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風次郎のColumn『東京楽歩』  
  (No641H-049)
           
            庭の「やまゆり」     

                                                         
       東京楽歩(No641)  私的花語り(No49) やまゆり                       
                                                                

                        「百合」の季節になった。

                        南天寮の庭では、3年前に植えた「すかし百合」が毎年花を咲かせている。薄紅色で他の
                       花に比べると比較的大きいので華やかに見える。
                        ユリは風次郎の母が好きな花だったので、元一面畑のころから南天寮の庭先には沢山咲い
                       たが、それらはほとんど赤い家ユリ(オニユリ)だった。白いスカシユリや鉄砲ユリはその
                       ころは貴重な存在で、時々山の崖でヤマユリなどを見つけることがあると、帰って語り草に
                       したものである。村内でも家の庭に白いユリを見ることはほとんどなかった。
                        南天寮の母が眺めた赤いユリは、風次郎がその旧宅を管理するようになって数年のうちに
                       耐えてしまった。元は畑であったからよく育った球根は、モグラにとっての格好な冬の餌に
                       なってしまったのだ。人間でも食用にするのだから、理の当然かもしれないが――。
                        今咲いているスカシユリは、数年前に富士見の駅前の店でみつけた球根が育ったものであ
                       る。

                        そんなことから、風次郎の東京の自宅にも百合の球根を植え、毎年白いヤマユリ(正確に
                       は鹿の子百合らしい)の花が咲く。だが、椿の木の下の日当たりのよくない場所にあるため
                       か、肥料が足りないのか、茎が細く弱々しい。
                        それでも今年ももう幾つも花が咲き、散り始めている。
                        ヤマユリ(山百合)はユリ科ユリ属の多年生植物である。山地に生える日本特産のユリで
                       あるといわれ、北陸地方を除く本州の近畿地方以北の山地に分布し、山地、山野の林縁や草
                       地に自生する。学名山百合(さんひゃくごう):Lilium auratumは「黄金色のユリ」の意で
                       中国植物名(漢名)は、金百合(きんひゃくごう)と呼ばれるとのこと。
                        その名は、山中に生えることからつけられた。大型の白い花は山中でもよく目立ち、強い
                       芳香を放つ。ゆり根は食用にもなり、別名リョウリユリ(料理ユリ)ともいわれているのだ。 
                        また、地方によって様々な別の呼び名があり、ヨシノユリ(吉野百合、芳野百合)、エイ
                       ザンユリ(叡山百合)、ホウライジユリ(蓬莱寺百合、鳳来寺百合)など各産地に因んで名
                       付けられているようである。

                        直立した茎の丈は1 - 1.5メートル]。地下の鱗茎は扁球形で、黄色をおびた白色、10セン
                       チ程の大きさのいわゆる「いも」である。葉は深緑色をした広披針形で先は尖り、短い葉柄
                       がついて互生する。
                        7~8月になると、茎の先に1~数個、ときには20個ほどの白い花を横向きに咲かせる。
                        花は6つある花被片が、外に弧を描きながら広がって、花径は15センチメートル以上に
                       もなり、ユリ科の中でも最大級である。その重みで茎全体が弓なりに傾くほどであるから庭
                       のものには支えがほしい。花被片の内側中心には黄色の太い筋があり、紅褐色の小さな斑点
                       が散らばる。
                        ヤマユリの変わりものには様々な呼び名がつけられていて、花被片の中央に太い赤色があ
                       るものを「紅筋」、斑点が少ない純白の花を「白黄」、花被片の斑点が黄色のものを「白星」
                       と言われる。褐色の花粉が出て、花の香りは日本自生の花の中では例外的ともいえるほど、
                       甘く濃厚でとても強い。
                        発芽から開花までには少なくとも5年以上かかると言われる。また手入れが良いと、株が
                       古いほど多くの花をつけるようだ。風貌が豪華で華麗であることから、「ユリの王様」とも
                       呼ばれる。
 
                        花後にできる果実は蒴果で、長さ6センチほどの円筒形で3室に分かれており、中には3
                       00個程もの種子が入っていて、熟すと果実が3裂して、風に揺らされて散布される。種子
                       の大きさは、長さ約1センチの扁平な半円形で、周囲に翼がついており、中心部に楕円形で
                       長さ約5ミリの種子本体がある。種子は翌年の春に発芽せず、その年の夏を越して秋になっ
                       てから発芽するのである。
                        排水が良く湿度を適度に保つ膨軟地を好む性質があり、庭で育てるには、半日陰で根元が
                       乾燥しないように植栽するのが良いとされる。我が家のは土が痩せてしまっているのだろう、
                       茎が細い。

                        また、「ユリ根」は食用となる。多糖類の一種であるグルコマンナン(コンニャクにも多
                       く含まれる)を多量に含み、縄文時代から既に食用にされていたそうだ。生のユリ根を煮て
                       調理するとき、よく煮ると糊状となり、美味で去痰の薬事効果もあるという。また、鱗茎は
                       生薬として、中国のユリの鱗茎である百合(びゃくごう)の名を、日本産ヤマユリに充てて
                       いる。秋に種子が成熟した後、鱗茎を掘り採って水洗いし、鱗茎の裂片をほぐして天日乾燥
                       させ、もしくは湯通しして天日乾燥する。これは鎮咳、強壮、口腔内や胃粘膜の保護に役立
                       つとされている。さらに、おできには、乾燥した百合を粉末にして、酢で練って患部に貼る
                       民間療法が知られている。
                        1873年、ウィーン万博で日本のユリが紹介され、ヨーロッパで注目を浴びて以来、ユリの
                       球根は大正時代まで主要な輸出品のひとつであった由である。

                        ヤマユリは神奈川県で県の花に指定されている。
                        花言葉は、「荘厳」である。
 
                                                                       風次郎

    
      南天寮の「すかしゆり」  

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