☆☆☆

風次郎の世界旅
 ローマ2018
(2)

music by KASEDA MUSIC LABO

   
    成田発のフィンランド航空AIRBUS A350-900

ローマ2018(2)

(2)出発 

             9月18日、3時半には目が覚めた。長い間思案していたローマへ一人旅の日が来た。
             前日までに何かと準備を重ねてきたとはいうものの、持ち物などそわそわと取りまとめ、
            机上のPCを開いてメールのチェックを怠らず、支度を整えた。
             5時には愛犬Picaともしばらくの間散歩ができなくなるからと、近所を一周してくるな
            どたわいのない時を過ごし、気遣ってくれる妻はなの見送りを受けて6時前に家を発った。
             成田のクラブツーリズムのカウンターに8時30分に間に合うには充分である。
             やや曇りがちの街はまだ静けさの中で、小型のスーツケースを音を立てて引っ張るのも
            気が引けたから手に提げて運んだ。着替えが少し入っているだけだから背負ったリュック
            と一緒でも苦にはならなかった。
             JRの西国分寺から中央線を神田まで行き、山手線で日暮里から京成に乗り換えれば、旅
            程の始まりを感ずる。京成に乗る前に駅の売店で当日の新聞を買って車中のくつろぎの足
            しにするが、――新聞は数日後に行われる首班指名選挙に阿部優勢を伝えるのみで大した
            記事はなかった。
             暑かった夏の終わりに、茂る車窓の緑の移りを眺めるのも、あらためてのように日本の
            風景と認識する感は否めず悪くはなかった。
             8時15分過ぎには成田第二ターミナルに着き、少しコンビニで買い物などして、カウ
            ンターに行くと、既に他の参加メンバーは到着して手続きに入ったとのこと、係りの女性
            が私の Eチケットを渡してくれ、搭乗券を受け取ったらまた来るようにとのことであった。
             フィンランド航空のカウンターに行って荷物を預け、搭乗券を持ってまたクラブツーリ
            ズムのカウンターに戻って添乗員と会った。ベテランらしい感じの上谷三佳さんという女
            性で「上から読んでも、下から読んでも、カミヤミカ」という自己紹介が印象的だった。

             11時発、フィンランド航空ヘルシンキ行きへの搭乗は各自でとのこと、リュック一つ
            で身軽にもなったし、1時間以上の余裕があったので、久しぶりの空港内をぶらぶらした。
             このところ急激に増えているアジア諸国からの乗客がどの店にも多かった。
             朝食がまだだったので、マクドナルドに入ると、ここも中国の若者たちで溢れていた。
             通路の近くに席が空いていたので、コーヒーを飲んでいると、思いがけず元同じ会社の
            同僚 U氏に声を掛けられた。彼には先般会ったばかりで、近くローマへ行ってくることを
            話してあったが、まさかここで会う偶然にお互いにびっくりした。彼はアメリカに住む娘
            さんが帰省を終えて渡米するので送ってきたところだとのこと。それにしても旅立ちに親
            しい顔に会えて良かった気がした。

