☆☆☆

風次郎の世界旅
 ローマ2018
(16)

music by KASEDA MUSIC LABO

 
    夕暮れのピンチアーナ門     

ローマ2018(16終章)

            16. ヴェネト通りから市内へ、そして帰路

                       ヴォルゲーゼ美術館を出た時はまだ西の下り坂になった森の向こうから低い陽が差していた。
                      正面の広場の噴水の水で手を洗うと冷たくて清々しかった。
                       真っすぐピンチアーナ門へ続くボルゲーゼミウジアム通りを歩きながら思い出す、鑑賞した
                      数々の作品の余韻が過った。満たされた気分だった。これで今回のローマ訪問のテーマは全て
                      終わった。ゆっくり歩いて街の空気を吸いながらホテルへ戻ろうと思った。

                       ボルゲーゼ公園からピンチアーナ門に続く広場にもまだ大勢の人だかりがあった。昨日は朝
                      の早い時間だったから閑散としていたが、車も多く、それを避けてカメラを構えるのも戸惑う
                      ほどだった。
                       アウレリアヌスの城壁は高さ約6.5メートル×厚さ3.5メートル×長さ19キロメートルにわた
                      る。蛮族の攻撃や侵入を防ぐために 271年に着工して造られたものだ。ローマの街の北側出入
                      り口であった。
                       5世紀前半に時の皇帝ホノリウスによって、もともとあった小さい門は改築されたが、1808
                      年にはポポロ門の近くに新しい門が開通したので、20世紀前半までピンチアーナ門は閉ざされ
                      ていたという。
                       城壁とか城門となれば守りと攻めの感覚が伝わる。私はそんな気持ちでサイドの歩行者用の
                      門を潜ったが、ここは現代になって加えられたものとのことである。

                           
                                 ヴェネト通り                       バルベリーニ広場

                       ローマの上品な通りと謳われるヴェネト通りをもう一度歩いて下った。昨朝通った時に門に
                      近いところにあったカフェーを見つけてあったのだが土曜日の夕方なのに休みになっていたの
                      で、ここに寄るのもさっぱり諦めた。
                       アメリカ大使館のあるカーブを曲がって、バルベリーニ広場にある蜂の噴水のところで一休
                      みした。二つの噴水のベルニーニ作品が今見てきたばかりのボルゲーゼ美術館のベルニーニと
                      共に頭の中で並び、とても親しく眺められた。車を避けながらロータリーの真ん中にあるトリ
                      トーネの噴水に近寄って、ネプチューンの息子、半身半魚の神トリトンが、ほら貝を吹く姿を
                      を見上げると、噴水の水が飛んできて、疲れが取れるように気持ち良かった。

                       坂を上り、国防省の脇からナッツナーレ通りへ出ると、スーパーやデパートがある通りは週
                      末のショッピングの客で賑わっている。
                       イタリア銀行まで下って、コロッセオへ通づるセルペンティー通りを進み、レオニナの飲み
                      屋街を横目で見つつグランドパラティーノへ戻った。
                       一日の長い歩行日程だった。

                       夕食はホテルの部屋で一人でありきたりに済ませ、インスタントのコーヒーを傍らに集めた
                       資料などを眺めながら静かに寛ぎ、最後の夜を過ごした。
                       帰り支度の荷物をまとめ、1日中歩いたからゆっくり風呂に使って、早めに床に就いた。
                       大過なく滞在を終えられそうで良かった。

                                                     *

                       やはり朝は4時に目が覚めた。天気は良さそうだった。
                       朝の散歩に出たが、やはり足がテルミニ駅に向いた。カヴール通りの緩い坂道を登っていく
                      と、もう地下鉄入り口のバールは開いていて客がいた。日曜の朝でもいつもと変わらない様子
                      だった。何度も通ったエスクリーノ広場でS・M・マッジョレ教会を背景にオダリスクを見上げ、
                      たあと、テルミニ駅のドアーの前に立って500人広場のバスの出入りを眺めた。
                       日曜であれば、早朝の駅に着いた大きな荷物を持った客は、ドアーを離れてそれぞれの行先
                      を求めてバスに乗り、或いは地下鉄に潜って行く。休日の早朝は他国の観光客と言うより地元
                      の人々が多いようだ。この国の人々の生活が今日も普通に始まるのだろう。
                       ホームにこそ上がれなかったもののまた駅舎内を歩いて、共和国広場ももう一度眺めて、ナ
                      ッツナーレからホテルに戻った。

                                                 * * * * *   
                 帰路

                      6時半、朝食を軽く済ませて7時半の出発のバスを待った。13名の参加メンバーと添乗員
                     の上谷さん、皆笑顔で帰国の途に就くバスはホテルグランドパラティーノを後にした。
                      バスはフォーリ・インペリアーリ通りから、お決まりのエマヌエル記念堂の前をぐるっと回
                     って、フィウミチーノ空港を目指した。
                      日曜の朝のこともあって、道路は空いていて、空港にはかなり早く着いたが、チェックイン
                     カウンターがなかなか開かず、1時間ぐらい待たされた。
 
                      以前はローマ土産は空港で売っていた革製のブックカバーを求めていたが、時世柄今は求め
                     る人も少なく全く置いてないようだ。今回は何もなくて良いのだからとあっさり諦めて、国内
                     線ロビーでコーヒーを飲んで搭乗を待った。
                      かなり前の時間に私の姓での呼び出しがあり、慌てて搭乗口へ駆けつけると同姓の人違いだ
                     った。アクシデントでなくてホッとした。
                      11時20分発フィンランド航空AY1762ヘルシンキ行は時間通りに出発した。
                      3時間半の国内便は機内サービスが飲み物に限られるので、ここでもコーヒーをもらって静
                     かに旅の思い出に浸って過ごした。

                      ヘルシンキでのトランジットは国際線搭乗まで約1時間であった。ここでも待合ロビーを歩
                     いたが、気になる物もなく、食欲も無かったので33番の出発ゲートの近くで回りの人や、行
                     き交う人の様子を眺めながら座って過ごした。

                      ヘルシンキ発17時20分フィンランド航空AY0073便は予定通り飛び立った。
                      私の席の近くには同じグループの仲間がいなかったので、話し相手もなく旅の記録を書いた
                     りモニターの映画を観たりして過ごした。さすがに疲れが出たのか、2回の食事もちょっと手
                     を付けた程度で、その都度ビールを飲もうとしたがうまくなかった。
                      機は順調に飛び、翌日日本時間月曜日の朝、8時半に成田に着陸した。
 
                      荷物を受け取り、税関チェックのところで、お世話になったH夫妻にお礼を言い、懇切に面
                     倒を見ていただいた添乗員の上谷さんにも会い、お礼と挨拶をして、外に出ると全く解放感に
                     浸った。やはり日本人は日本の中に居るのが一番だト――。
                      家に電話で帰国を告げ、スタスタと京成電車に乗り、国分寺の自宅を目指した。
                      家路をたどる電車に乗ると、改めて良い旅だったとの感に浸るのだった。        (完)

                                      
                                       1週間滞在した「グランドパラチーノ」
                                                                    風次郎

 

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