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風次郎の世界旅
 西欧の春の旅
(13)

music by TAM Music Factory

                  
                  国際的な賑わいのキューケンホフ公園エントランスとチューリップでいっぱいの園内                        

     13.花を楽しむ     

                   キューケンホフと花パレード

                         オッテルローからキューケンホフへ向かう。 
                         バスに乗った時は少しどんよりしていた空模様も時々太陽が見えるほどに快復して
                        心は軽やかだった。オランダは海より低いところが多いと言われるほどだけに、車窓
                        からは平らかな風景が何処までも続いて見えた。
                         いよいよ今回の旅のメーンイベントとも言えるチューリップの鑑賞だ。
                         花はオランダの特産物、EUから輸出される装飾用植物の70%、球根の93%を
                        生産している。キューケンホフはアムステルダムの南西約30kmの地、15世紀に
                        は狩猟場だった所であるという。ヤコバ・ファン・バイエレン(ジャクリーヌ・ド・
                        エノーのオランダ名)の城の厨房で使うための香草を集める場所だったので、厨房の
                        意のキューケンをとってキューケンホフと呼ぶようになったのが由来だそうだ。
                         道路が一面の花畑の中に続くようになったあたり、私たちはキューケンホフ公園の
                        見えるレストランで昼食をとった。周囲は見渡す限りチュウリップの畑、花の刈り取
                        りの時期が品種毎にずれがあるので、満開のチューリップが一面にどこまでも咲きそ
                        ろっているこんな状態の期間はほとんどないとのことだったが‐‐‐、恵まれたと言
                        うか色とりどりのチューリップが晴天下に一面に輝く素晴らしい光景を眺めることが
                        出来た。この辺りは明日にも順次刈り取られていくと言うことである。全くついてい
                        た!
                         さすがにパレードの前日とあって公園の入場門は世界中からの観光客が列を作って
                        いたが、団体通路から難なく入場できた。 

                         公園の入り口は南西の角にあって、そこからは北の奥にある風車の展望台が良く見
                        えたのではなと私は先ずそこを目指した。散策路は万華鏡のように縦横に巡らされ、
                        それぞれの観光客が花に親しみつつ過している。
                         オランダ特有の変わりやすい天気は、カンカン照りかと思うと急に雲が寄ってきて
                        雨が降るなど、びっくりさせられたりしたが、公園に入ってからは概ね好天で良かった。
                         キューケンホフ地域は、スロット・タイリゲン城の領地の一部と、人の手の入って
                        いない林や砂丘から成り立っている。その一画にアムステルダムのフォンデル公園の
                        設計をしたことで知られる造園家、J.D. ゾッハーと L.P.ゾッハーに城周辺の庭園の
                        設計の仕事が委ねられ、英国式庭園として完成されたのがこの公園であるとのこと。
                         時のリッセ市長と有力な球根栽培業者・輸出業者の提唱により1949年からは屋
                        外球根花展示会が催されるようになり、世界中から人々が訪れるようになったと言わ
                        れている。今はオランダで最も重要な観光名所のひとつになり、花がテーマで公園の
                        公開も3月の下旬から5月であるが、来園者は既に4500万人に達する見込みとの
                        ことであった。

                         風車展望台からは園内が一望出来、なおまた先に続く外のチューリップ畑の広がり
                        を眺めることが出来た。高いところから見ると、場所によってはもう刈り取りが済ん
                        で地肌の見えるところもあった。
                         公園だけでも32ヘクタールにおよび、遊歩道は総延長15kmにもなるという。
                         風車から少し北側は、古い森がそのまま残された中に散策路が施されて伝統的な日
                        本庭園になっていた。池、橋、築山といったモチーフは私たちにとっては馴染み深い
                        ものであるが、咲いた花と緑に囲まれ、異国の人達で賑わいを見せる日本の情景は捨
                        てたものではない。嬉しい気持ちになる。
                         日本庭園の先は女王の名を冠した「ベアトリックス・パビリオン」、そして大きな
                        公園の反対側に建国の祖「ウィリヘルミナ・パビリオン」、公園の中央に一段と広い
                        建物「ウィリアムアレキサンダー・パビリオン」、出入り口に近い南側に前女王の名
                        を冠した「ユリアナ・パビリオン」と国家の色を称する「オレンジ ナソウ パビリ
                        オン」、それぞれゆかりのある名称のパビリオンが配置されていた。国家意識を誇っ
                        ているのであろう。
                         パビリオンでは花に因んだ造形展示や、ステージでのアトラクションが行われ、ど
                        のパビリオンにもカフェテラスが設けられていて寛ぐことができた。私たちは中央の
                        アレキサンダーパビリオンで吹奏楽のコンサートを2〜3曲聴きながらコーヒータイ
                        ムを楽しんだ。
                        庭園に敷かれた水路は、池や噴水にも巧みに配置され、色とりどりのチュウリップ
                        は微妙な細工をしたかと思われる程、豊かな改造品種がその色彩と香りを競って咲い
                        ている。園内にはヒヤシンスやスイセンなど春の球根花も加えられ、その数700万
                        株もの花が植えられているとのことである。
                        庭園と花の美しくカラフルな写真を沢山撮って堪能した。

