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風次郎の世界旅
 懐旧の王国・中欧の旅
  [オーストリア・チェコ・スロバキア・ハンガリー]

music by ASAO虹の音色


シェーンブルン宮殿 

 (2)ウィーンの朝

              ウィーンは東京との時差がマイナス8時間である。
             昼の日本を発つと、夕方のウィーン着は日本の真夜中に当たるから、機内であまり眠らないでいるとホテルへ入って丁度
            眠くなり具合が良いということななるが、そうはうまくいかなかった。
             機内食の後、じっとしている体は眠気に襲われて午睡程度と思ったものが4時間も寝てしまったので、中途半端になって
            しまった。夜中に起きて書き物をして時間を使ったりしたが、いつもの通り4時にベッドを抜け出し、5時には早朝の暗い街
            に出た。
             ホテル「ルネサンス」の前の道路からは、市の中心部から流れるウイーン川と併行して走る地下鉄(このあたりは地上)が
            もう10分ほどの間隔で通っているのだった。
             私は市の中心部に向かって30分歩き、街並みの感触を味わってみようと思った。
             街灯に照らし出された建物は、彫刻飾りをふんだんに取り付けて、王朝の華やかな時代を思い起こさせるものであった。
             30分歩いて折り返し、地下鉄路線と川を隔てた反対側の道路を引き返す。

             地下鉄の駅舎に入ってみた。
             改札の脇に英語版の新聞がスタンドにフリーで置かれている。
             手にしてみると「オバマ圧勝」と、アメリカ大統領選挙の結果が一面を飾っている。 ドイツ語圏であるが英語は一般化が
            進んでいるようだ。大半の人が身につけているらしい。
             アメリカはやはり「CHENGE」を掲げるオバマで新時代に入っていくのだろう。世界を震撼させ大混乱の経済を導いた金
            融大国のこの先が、黒人リーダーという新しいキャストを迎えて、どのように変化していくのであろうか。経済混乱は日本も
            免れていないからし、このことは同盟国として関心も高い。
             異国の地で知る世界のニューリーダーの決定に、彼の地の反応の一端を見るのも良いだろう。新聞はスタンドからどんど
            ん乗降客に抜き取られていた。
             私は一面に目を通し終えた新聞を外套のポケットに押し込み、通り過ぎ行く人々からも目を離して再び道路へ出た。

             そこまで来て、私はホテルの眼の前にあるターミナル駅のひとつ先がシェルンブルンだったことを思い出した。そして「そこ
            へ足を伸ばそう。」と歩を早めた。
             空が白んでくると、街路樹の葉の色づきも見えるようになってきた。大半のものは楓であろうか、滲むような橙がライトに浮
             かび上がり、沿道の飾られた建物を背景にきれいだ。
              建物の並びはおそらくアパート群だと思われる。それにしては外壁がいずれも彫刻が施され、王宮などと変わらぬ華や
             かさがあり、他所から訪れるものには見せ付けられているように感ずるほどである。
             10分ほど歩いたら、シェルンブルンの駅(オットーワーグナーの作品)があった。そして宮殿の正面へ行くと、既に鉄格子
             の扉を半開きにして今日の準備が始まっていた。
              宮殿の庭園は日の出から日没まで一般に公開されているとと聞いている。
              ここは今回の観光するコースに含まれているので、いずれ建物にも入って見学することになる。宮殿を見渡すと前庭が
             周囲に配された灯かりでボヤーッと照らされている。薄明かりの誰一人いない静かな夜明けの王宮であった。

              ホテルの部屋に戻るとテレビは米国新大統領の決定をエキサイティングに伝えている。世界の情報は瞬時に何処にい
             ても共通に知ることが出来る時代である。
              この国の対応にも変化が要求されるのであろうか、と日頃の時事への対応感覚が意中に起こる。しかし、
             「いや、この旅行中は、それを逃れて懐旧文化の中に没頭しなければ。」と、諫める。

              7時半には、はなやその友人たちと朝食を共にした。アメリカンビュッフェだったが、日本食も用意されて、行き届いたサ
             ービスだったから、特に日本食に拘るはなは喜んだ。果物が沢山添えてあり、私には好物のバナナも旨かった。ゆっくと
             初日の朝食を楽しみ、出発に備えた。
              これからチェコ、スロバキア、ハンガリーと廻り、再びここに戻るツアーである。
              今日はチェコのプラハまでバスで走るのだが、途中立ち寄る世界遺産「チェスキークロムロフ」の美しい屋並を眺めるの
             に期待が高まるのだった。

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   ホテルの窓から見える地下鉄。背後はルネサンス風アパート    

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