BGM Music Factory
ハーレム・マーチンルーサーキング通り
よい天気になったのでマンハッタンの一人歩きをすることにした。
NYに来ると、ともかく来たしるしのようにマンハッタンを歩いてみないと気がすまない。
今日はリンカーンセンターを覗き、タイムズスクエアとグランドゼロへ行ってみようと、
朝寝床の中で決めた。
10時過ぎに家を出てハリソンの駅からメトロノースに乗る。鉄道の様子にも慣れてきて
、何とかどぎまぎしないで列車に乗っていられる様になった。
マンハッタンはハーレムリバーを境にして一つの島になっている。そのハーレムリバーを
渡ったところ「ハーレム225」で降りて歩いていくことにした。ハーレムに住む下層民族
の素朴さ、率直さに触れるのは好きだ。危険な街と言う人もいるが、私はそうは思わない。
高架駅はパークアベニューの上にあり、Lenoxアベニューまでは約500mくらい。
時間帯からして賑わいを見せる前である。
左手のエリアにはマーカスガーウェイパークがある。以前メトロポリタン美術館から5th
アヴェニューをとことこ歩いてきたときその公園を知った。この辺は黒人たちの居住区だから
多分公園には今日も黒人たちが大勢出てきていることだろう。
Lenoxの交差点角にある肉屋ではもうお昼用の鳥の腿焼きをガラス窓をあけて並べ、
ラジカセからビートのきいた曲をガンガン鳴らしていた。
Lenox(マルコムX通り)を南下していくと、教会の前に汚れた服を着た男達がとぐ
ろを巻いて何やら口論している。仕事も無くうろついている輩である。接触するに馴染まな
いが、何となく陽あたりのハーレムの図として絵にはなるような気がした。彼らは貧しいの
だ。
私はぶらぶらと何気なく歩いて、ただそれだけでハーレムはやりすごした。そして私は、大き
な岩が剥き出しになったセントラルパークの北入口を入っていく。
4〜50mの坂道を登って小高い丘の上に到達した。丘の上は植え込みに囲まれた芝生の
中に散策路が敷かれ、まばらながら人影も見えた。
犬を連れた人がいる。上品な身なりの紳士も居る。しかしこの当たりでは黒人を見たこと
が無い。絶対的に生活レベルの低いハーレムの人々がここへ来て、豊かな人々と触れ合う時
は来るのだろうか、といつも思う。
セントラルパークの西側、道路の向こうは伝統的にお洒落な街でリッチな人々の住むと言わ
れる地域である。私は大きな池のほとりを歩きアメリカ自然史博物館の前へ出て、その街の
中へ吸い込まれるように入って行く。普通の人であるにすぎない私はヒューマニティックよ
りもリッチな気分に惹かれてしまう。足はリンカーンセンターへ向かっていた。
人通りの少ない昼前の時間、ブティックやカフェの並ぶ静かなたたずまいを通り過ぎて行
った。
リンカーンセンターの一画にあるリデアード音楽院に寄り、インフォーメーションで何か
音楽の催しを探して午後の開催時間に間に合えばと期待していた。以前偶然にそこを知って
、隣の教会でのコンサートを見つけ堪能したことがあったからなのだが、残念にもその日ば
かりか、私の滞在中の日程ではセンターの各会場以外には催し物がなかった。センター内の
切符は前売りで完売し先ず見込みが無いことは解っている。
「今日は残念だ!」と諦めるしか仕方なかった。
時間はたっぷりあったので再びセントラルパークに入って腰をおろし、木陰で家から
もってきたおにぎりを食べながら休んだ。
一休みしてからコロンバスサ−クルに出て、カーネギーホールの前を通りタイムズスクエ
アに行ってみた。酷い雑踏だがそこに足を踏み入れるとNYを感ずる。そういうのが外の国か
らやって来たも者の素直な感じ方だろう。
折角来たのだから、と地下鉄に乗りグランドゼロに寄った。新しいシンボルエリアの建設
が順調に進んでいるらしかった。金網で囲まれた工事現場をぐるりと回り、一寸気になって
ウォールストリートへも足を向けた。昨今の不景気ムードでどんな様子かは土産話になるかと
思った。案の定、証券取引所の正面側はバリゲードが造られ、道路の片側は通行が出来ない
。わき道から建物への入口にはガッチリ武装警官がチェックしている風景があった。
しかし、そのバリケートのなかでも野外カフェよろしくパラソルとテーブルが並べられ、訪れる
観光客相手に商売するとは、これぞアメリカらしい風景でもあった。
シティーBKのATMに寄って店内を覗くと、こちらは、カジュアルな服装の行員がロビーに
いっぱいうろうろしている有様が警戒色を現していた。何とも味気ない風景が目立つのもNY
である。
それではと気を回して、再び地下鉄でグランドセントラル北のレキシントンに向かい、最
近はこちらが金融街の中心とも言われていたシティーの本拠ビルや破綻したベアースターン
ズや先行きを問われているリーマンのビルを眺めて歩いた。かといって当たり前のことでは
あるが、変わった様子があるわけでもない。私が以前所属していた会社もトレードセンター
が破壊された後レキシントンに移ったので知人と会って四方山話をと思ったが、生憎出張中
でそれもならぬまま、街を眺めて歩いた。
遠足のようにマンハッタンを歩き、グランドセントラルのカフェで椅子にもたれてコーヒ
ーをすすり、甘いケーキを食べていると、まるで自分が不景気の中で掻き回されている当事
者のような気分になるのが滑稽に思えた。サラリーマン気分が全く抜けていない自分を見る
のだった。
16時55分のメトロノースに乗った。
(風次郎)
ウオール街商取前
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