サンフランシスコ・ヨセミテ・ニューヨーク(0709)

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ヨセミテの景観2

   3.ヨセミテへ

 私は時差に凄く弱い。4時には目が覚めてしまった。寝入りは良かったが断続的な眠り
であったので、朝の散歩もやめて、ベッドで過す。

 インターネットでツアーをお願いした空田さん、という日本人の女性コンダクターが、
前の晩に電話をくれて、日帰りのヨセミテツアーは朝が早いので朝食は道中で、とのこと
、7時前フロントに来た彼女からの呼出しを受けた。
 「日本から来てあまりこのブロック内に泊まっている人はいない」ホテルの様子に、彼
女はそう言っていた。言われてみれば、夜中に路上は少し騒がしかったような気もする。
「今夜もう1泊するんだけど」と言うと、「夜はうろうろしない方が良い所です。」と、
マーケットストリートから坂を上がるあたりが良くないらしい。

 空田さんは、SF(サンフランシスコ)に15年ほど前から住み、今はオークランドに
居を構え、4〜5人を抱えて観光案内と不動産業を営んでいるという。不動産の景気は下
降気味だが日本からの住宅投資も多いとさかんにに勧められた。海外に別荘をかまえる身
分ではとても無いが、ここの気候の良さは誰にとっても憧れの的だろう。
 ヨセミテ観光は自分が直接担当することが多いと言った。私たちと一緒に日本からホー
ムステイしている女学生がヨセミテ観光に行くとのことで、空港線のBARTの駅でピッ
クアップされた。
 行く先は通勤方向とは逆になるので道路はスイスイ、朝陽に覆われたベイエリアを気持
良く走り、サンフランシスコベイに跨る長いサンマティオブリッジを渡って行く。
 東のオークランド側に渡りきると、しばらくは市街地らしい地域を走ったがやがてカリ
フォルニアの農場地帯になった。殆どがトウモロコシ畑で、すでに収穫が終わって半分刈
られたモロコシの木が何処までも続いている。途中のドライブインでサンドイッチの朝食
を食べた。SFからヨセミテに向かう人たちが大体そこに寄ってるようで混雑していた。
 一つの山脈を越えるほどの山道になり、峠を降りると再び両側に山並みの見える平らな
道になった。車は東向きから州道49号線を南下し始め、左手にシェラネバダ山脈が見え
ていた。雲ひとつ無く晴れ上がった9月のカリフォルニアの空が綺麗だった。
 ヨセミテへの起点マーセドの町まで来ると、空田さんが「いよいよ山へ向かいますよ」
と言って坂道のある街中へ入っていった。このあたりは、古く金鉱発掘盛んな頃スペイン
人が入植した地域で、街の名前もその名残であるとのことだ。
 私たちは少し歩を進めて次の拠点マリポサまで行って、「マリポサ ヒストリカルセン
ター」に立ち寄って休むことにし、車を降りた。
 ヒストリカルセンターの建物も、当時の雑貨屋を再現したものであるとの事だ。駐車場
の周辺にはその頃使われた大型の破砕機などが展示されている。それらを見て歩いたが、
屋外は強烈な日光が降り注ぎ、歩くのに汗が出る始末で、木の下で腰を降ろして眺めるの
が良かった。売店には昔を偲ぶ金鉱石の様なものが沢山あった。