                  フラワーパレード

                         翌日、いよいよ「花パレード」の日が来た。
                         ホテルはアムステルダム市街地から南西スキポール空港に近いホーフドロープとい
                        うところにあった。期待の日なのに、朝からどんよりで、いつ雨が降ってもおかしく
                        ないと言った空模様。私は早朝ホテルの界隈を散歩に出たが、その頃はまだ雨は無か
                        ったのに朝食中に外に眼をやると最早降り始めていた。しかもこの様子は本降りだ。
                        ――ヤレヤレ!
                         しかし、パレードは年1回のこと、雨が降っても開催されるということなので先ず
                        それは良しと構えた。
                         この行事は海に近い球根栽培地区に於いて、毎年4月の第3土曜日に開催されるの
                        だという。
                         アムステルダムの西の郊外、海岸沿いの小さなリゾートの街ノールドワイクから、
                        海沿いに北の街ハーレムまでの約40キロの道路のコースが会場である。途中昨日堪
                        能したキューケンホフも通るとのことだった。
                         日本の旅行社達が連絡を取り合って、あらかじめ観客の空いていそうな沿道の近く
                        のホテルのレストランを共同予約したとのことで、私たちは「海岸寄りは天候が少し
                        でも良いように」と祈りつつバスに乗り込んだ。
                         ホテルに着いても雨は止まなかった。パレードが通過する11時までにはまだ1時
                        間ほどあった。が、濡れる覚悟でコートをまとい、傘を差して外に出てパレードの道
                        路の方に歩いた。
                         ところがである。15分もたったころ、空が明るくなってきたのであった。
                         そして、30分後には雨が上がった。みんな顔色を変えて、大喜びで道路脇を確保
                        し合いパレードの到着を待った。私は近所の住宅のフェンスに足場を求めるなど、後
                        ろからでもカメラが構えられるような場所を探したりした。

                         暫くして、遠方から楽隊の演奏する音楽が聞こえ、パレードのプロモーション部隊
                        が先導し、その後をマーチングバンドがやって来た。それに続いて花で美しく彩られ
                        た20〜30台もの山車が次々に行進してきた。
                         まさに、素晴らしい「フラワー・パレード」はイベントシリーズのハイライトだ。
                        飾られた車の何万もの花は全て生花で、何百人ものボランティアの人々が参加してい
                        るのだと言う。
                        集まった観衆はみな、その壮観なパレードを一瞬たりとも見逃すまいと、嬉々とし
                        てまた必死に気に入った山車を追い続けている。その場所で見続けるだけで30分は
                        掛かった。
                         終着の古都ハーレムに到着するのは夜20時になるという…、丸1日がかりの行進
                        である。

                         はなは喜んで、仲良くなった旅の仲間とはしゃぎ目的達成感に満足であったろう。
                         それにしても、パレードの来る頃には朝の雨は跡形も無く晴れて素晴らしかった。
                         陽の光を浴びて行進する花で飾られた山車は、それこそ華やかさに盛り上がり、春
                        の祭典そのものが満喫できたように思う。
                         これこそ天の恵みあってのことだったのかもしれない。

                         私達はホテルに戻り、他の会社のツアー団体、とは言えレストランにあふれた同じ
                         日本人同士の親しみの中で、恵まれたパレード鑑賞を喜びつつ昼食を戴いて思い出を
                        したためた。
                              

        
            花パレード   

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