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風次郎のColumn『東京楽歩』 (No605T−147)


トイスラー祈念館
                                                                                                                                                                            

          東京楽歩(No147)築地・聖路加あたり


                              久し振りに聖路加あたりを散歩した。地下鉄東西線に乗り、茅場町の駅で日比谷線に
                             乗り換え、築地駅で降りて後部階段を地上に出ると、海側にニョキっと2本の高層ビル
                             が見える。再開発によってできた聖路加ガーデンタワーだ。
                              会社勤めの頃、私の勤務先は新川2丁目にあったので銀座に向かうときは、時には川
                             沿いにこの辺りを通り、聖路加病院の緑を眺めたりしながら築地本願寺を抜けていった
                             こともあった。
                              当時とすっかり風景の変わったあたりはやっと暑さも治まって秋を感じさせる午後の
                             陽射しを受けて、懐かしい聖路加病院周辺の散歩道を照らし、気持ちのよい午後だった。

                              長く聖路加国際病院の名誉院長を務められた日野原重明氏は私のもっとも尊敬する人
                             の一人である。2017年7月105才で永眠されましたが、その数多く書かれた本の中にはこ
                             の病院の創設者米国聖公会の宣教師ルドルフ・トイスラー博士の名前が頻繁に出てきま
                             す。記念館の前にはそのレリーフがあるとのことでしたが私はじっくりとそれを見たこ
                             とが無かったので、今回はそこに立って見たいとの思いでした。

                              日本の夜明けの時代、東京は開港場ではなかった。開市場に指定されて、1869年に築
                             地鉄砲洲明石町一帯の約10ヘクタールに外国人居留地が設けられたのである。しかし、
                             横浜居留地の外国商社は横浜を動かず、主にキリスト教宣教師の教会堂やミッションス
                             クールが入る結果になり、このため、青山学院や女子学院、立教学院、明治学院、女子
                             聖学院、雙葉学園などの発祥地となっているのである。
                              現在この地区のシンボルになっている聖路加国際病院も、キリスト教伝道の過程で設
                             けられた病院が前身である。
                              また外国公館も多く、1875年にアメリカ合衆国公使館が設置され、1890年に現在の赤
                             坂に移転するまでここにあった。築地に置かれた公使館やキリスト教会の母国は 9カ国
                             に達し、最盛期には 300人以上の外国人が暮らしたと言われる。
                              しかし、その後築地居留地は1899年の治外法権撤廃で法的に廃止され、立ち並んでい
                             た洋館も、1923年の関東大震災で全て失われたのであった。アメリカ合衆国公使館の名
                             残は、当時掲げられた星条旗マークの5つのレリーフが、トイスラー祈念館の前と水辺
                             を望む大屋根公園に残されている。

                              聖路加国際病院は創設以来 100年を超える歴史を基に、キリスト教精神を重んじ患者
                             さん中心の診療と看護を実践しているといわれます。トイスラー博士の薫陶を身にした
                             日野原先生は真摯にそれを受け継がれ、その精神は現在も受け継がれているのです。
                              聖路加国際病院事業主体は、日本聖公会系列の学校法人聖路加国際大学です。
                              また「せいろかこくさいびょういん」は正式な読みではなく「聖路加」の正式な読み
                             は「せいるか」であるとのこと。一方、「せいろか」の読みも定着しており、職員も以
                             前はそのように発音していることがあったが、近年では積極的に正式名を用いており、
                             テレビ報道でも正式名称で紹介されることが多くなっているようです。新病棟が完成し
                             施設は近代化されて整いましたが、1901年に設立され、戦前の旧病棟の建設にあたって
                             は多額の資金を下賜されるなど、皇室との関係もありました。
                             「医療社会事業科」が設置されて医療ソーシャルワーカーが常駐しております。

                              聖路加国際大学の敷地内にあるトイスラー記念館は、聖路加の宣教師館として建てら
                             れたトイスラー記念館が移築されたものです。新しく復元されていましたが、前庭に小
                             川が流れ、クリーム色と緑の家は大きくはありませんがとてもよいセンスを感じます。
                              周りには緑がたくさんあり都心の大学構内ですが環境がいいところです。聖路加病院
                             旧館・聖ルカ礼拝堂の隣に建物の前にも流れるせせらぎがありますが、これはトイスラ
                             ー記念館の建物の下にある貯水槽から流れ出ているもので、災害発生時に断水した場合、
                             透析など医療用の原水として利用する目的で作られたそうです。日常的に循環させてい
                             ないと水質劣化が起き医療用原水として利用出来なくなるので毎日循環させている様で
                             す。

                              新旧の建物を結ぶブリッジを渡ってオッフィスタワーに行ってみました。
                              「聖路加ガーデン」は、アメニティ・オフィス空間と呼ばれる「聖路加タワー」とし
                             てシニアライフのための都市型レジデンス「聖路加レジデンス」を中枢にホテルやレス
                             トラン、スポーツクラブなど、多彩な機能をもつ、医・職・住・学・悠を融合させた都
                             市空間を銘打っているとのことです。
                              ビジネスタワーの2階に設けらえた広々としたロビーは周囲にいくつかの喫茶店やコ
                             ンビニエンスストアーを配し、勤務する人も寛ぎ易く過ごしている感がありました。ロ
                             ビーから直接続く外のテラス、大屋根公園からは、目前に隅田川と外海を眺められます。

                              わたしは一杯のコーヒーを飲みながら、その方向から吹いてくる夏の終わりの風に身
                             を委ねて少しの時を過ごしました。
                                                                             風次郎 
 

         
     トイスラー博士のレリーフ

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