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 風次郎の『八ヶ岳山麓通信』 No309
                                                                                                 

                                  
                                           姫ジョンと八ヶ岳   

           眺める八ヶ岳(1)                                               2022.9

                      夏が過ぎていく頃の八ヶ岳はさばさばとして険しさを感じさせない。そんな期間は
                     裾野に落葉松の黄葉が始まるまでの短い間だが、台風シーズンの間をぬってよく出か
                     けたものだ。
                      今は眺めるだけである、

                      心臓が弱ってから心に決めて山行きを止めたが、夏山の八ヶ岳にはかなりの回数登
                     った。気軽なのは車で入れる美濃戸口からのルートで、朝の3時頃南天寮を発ち、美
                     野戸山荘に車を置いてもらって北沢を辿り、赤岳鉱泉から硫黄岳へ向かった。
                     赤岩の頭からの稜線に出ても、まだやっと朝日の上がる時間で、夏山の清々しい朝を
                     何回も歩いた。
                      硫黄岳の頂上近くから本澤の爆裂火口を見下ろした後、横岳、赤岳、と縦走路に続く
                     山並は懐かしい。雲がなければ、朝陽を浴びる富士山から南アルプス一帯を手に取る
                     ように眺めつつ歩く。
                      赤岳に登頂し、中岳を越えて阿弥陀岳の山頂から諏訪一帯をゆっくり眺め、御小屋山
                     から美野戸山荘へ、けもの道を直接降りれば南天寮へは午後2時には帰って来れた。

                      南天寮には八十二銀行と諏訪信用金庫から戴くカレンダーを毎年壁に貼っている。
                     両金融機関とも毎年12か月を一枚にして、郷土の風景画を掲げているので、眺めるた
                     びに親しみが持てる。
                      今年の八十二銀行版は岡谷市出身の織田昇画伯の油絵「諏訪湖風景」である。
                      題名は「諏訪湖風景」であるが、この絵には諏訪湖の奥に雪を頂いた八ヶ岳が描か
                     れており、主題が八ヶ岳でもよいか――と、私はこの絵を気に入っている。諏訪湖の
                     手前に民家(街並)が広がっているから、塩嶺峠か或いは西山の高い場所で描かれた
                     のであろう。諏訪盆地の季節感が何とも言えない。
                      只、この絵の諏訪湖と八ヶ岳の位置関係は離れている筈で、私の印象の中では諏訪
                     湖と一緒に眺める八ヶ岳はもっと遠く小さいように思う。塩嶺からは遥か彼方である。
                      しかし、画家の眼に入る印象にはロマンが入って良いと思う。
                      実物の画を見たいと思って、先日所有する諏訪市美術館に足を運んだが、現在は他
                     の作家の催しをしており、この絵の次回展示はまだ予定がないとのことで諦めた。
 
                      南天寮から直接八ヶ岳を仰ぐことはかなわないが、東側の丘に登って尾根伝いに歩
                     けば典型的な富士見の「八つ」が眺められる。
                      富士見の「八つ」は目前の西岳が大きく張り出し、右に編笠、そして権現が聳える。
                     が、頭の丸い西岳と編笠がデンとしているので八ヶ岳の厳めしさは感じられない。
                      左側には阿弥陀岳のごつごつした山稜と、それに重なり貫禄を奪われた主峰赤岳が
                     奥に見え、さらに横岳が続く。少し遠い硫黄岳は三角でなだらかに見える。
                      西八つの山腹に存在感ある独特の岩塊、大同心、小同心が長い横岳歩きにヴァラエ
                     ティーを付け加えてくれたのを眺めつつ思い出す。
                      権現、阿弥陀、大同心、小同心など修行に因んだ峰々の名称は何に由来するのだろう
                     と、関心を持った時もあった。
                                                                                                                                                                       風次郎               

  

                                          
                                         諏訪湖風景(油絵)織田昇(諏訪市美術館HPから )


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