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風次郎のColumn『東京楽歩』 (No615T−150)


犬養元首相の記した門標・滄浪泉園
                                                                                                                                                                            

          東京楽歩(No150)雨の滄浪泉園 


                                                                     (2019・11・23往訪)

                               毎年この勤労感謝の日には、近くの住む元務めた会社の友人たちと「観楓会」として
                              紅葉を眺め、懇親会を持つことになっている。今年は小金井の「滄浪泉園」を訪ねるこ
                              とになっていた。
                               ここしばらくは暖かい晩秋となっていたので、モミジの赤はまだ早かったが、ケヤキ、
                              ブナなど落葉の始まった木々は色付き、しっとりと小雨に濡れた庭園に、しずかな彩を
                              見せてくれた。 

                               武蔵小金井駅から傘をさして、小金井工業高校の脇を通り道路を渡った角にある入り
                              口には、ここで寛ぎの時を持ったと言われる犬養毅元首相によって記された石の門標が
                              立っていた。
                               元は、実業家で衆議院議員も務めた波多野承五郎が、国分寺崖線の上にあるこの一帯
                              に構えた別荘で、ここを好んだ犬養が「手や足を洗い、口をそそぎ、俗塵に汚れた心を
                              洗い清める、清々と豊かな水の湧き出る泉のある庭」という意味を込めて「滄浪泉園」
                              と命名した由である。
                               小雨があったから、入場者も殆どなく、雰囲気を味わうには絶好であった。
                               門を潜ると敷石の続く散策路がしばらくあって、それはハケを下る石段になって続い
                              ている。
                               この斜面「国分寺崖線」は、立川市北東から世田谷区野毛まで続いており、崖下の砂
                              礫層から豊かな地下水が湧き出て、それを「ハケ」と呼んでいるのである。 
                               ゆっくりと木々からの滴りを傘に受けながら石段を下ると、「東京の名湧水57選」
                              と書かれた標識の脇に石の下から滾々と湧いている清水が、やや下った池に向かって流
                              れている。池は系30mくらいである。
                               ほとりに出ると、空が抜け、周囲の落葉樹が映す彩が水面を染めていた。彩の背景に
                              は杉、赤松などの大木も多くあった。
                               一段上がった場所に池を見渡す東屋があり、その屋根をモミジが覆っているのである
                              が、まだ色付きにはちょった早く、あと10日はかかるようだった。東屋の脇の岩の間
                              に、石を掘って造った水琴窟の鉢があり、柄杓で水を汲んで砂場に掛けると、竹筒を通
                              して、「キーン・コロン」と澄んだ響きの音を聞くことが出来るのだった。
                               今日の仲間と一緒に、この東屋でしばし語り、今は遠い昔となった名士達の余暇を思
                              いつつ、引き続いて私たちの懇親の場へ向かった次第である。

                                                         〇
 
                               滄浪泉園は当初波多野氏が敷地面積3.3haほどの庭園を営んだのであったが、昭和
                              に入って、1920年代後半に、三井鉱山の経営者川島三郎氏が所有したという。
                               その後、宅地開発の波にさらされて切り売りされ、1975年の時点で既に往時の3分の
                              1にまで縮小していた。さらに、開発に関して紆余曲折あった末、市民や研究者らによ
                              る保存運動が功を奏し、現在の滄浪泉園の範囲は保全されることとなったとのことであ
                              る。
                               現在は小金井市の管理で、都市緑地法に基づく「特別緑地保全地区」となっており、
                              有料で公開されている。

                                                                            風次郎 

           
     ハケから湧出する泉

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