             フィンランド航空の出発ゲートは Dスポットの47、成田では一番遠いところである。
             予定通り10時30分には搭乗が開始されたが、満席になってもなかなか出発しなかっ
            た。自宅に「これから出発する」などメールを入れたり、初めて乗るAIRBUS A350-900に
            関心をもって新型機の説明書を読んだりして暇つぶしをした。take offした時は1時間遅
            れの12時になっていた。
             通路側の席で外はよく見えなかったので、客席のモニターから機の進んでいる地上の様
            子の移り変わりを見ていたが、すぐに雲の中に入りさらに抜けて雲の上に出て何も見えな
            くなった。
             モニターからしばらくフィンランドの流行の曲など聞いてみたが馴染めなかった。
             モニターで航路の画面を追っていくと、成田(東京)―モスクワ―ヘルシンキ間の各都
            市毎の博物館を中心にした紹介アルバムが収録されていたのでそれを楽しんで観た。 
             14時ごろになって食事が出された。ビーフとジャガイモのシチュー、チーズ、ハムな
            どだったがワインとともに丁度良く口に合って、良かった。食後は眠気に誘われるまま2
            時間ほど眠り、目が覚めると17時頃になっていた。
             体の調子には気を配っていこうと決めていたから、最後部の少々のスペースを使って足
            腰の屈伸で体をほぐした。カーテンの向こうはアテンダンスの仕事場だったから出入りす
            る職員と言葉を交わしてみると、フィンランドの言葉は英語に近い言葉だと言っていた。
             国は平坦で静かな国柄だとも言っていた。スカンジナビア半島は何度も上空を飛んでい
            るのだが、降りたことはない。トランジットではあるが降りるのは今回が初めてである。
             ヘルシンキには現地時間15時30分に着いた。日本とは時差が6時間あるが、私は日
            本時間の時計を直さない主義なので自分の時計は21時30分であった。

             EUへの入国審査、セキュリティーに手間がかかったし、到着時間が大幅に遅れているの
            だから、トランジットは駆け足のごとくで添乗員の上谷さんはてんてこ舞いしていた。
             同じフィンランド航空のローマ行きは国内線17番ゲートから15時55分発だった。か
            なり遠かった。私たちはかれこれ30分遅れで乗り込み、AY1763便は飛び立った。
             同じ AIRBUUSだがA321は大きさがボーイングの727レベルくらいで席は3人掛け2列
            だった。ローマまでは3時間半、EU域内ということで国内線扱いとのことであり、機には
            モニターもなく、飲み物以外は有料サービスと殺風景だった。
             空は明るかったが、機は雲の中を飛び続けていた。ヘルシンキでは気温が18度と言っ
            ていたから秋が来ているのだろうが、ローマはまだ暑いと聞いている。イタリアの頭が平
            べったい松のある風景を思いながら、リュックからガイドブックを取り出して、似たよう
            な名前の多い教会の解説などを予習して過ごした。
             フィンランド航空のアテンダンスは年老いた、むしろ老齢とも言いたい女性が4〜5人
            で頑張っていた。女性がよく働く国だそうである。

             19時(ヘルシンキとの時差+1時間)近くなっているのだが、機はまだ雲の上で陽を
            浴びていた。機体の翼が白い雲の上で丁度反射する陽光が機内を明るくし、そんなまま着
            陸態勢に移っていった。久しぶりのフライトで体が慣れていないのだろう、耳がツーンと
            痛かった。下降を始めたのだ。
             19時30分ローマ・フィウミチーノ空港に着陸した。
             滑走路を離れたところからバスに乗り、空港ビルの中に入ると、多くのターンテーブル
            が皆まわっていて、乗客は大混雑のように見えた。私たちの機の番号が端の方に表示され
            たところだった。思いのほかすぐに荷物が流れ出してきた。慌てふためいて乗ったから不
            安だったのだが案ずることはなかった。
             入国審査はEU方式だから忙しい思いをしたヘルシンキで済んでいる。13人のメンバー
            はそれぞれの荷物を手にして、迎えのバスに乗った。大型バスはスキズキであった。
            やがて暗くなり始めたローマの市内に入り、街明かりに照らし出された教会の塔や、街
            並みに群れる人々の姿を窓から眺めながら、期待が膨らむのを覚えるのであった。
             サンタ・マリア・マジョッレ教会の角を曲がってカブール通りを少し下ると右手に私た
            ちの滞在するホテル、グランド・パラチーノであった。 既に21時をかなり過ぎていた
            ので、私は部屋を与えられるとすぐに休むことにした。

* 『風次郎の世界旅』ローマ2018(3)へ
* 風次郎の「東京ジョイライフ」ホームページのトップへ
* 『風次郎の世界旅』 トップページへ戻る
* 風次郎の『八ヶ岳山麓通信』へ
* 風次郎の『善言愛語』へ