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風次郎のColumn『東京ジョイライフ』
No26(T−008)
(藤田喬兵展パンフレットから)
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2007年9月30日
藤田喬平展
風次郎
fuujiro@jcom.home.ne.jp
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昨年83歳で亡くなった文化勲章ガラス工芸家藤田喬平展を日本橋の高島屋で観て
きた。
「雅の夢とヴェニスの華展」と言う副題のついた展示会で、師が昭和52年から毎
年出かけていったヴェニスのノームラ島で制作された色彩豊かな豪華なものであった。
わざわざ出かけたのは、高島屋から案内があったとき見たパンフレットの中に「飾
筥」(かざりばこ)という作品の写真が載せられていて惹かれたのである。通常は漆
塗りで作る木の箱、平たく言えば日本古来の「重箱」のようなものに見える。しかし、
それがガラス製であるとはどんな光り方をするのだろう、と。
もうひとつはイタリア旅行をすると必ずヴェネチアングラスの実演見学をさせられ
るが、殆どはおみやげ物屋さんへ案内することにかこつけた技師の実演に過ぎず、そ
こに並べられたものも美しいには美しいが、芸術と言うには少し物足りないと思って
いた。そして藤田喬平は日本の作家であるが何故ヴェネチアなのだろうとも思ったか
らである。
「飾筥」は藤田が江戸時代の琳派に魅せられてそれをガラス工芸の世界で長年挑ん
だ結晶と言われている。金や銀の色を一体どのようにして作品に取り込むのか興味が
あった。それは、箱の中の特殊な台の上に千切った箔を置き、高熱なまま作品の表面
を転がしている藤田の制作している姿をビデオで見た。箔は作品の素材の中で縮れた
り、飛び散るように細かく広がったりして表現を変えていくのであった。
10センチ4方ほどの小さなものから、30センチ角ほどの大きなものまで沢山展
示されていた。
外国の講演会で聴衆の一人が質問に立ち、「この美しい筥に、一体何を入れるので
しょうか?」と問われた藤田は、「あなたの夢を入れたらいいでしょう」と答えたそ
うである。ガラスだから大きな筥は美しく輝く飾り箱の存在であろう。しかし、その
中に夢が貯められて輝き続けるとは何とロマンチックな発想であろうか。
有名な東京国立近代美術館蔵の「虹彩」が展示されていた。40センチの高さはあ
ろうというガラス工芸としては大きなものであった。ダイナミックな外表の動きのあ
る形成の奥に仕組まれた、ヴェネチア独特の彩光が彼の求めたヴェネチアへの憬れで
あったのかもしれない。
彼は「ヴェネチアで制作に向かうと、自然に発想のキッカケをつかめるのだ」と、
言っていたそうである。
確かに素晴らしいものを伝統的に生み出すところに身を置くと、私などでも自分に対し
可能性を感ずることがある。
門外の者であるが故に味わう、自分の心の中に生まれる新鮮なものの彼方に
憧れが運んでくれる風を感ずる、といった気持ちになる。
人との交わりでもそのように、優れた人のそばに居るだけで心の高揚を感ずること
ができる気がする。
そういったところから得られる自分の心の中で、新らしい高い発想が芽生えるので
あろうか。
ひとつ「芸術」に限らず環境の中に身を置くことは重要である。
藤田喬兵の「雅の夢」はとても煌びやかであった。地味だけでなく、煌びやかな老
後も又良いものと思う。
風次郎
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