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 風次郎の『八ヶ岳山麓通信』 No306
                                                                                                 

                                  
                                           雪晴れの八ヶ岳1(22・02)   

           雪の南天寮

                     冬が終わりに近づく頃だが、北陸や北日本、北海道は記録的な大雪に見舞われてい
                    る。信州では北は北陸に準じて降雪があるが、日本アルプスの高山地帯に阻まれてか、
                    中南信で積雪が50cmを越すことは、今はまれである。
                     風次郎が子供の頃は違った。1 月の終わりから2月かけては1mを越す雪に覆われ
                    た畑や野っ原を駆け巡ったり、ソリやスキーでどこでも遊べる楽しい季節だった。

                     新年になって、コロナのこともあり南天寮へ出かけることも控えていたが、10日
                    からの雪が北陸では豪雪になったようなので、気になって知人に富士見の様子を伺っ
                    てみると、20cm程度とのこと、ホッとした。しかし、それでもと、16日には様
                    子を見に向かった次第である。
                     関東はご多分に漏れず、冬晴れの晴天であった。
                     大月辺りから、真っ青な青空の中、雪に輝く大きな富士山を眺められたので胸をな
                    でおろした。笹子のトンネルを越えて甲府盆地へ下る車窓の南アルプスにも期待を寄
                    せていたのだが、盆地の南を囲む御坂、鳥坂峠の山越しに雪を頂いた富士の峰が見え
                    るほかは、雪山の景色は見えなかった。
                     西側の山裾には霞と雲が広がっており、眺めを楽しみにしていた南アルプス、濃鳥、
                    間の岳、北岳の白根三山も見ることが出来ず残念だった。それでも、朝の気流が通り
                    過ぎるまでの一時と思っていた。しかし、列車が甲府を過ぎるといつも見え始める八
                    ヶ岳も雲の中であった。
                     盆地の里にそそぐ陽光は燦々として、車窓からはむしろ暖かさを感じさせられる日
                    和であったのだが、長坂の駅を過ぎ車窓に雪の積もった山野の景色になった頃から、
                    空は雲に覆われて、ついに小淵沢からは雪が舞う車窓に変わった。

                     富士見の駅に降り立った時は、雪も散り吹雪き始め、風花の舞うと言った表現は通
                    り越した状況であった。駅の構内の雪は30cmほどで、駅前広場は一面の白。2m
                    程積み上げられた雪があちこちにあり、やはりかなりの雪降りが続いたのだなあ、と
                    思いつつ南天寮に向かった。
                     久しぶりに雪の田舎道を歩くと、子供の頃雪の中の夜道を、帰って来る父を迎えに
                    長靴をもって駅に向かったことなどを思い出したりした。雪は風に流されて斜めに降
                    っている。雪降りの道の風情を久しぶりに味わう機会であった。
                     南天寮は町道から少し入った所にある。だから積雪が酷いと玄関にたどり着くのが
                    難儀だが、積雪は聞いていた20cmほどだったので助かった。ただ、2〜3日降り
                    が続いたらしく、家の中は冷え込んでいた。
                     冬場のいつもの通り一応の点検をすると、水洗トイレの溜水がカンカンに凍ってし
                    まっていた。例年、トイレのこのところと各排水の曲がり溜のところには、不凍液を
                    施すのだが、今回忘れていた。
                     一旦凍ると春暖かくなるまで待つしかない。冬場、水道は元栓を占めている。この
                    ままだと凍結が高じて破裂してしまうかも知れないほどだ。
                    どうにか、トイレの室内を電気暖房して数時間かけて溶かし、流し出して処置する
                    ことが出来た。冬場はこういったことが厄介である。ほかには問題はなかった。

                     雪は、積もるところまではいかなかったが、夕方まで降り続いた。
                     つい10日ほど前に来たときは、里の雪は薄雪で、とてもいい天気の中を西山の裾
                    に住む友人を歩いて訪ねたのであった。彼の家から眺める雪に覆われた八ヶ岳が、と
                    ても綺麗で、「里の雪はまだかなー」などと、半ば雪の降ることを期待したような話
                    もしたが、いざ降れば雪には雪の厳しさが伴う。

                                            ☆
 
                     戸締りをして、まだ雪の舞う夕暮れ時の列車に乗り山麓を離れた。
                     雪は山梨県に掛かると、今日降った形跡もなかった。甲府盆地ではすっきりと晴れ
                    ていて、宵の星が見えるほどであった。
                     やはり富士見の街は八ヶ岳の山麓にある峠の田舎町ではある――。 
 
                                                                 風次郎               

      
西山山裾からの八ヶ岳(22・2)


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