の灯りが煌
びやかに見渡せる時刻になっていた。
次に向かった先は水上人形劇(ヲーター・パペットリー)、ハノイを代表するエン
ターテイメントであるとのことだった。
1000年も昔から伝わるもので、もともとはタイピン省の農民たちが収穫祭のと
きなどに屋外の水辺で演じていたのだが、11〜15世紀(李朝、陳朝)の頃には娯
楽として宮廷にまで広まったそうである。
劇場は湖畔の通りにあり、私たちが到着した時は既に訪れた観光客で入口はぎっし
りと埋まっていた。大人気のようである。
ステージに設けられた水面を舞台にして、水中で操られる人形による、コミカルな
3〜5分の短編が15本ほど演じられるのだった。言葉はわからないのだが、ほとん
どが民話や地方の習慣などを題材にしたストーリーで、六人の演奏家によるベトナム
伝統楽器のこれまたコミカルな音色とともにとても楽しく観ることが出来た。
演じ手は国立人形劇団員で、その数60人にも及び、フランス、イタリア、日本、
インドなどでも公演しているとのことである。
出しものの中には、ホアンキエム湖(越: Hoan
Kiem/湖還劍)の伝説由来があっ
た。物語は、黎利が湖の宝剣を手にし、その剣によって明との戦いに勝利する。その
後、黎利は湖の上で金の大亀 (Kim Qui) から、平和になったので持ち主である竜王
に剣を返すように啓示され、湖の中心近くにある小島で剣を返した。それゆえ、湖は
現在の名前で呼ばれるようになったということのようだ。小島にはその由来を語り、
亀の塔(Thap Rua) が建てられている。
○
旅の終わりの夜だった。繁華街のそしてベトナム風フランス料理という店でツアー
メンバーでの最後の会食だった。ベトナム風というのは、何のことはないスープとソ
ティーがついたステーキの皿でありきたりであった。
大体においてベトナム料理は、アジア諸国の地域料理全般にそうであるように、
一皿を数人で分け合って食べるものが多い。食べやすいといえば食べやすいが、
私には好んで美味というものではなかった。数種類たれを好みに食べる肉や魚、
それに甘いもの、ピリカラの野菜等が多かった。
到着した日の夜、ホーチミンのディナークルージングでいただいたビーフン、ゲー
ハップ(かに)、トム(海老)、スーハップ(巻きつけたバーベンのようなもの)は
美味かった。野菜ではほとんどのところで出たホーレンソーが美味しかった。ほーれ
ん草の葉で包んだ魚など気が利いているように思った。私流に言うとほとんどが肉野
菜炒めだったようだが、そう言ってしまえばあまりに味気ない。或いは食客としてセ
ンスがないということになるだろう。
幸いにして地元ビールが口に合ったが、処によってはハイネケンなどもおいてあっ
た。日本銘柄は無かった。大抵がハーフサイズの缶で$2だった。日本酒に合う料
理とはいえない。
空港へ向かうバスは、一体どのあたりを走っていったのだろうか、そう思うほどあ
ちこちの街角を曲がり長く走ったように思った。街灯りは少しづつ遠のき、やがて煌
々とした中のハノイ・ノイバイ国際空港に近づいていった。
(風次郎)
劇場の民族楽団
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