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風次郎のColumn『東京楽歩』 (No533T−131)
桃の里(2018年4月)
2018年4月
東京楽歩(No131) 花春
早春の辛夷が終わり、木蓮が散り、華やかな桜のシーズンも終わりを迎えた国立界隈は、暖かいを
通り越して暑いくらいに感ずる4月早々の日々である。
木々に咲く春を告げる花々がどんどん開花している。
寒かった冬だったが、南天寮もそろそろ冬対策を解いて良かろうと、先週の一朝、早い時間の列車
に乗って中央線を下った。
いつものように国立駅を5時前に発つ電車を大月で乗り換えると、笹子トンネル、大日影トンネル
を抜け出た勝沼駅から見渡す朝の甲府盆地の眺めが楽しみだった。それは4月3日の新聞記事に「山
梨県笛吹市で桃の花が見頃を迎えた」と載っていたからであった。
今年は幸いにも、暖かさゆえに桃の花が早まりに、例年通りの桜の満開と重なっていたのであった。
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勝沼の駅(正しくは「勝沼ブドウ卿駅」)は甲府盆地を眺めるには絶好の場所にある。
「関東の駅百選」にも選定され、「四季折々の季節の中で勝沼の町のシンボルとなるぶどうの丘を
望む駅」としても有名である。もともと笹子峠に向かう甲府盆地東の傾斜地にあり、ホームは25‰の
勾配がある本線上に設けられておるので甲府盆地が一望できる。
さらにこの駅には、スイッチバック時代の遺構が「勝沼」を復刻した旧ホームなどとともに公園と
して整備され、駅前から公園にかけて植えられた約1000本のサクラが壮観である。毎年見頃をむかえ
ると、線路が高い位置を通っているため、通過する列車の内部からもこの様子を見ることができるの
である。
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トンネルを抜けた列車が駅に到着すると、まさに満開の桜に迎えられた風景が広がっていた。公園
駅「勝沼」の桜は停車した列車が再び発車してからも窓下に旧駅公園のホームに連なる桜がしばらく
続いている。その桜並木の向こうには甲府盆地に桃畑が広がって、文字通り桃色の花園のなかにいる
ようであった。
甲府盆地の東寄りにある勝沼市では、丘陵などに桃の木が約30万本植えられているとのことだ。
それに加え、高台から見渡す笛吹市など平野の大部に桃農家の畑が多く、春の花景色を満喫できる
のであった。
今年は暖かい日が続いたため、桃の花は例年より2、3日早く見頃を迎えたようである。
勝沼の桜を観て列車が平地に至ると、車窓は桃畑の中を走る格好になった。ところどころ街中を走
ったり、民家の軒を走るように過ぎたり、桃の里に織り込まれた生活の風情が相応しく春を奏でるも
ののようであった。
桃畑と家々の甍の続く甲府盆地の先には朝靄がたなびき、さらに南アルプス連峰が青空の下に、ま
だ真っ白な雪を光らせて続いている。
美しい春のパノラマそのものと言うのだろう。列車の走る軽妙な音を聞きながら車窓に体を斜めに
向けたまま、わたしは満喫した。桜と桃の花、花春の風景であった。
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「桃」という漢字は木偏に「兆」と書き、桃の花はとても多くの実(子供)を付けることから、多
産を意味する縁起のよい花とされ、そこから女性を象徴する花言葉がつけられたようである。「気立
ての良さ」「天下無敵」「チャーミング」などがある。
「天下無敵」は、古事記のイザナギノミコト(桃太郎)が、桃を投げつけて鬼女を退散させた逸話
からつけられたとされている。また、たくさんの実(子供)をならせることから、強い生命力の象徴
とされ、「桃太郎」が桃から生まれてくるのは、そこからの由来だと言われる。桃の木は万葉の頃か
ら霊力のある木とされてきた。
桃は「魅力的で豊饒なイメージの女性を指し、桃は女児への健やかな成長を祈るという意味と捉え
る伝統か。
△
東京は花見の桜も終わり、八重桜を待つばかり。散策の街角、公園の眺めも花が賑わう。
皐月の紫、白のユキヤナギ、満天星、ハナミズキ、黄色のヤマブキ、モッコウ薔薇、レンギョウも
咲き始めた。
春花は、すぐに初夏への誘いに変わっていくのだろう。
風次郎
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