 マーセド川を上り始めると間もなく公園のゲートがあり、空田さんは管理人たちに気の
いい挨拶をしてパスした。一筋の川とパインツリーの森が鬱蒼と続き、暑い日のためか、
いたるところ、その清流に遊ぶ人の姿があった。
 ヨセミテ国立公園はカリフォルニア東部を南北に走る広大なシエラネバダ山脈、巨大な
セコイア大森林そしてヨセミテ渓谷といった3つの大自然で知られている。1890年国
立公園に指定されて以降観光客は世界から訪れ、特に4月から9月には観光客であふれる
ようだ。公園内には3200もの湖と2つのため池があり、また円いドームを半分にした
ような形から名前がついた標高2700mのハーフドームは、ヨセミテのシンボルとも言
える巨大な岩壁で有名である。
 車がカーブしてマーセド川を渡るときに、森から抜けて天井が抜けたように、青空の下
の渓谷にその姿が現われたのは感激の一瞬だった。そして北アメリカで最も高いヨセミテ
滝、739mを見た。
 時間がもったいないからと、私たちは先ずトンネルビューと呼ばれる展望台まで上がっ
て行った。その先にはトンネルを越えてさらに最高峰のグレイシャーポイント(2199
m)まで行ける観光ルートがあるのだが、一泊しないと無理のようで諦めた。観光客の殆
どはヨセミテ渓谷観光に終わるが、それでも渓谷は国立公園の1%に満たない広さに過ぎ
ないそうだ。しかも、北側渓谷はトォルミ川、南側渓谷はマーセド川と離れているため、
どちらかの選択をせまられ、自然公園を楽しむにはたっぷり時間が必要である。
 「短期観光は勿体無い。ゆっくり日にちを貯めて来なさい。」としきりに空田さんは言
う。
 山並みが見え、森が広がり、大きな岸壁が幾つかそそり立つ。そして青空。
 雄大な自然の見せるパノラマがそこにあり、トンネルビューからの眺めもヨセミテを味
わうのに十分だった。渓谷を挟んで取り巻く大きな岩がとりわけ印象深かった。
 奥まったマーセド渓谷には丸いドームが綺麗に半分にされた形の岸壁「ハーフドーム」
が見えていた。それは岩石の割れ目に浸食作用が働いて生まれた珍しい光景である。

 トンネルビューから、再び渓谷に下りて、ヨセミテロッジ昼食をとっで寛いだ。
 空田さんが「日系のガイドは気の利いたサービスということで、ここでは幕の内弁当で
すよ。」とロッジに運ばれていた箱入り弁当を渡してくれた。私たちは大きなパインツリ
ーに囲まれた戸外のテーブルでそれを広げた。まさにアメリカ製幕の内弁当で、カリフォ
ルニア米のご飯も美味しかった。
 道路に近いところに観光案内所があって公園が開発されてからのいくつかの資料が展示
されていた。売店で、はながお土産にマグネットプレートを買った。
 道路の向こうにはマーセド川の流れがあり、若者のグループが水に入って飛沫を上げて
いるので近寄ってみた。半裸の彼等は、「水はとても冷たいが気持ちが良いんだ。」と、
しきりに一緒に入ることを勧めるが、笑顔で声援を送るに留めた。
 川の対岸の先に岩壁が盛り上がって続いており、中ほどに一筋の滝が見えた。カセドラ
ルロックとブライダルベールの滝だった。滝は風が吹きあげると白い霧になって広がり、
花嫁のヴェールと化すらしい。しかし、夏の終わりの水量が少ない時だしその日の天候で
は風も無理、静かな眺めである。
 振り返ると、大木に並ぶ森の向こうにはエルキャピタンの絶壁がかぶさるように広がっ
ていた。1095mの垂直な 一枚岩からなる岩壁。ここには世界中からロッククライマー
が訪れるとのことだ。じっと見ていると、さすがにロープに吊る下がった登山家があちこ
ちに見えた。こちらは絶好の日和だろう。

 ユネスコが認定した世界遺産ヨセミテ国立公園はシュラネバダ山脈の西山麓3081平
方キロある低木オークの原生地域である。11月から3月まで雪や雨の天候が多いようだ
。気温は春から上昇5度ぐらいから日中18度、だが6月から9月は30度以上にもなる
日があるというからまだまだ今日のような日もあるのだろう。動植物の生息も多いといわ
れるが、珍しい動物には会えなかった。暑くて日陰で眠っていたのかもしれない。
 エルキャピタンの絶壁の真下を通り抜けるようにして通過し、ゲートから公園を後にし
た。
 
 車はいつも太陽に向いて走っているようで眩しさばかり、体が火照って長い時間私は眠
っていた。
 サンフランシスコに入る最後の丘を越える頃、やっと正気で外を眺めたように思う。
 朝陽を浴びて清々しい気分で渡ったサンマティオブリッジを越えて、280号線を北上
する頃はすっかり陽が傾き、日中の暑さはどこかへ消えていた。
 朝ピックアップで乗った若い女子学生はダウンタウンまで行くと言うので、皆でPaw
ellの交差点で別れた。
 私たちはSoMa(Sauth of Market)のフードコートでイタリアンの店を見つけ、夕食
にした。イタリアンとは言うものの、アメリカ式ビュッフェであったが、1日フルの観光
で心よい疲れは空腹を伴い、全て美味しかった。
 

                                                           (風次郎)

          
マリポサ ヒストリカルセンター              エルキャピタンの絶壁

           
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