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ミラノへ―その1
成田空港take off 13時30分。アリタリアの787機は水平飛行に移り本土を離れていく。
今回のツアーは近畿日本ツーリスト。添乗員は新家さん。感じの好い女性。とかく旅行の成否は添乗員に左右されるので
不安だったが、新家さんは落ち着いている上にはきはきして頼りがいがありそうで安心した。
大陸の上空を飛び始めた頃機内食が出た。早速イタリアンを選択してマカロニ、ハムサラダ、鶏肉のナスあえといったメニ
ューにリンゴジュースをいただいた。ありきたりだがイタリアンの施しは美味しく食べれた。
ジュースをシャツにこぼしてしまい、はなから「出血したみたいだ」と冷やかされてしまった。胸に赤いしみが広がると他人が
見たら異様で「まずいな、」と思ったが、これは到着後に着替えるしかなかった。
私の席は右3人掛けの窓側。通常窓側にははなが座るが、通路側が女性だったので今回は私が奥に入った。ずっと日中
のフライトだから、晴れていて下が見えればいいな、と期待した。
通路側は、長野から来た中年の女性で、ミラノ経由クロアチアへの一人旅とのことだ。偶然私たちと同郷との親しみも沸い
て、話が彼女の体験談に発展した。世界各地を彼女の独特の視点で、歩行しているのだそうである。
クロアチアの現地の人との触れ合いが今度の旅の狙いで、10日間の細かいスケジュールはまだ持っていないとのことであ
った。 ザックに飾らぬ身なり、日焼けした顔と、逞しく人生を愉しむ彼女の姿が羨ましいかぎりだった。旅のスタイルはいろい
ろだが、自分の思いの中に入っていくのにはどうしても勇気がいる。彼女は独り身なのだろう。年を重ねて家庭を持ったりす
れば、割り切った生き方はなかなかできないから。
2〜3時間眠ったあと、窓の外に眼をやると、真っ白なシベリアの上空を飛んでいた。何度か見る雪一面の世界だが高い山
の連なりが上から見るとスキーでもできる高原のように続き、斜めに射す陽の光が作る陰によって、大河さえも雪で白く覆われ
ている様子がわかる。まだ真冬の大地だ。
人家はほんに微かであるが、道は続いている。白い世界は実に静かなものに映った。
カメラを取り出して2枚の写真を撮ったところで、通りがかったアテンダンスに「アリタリアは機内でのカメラの使用を禁じてい
る」旨告げられた。先の機内放送でPC以外の電子機器は使えないことを知らされていたので、「なるほど」とは思った。セキュ
リティーの徹底では致し方の無いところだ。わたしはコニカのフイルム式カメラも持参していたが、あえて論じ合うことはしなか
った。
機内でのカメラ使用禁止はともかくとも、私はCDもクリエイティブ(音楽再生機器)も使えないことにかなりがっかりしていた。
長旅で自分好みの音楽を聴くことは何よりの楽しみだし、私の退屈しのぎには欠かせないものだが、それは機内に用意され
た座席専用のディスプレイでということだろう。
さすがにPCの持込は一般化したので、ビジネス客への対応上使用を認めざるを得ないようである。
PCからも音楽は聴けるからこれからはその手も考えようか‐‐‐などと思案を巡らす。裏を掻くつもりは毛頭無いが。
しかし、セキュリティーはいたちごっこでもある。本当はこちらの言葉使いに余裕があれば、どの路線でも急速に充実した備
え付けのビデオ等エンターテイメントでもっと楽しく過ごせるのであろうと思う。
もっとも、最近はワンフライトの13〜15時間は過ごし方にも慣れてあまり抵抗を感じなくなった。 はなが夢中になっている
頭の体操「数読」をこちらも退屈しのぎにやり始めると、1〜2時間はあっと言う間に過ぎてしまった。
その後2回の食事があり、雪の無いヨーロッパの上空を西陽を追って飛び続け、その陽が沈む頃、アリタリア機は予定t通り
の時間にミラノのマルペンサ国際空港に着陸した。
シベリア上空の雪景色
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