スリ・マライユ


民族舞踊ショー

              どこの国へいっても初めての時は、大抵民族のショウを観ることにしている。

              歌や踊りは美しく凝縮された民族文化の歴史を物語っているように思う。博物館へ行って、もう少し幅広く、学識的に
               説明してもらう時の理解にも、とても役立つ。それに何よりショウとして華やかに民族の美男美女にお目にかかれる上、
               観客達の国際的な交流に多少溶け込めるチャンスでもある。楽しくその地での時を過ごすには絶好だ。

              KL三日目の夕食には民族無踊のディナーショーを観に行くことになっていた。
                ガイドのカーさんが7時に迎えに来て案内してくれるという。
                場所はホテルから道を隔ててすぐ向かい側、歩いて混雑している広い道路を渡るだけだったが、会場の様子が定か
               でなかったし、マレーシア料理が山ほどあって選択に戸惑うこと必定につき態々来てもらったと言う訳だ。

                 プリンスホテルの前の道は、コンレイ通りという幅は広いが、1000mほどの短い通りであった。ホテルのエントランス
               から右方向はラジャ・チュランの大通りが近い。ラジャ・チュランからコンレイに入ったところにも高級レストランがあり、
               マレー特有の高床式、トンガリ屋根で民家風のデザイン凝らした建築が目を引きつけていた。それに加えて夜は艶や
               かなイルミネーションが異彩を放っていた。そこから程好いグリーンベルトを挟んで背の高い木々の森があり、レストラ
               ンシアター『スリ・マライユ』はその森の中にあった。同じマレー建築でも大型の様式で建てられており、木造(風)の本館
               は正面にステージ左側にビュッフェ(高級レストランと言え、KLではどこもこの形式のよう)を設けて入口からステージ側
               にやや傾斜した段々にテーブル席が配されていた。

                私たちの席は「B」、ステージの正面右側一番前の席だった。
                カーさんに「この席だと必ずステージへ上がれ、とかいろいろ煩わしいなあ−」と苦情を言ってみたが、どうやら“せっか
               く特別のいい席をとったのに”との様子なので、「ステージへ引っ張り出すのを断っておいてほしい」と釘をさした。

                カーさんはビュッフェに並んだ何十種類の料理を案内し、その幾つかを丁寧に説明したあと、ガーデンビュッフェも利用
               できるからと言って、建物の外の屋台を案内してくれた。そして、「ホテルは道を渡るだけだから帰りはいいでしょうね。」と
               言って帰っていった。

                さてそれでは、この大量なマレー料理を味わなければ!と、ショータイムに入るまでにせっせと多種類の料理をテーブル
               に運んでは食べた。美味しかったもの、異様なもの有った筈だが、ほとんど忘れてしまって今となってはなかなかそれぞ
               れの料理を思い出せない。ただドロドロとしたドレッシングを使う料理が多いようだったし、味は比較的淡白だったように
               思う。多くの香辛料を使った料理が出ていた。しかし、私は香辛料にあまり感が優れていないので、その良いところを味
               わえない性のかも知れない。総じて私にはマレー料理はそう美味いと言うか、好んで食べたくなる物ではないように思えた。
                はなは結構味わっている風に見えた。

               ビュッフェにはマレー料理だけでなく、ニョニャ料理やインド料理、もちろん純な中国料理も並んでいた。マレーではパー
               ティーでもアルコールは飲まないと聞いていたが、私たちの席にはビールが運ばれてきた。カーさんが気を利かしたのか
               な?と思って周囲を見ると、あちこちで適当にアルコールを口にしている様子だったのでホッとした。

                ショーは民族の結婚式の様子を表現するところから始まった。男性と女性の声量ある歌手の歌に合わせて、花婿、花嫁を
               囲んで若者たちが民族衣装をひらひらさせて踊った。

                結婚式が代表的な人生のショウである事は間違いないが、それが文化の中心に存在する民族は純朴だと思う。言葉はわ
               からなかったが、袖に映し出される英語の解説で見当がついた。

                それほど激しくはないがハワイアンダンスと同じようにいくつかの表現パターンがあり、それを繰り返しているようにも見えた。
                案の定、観客からも花嫁花婿の祝福をと大勢の踊り子が舞台を降りてきた。はらはらしたが、私たちのところには手を差し
               延べず、ヤレヤレと思った。

                ステージでは老若男女観客席から上がっていった人達も混じって、見よう見まねの踊りが始まった。祝福された花嫁花婿も、
               最後に一緒に踊ってそのシーンは終わった。

               そのあと、さまざまなパターンの民族の踊りが舞われた。男だけのもの、女だけのもの、裸に腰蓑姿は古い原住民の踊りの
              ようだった。いろいろな組み合わせで民族舞踊は続いた。が、パターンはいかにも似た構成のように感じた。音楽も強く印象に
               残ると言うほどのものはなく単純なリズムのものだった。


                1時間ほどのショウタイムの終盤に、ステージでの写真撮影が行われ、私たちもそのチャンスは捉えた。隣テーブルのイン
               ド人のカップルとバーターでカメラを預け、預けられ民族衣装の踊り子たちと記念撮影した。

               美しく楽しかったディナーショウは終わった。

                シアターの外はガーデンレストランになっていた。廊のように伸びた屋根の続きにたくさんの屋台が出ていて、こちらでも
               自由に寛いでよいとのことであった。かがり火が焚かれ、南の島の雰囲気が人を誘っていた。

               私達はむしろさっぱりした飲み物が恋しくなり、ホテルへ足を向けた。からだがやっと気候に馴染んだのか、夜気を渡る
               風が心地良かった。

* 5.マラッカ
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