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風次郎のColumn『東京楽歩』 (No655T−165)


                               仙石原ハーベストクラブ甲子園庭園の紅葉                                                                                                                                   

          東京楽歩(No165)仙石原秋


                               外出自粛で八ヶ岳山麓の南天寮との間を往復するほか、今年は出かけることは無か
                              ったのだが、仙石原のリゾート、ハーベストクラブのオーナーになっている友人に誘
                              われて温泉の1泊を過ごすことができた。

                               折からのコロナ禍だから車が良かろうとのことで、紅葉鑑賞を期待しつつ自宅を午
                              後発ち中央道を下る。
                               大月までは南天寮に通うルートだから見慣れた風景である。住んでいる国分寺界隈
                              も紅葉は今年のピークを迎えようとしているので、道中の山々は如何と眺めつつ行く。
                               沿道は午後の陽が黄ばんだクヌギなどが葉を輝かせ、モミジが絶頂に赤く染まって
                              美しかった。
                               大月から都留、富士吉田を経て、東富士五湖道路で籠坂トンネルを抜けて御殿場に
                              下るあたりから少し渋滞があった。これは今第二東名道路を建設中で、そのアクセス
                              工事のためということのようだ。陽は残っていたものの。富士は雲に覆われていた。
                               渋滞のさなかは丁度東富士演習場の原野の眺めに沿っての道路であったが、富士山
                              麓一面のススキが広大な裾野に、延々と淡く浮いた白一色をなびかせて続く見事な光
                              景であった。
                               御殿場市内を越してからの乙女峠に向かう道は、富士を眺める名所なのであるが、
                              ここも対する富士のお山は中段から上をすっぽりと雲に隠されてしまっていて残念だ
                              った。
                               江戸時代の乙女峠のあたりは、箱根の裏関所、仙石原関所の「御留(おとめ)山」
                              で、村人も自由に出入りができない山だったので、山名の由来はそこから来ていると
                              いうことのようだ。道路に沿って立つ木々の色づきを楽しみつつ、乙女トンネルを抜
                              けて仙石原に向かう頃は、箱根山にも雲の波が寄せてきたかの暗さが感じさせられる
                              夕暮れになっていた。

                               周辺を山で囲まれた仙石原は、約2万年前は芦ノ湖の湖底だったと言われている。
                               3千年前に中央火口丘の神山が大規模な水蒸気爆発を起こし、大量の岩くずが仙石
                              原のカルデラ床に流れ込んで川がせき止められ湿原が誕生した。それが、現在の仙石
                              原高原をもたらしたのである。
                               仙石原の地名のいわれは、江戸時代の始めに入植した4軒の農家が、「耕せば千石
                              の米がとれる広い草原」という意味を込めて、「千石原」と名づけたものが変化した
                              と伝えられているのである。
                               現在の仙石原は、旅館、ホテル、のほか、30年ほど前、箱根全盛のころ、企業の
                              保養所などが多く開設され観光地化している。

                               ハーベストクラブ箱根甲子園は、仙石原の湿性花園に近い場所にあった。古くは甲
                              子園というホテルだったところとのことだ。
                               会員制だけに落ち着いてゴージャスな感じで、サウナ付き天然温泉の浴場もゆった
                              りとしており、温泉好きの小生はゆっくりと入浴を楽しむことができた。ちなみに箱
                              根の温泉は、単純硫黄泉でカルシウムを含み、関節炎・高血圧・皮膚病などに効能す
                              る由、足関節を病んでいる小生は効能をも期待したところである。
                               さらに折下のこと、国策のゴートゥートラベルキャンペーンに肖って、夕食は地元
                              産品料理の特別メニューが提供され、相州牛スキに至る豪華版がふるまわれて堪能し
                              た。久しぶりに飲んだ少々のヒレ酒が胃の腑にしみた次第である。

                               翌朝少し風のある中、仙石原の黄葉の中を歩いた。すでにカラマツは葉を落として
                              いたが、もみじはまだ深紅の葉を残し、少し強く吹いていた季節風に揺れている。あ
                              まり多くはないが、ところどころに立つ若い銀杏の黄が始まっていた。
                               仙石原には「箱根湿生花園」「箱根ガラスの森」「ポーラ美術館」「星の王子さま
                              ミュージアム」「箱根ラリック美術館」などの観光施設が散在しているが、ここは何
                              といっても「箱根湿生花園」のゆとりある散策だろう。仙石原誕生の由来に加わる高
                              地の気象条件から、台ヶ岳山麓一帯には貴重な湿原植物群落があり、国の天然記念物
                              として指定されているところである。日本で唯一の湿生植物園湿地帯の植物 200種を
                              はじめ約1700種の植物を自然のままに見て学ぶこともできる。
                               箱根ガラスの森美術館は、日本初のヴェネチアン・グラス専門の美術館であり、星
                              の王子さまミュージアムは、サン=テグジュペリ生誕100年を祝した世界的記念事業の
                              一環として作られた。サン=テグジュペリの生涯をたどりながらの、『星の王子さま』
                              をテーマにしたユニークなミュージアムである。

                               帰路、山中湖畔で唐松の黄葉ともみじの紅葉を期待したが、残念ながら一週間遅か
                              った。すでに葉の落ち切った湖畔のボウとした木々の姿が、冬の近いことを告げてい
                              た。帰宅した東京は夕日に映えた銀杏の黄葉真っ盛りだから、標高の差は否めない。

                               しばし心を休ませてくれた、コロナ禍の温泉旅だった。

                                                                            風次郎

 

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