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風次郎のColumn『東京楽歩』 (No525T−128)
    
                                              土肥の夕陽                                                                                                                                        

                                                                                2018年2月
          東京楽歩(No128) 土肥紀行(1)西伊豆夕陽


                                 毎年、2月の厳寒期には、ポンユウYとFと連れ立って伊豆の温泉へ出かけている。
                                 3人は信州の諏訪で高校時代を一緒に過ごした仲間で互いに今も東京の西部地域に
                               住んでいるから、ついつい集まりやすく、時々食事をしたり、飲み会でオタを挙げた
                               りする間柄である。
                                伊豆行きは新宿で飲んでいるときに、伊東園グループがバス送迎付き1万円に届か
                               ない料金で一泊旅行を宣伝していることを聞きつけ、ここで飲むなら「飲み代」で伊
                               豆の温泉に浸かりながらも悪くない、と始まった仕業である。
                                すでに、修善寺や長岡、松崎の温泉に行った。
                                西伊豆は今回の土肥で伊東園のグループの宿はマスターしたことになる。
                                私は会社勤めをしていた若いころ、かれこれ50年くらい前に社員旅行で連れて行
                               ってもらったことがあったが、湾の対岸か沼津方面へのフェリーの港があるだけのひ
                               なびた温泉町という薄らいだ印象しか残っていなかった。
                                前回3人で松崎へ行ったとき、土肥の街を通りすぎた高台にあった西伊豆の海を見
                               渡す岬のホテルの印象が良く、次回は!、と意見が一致していた。
                                これで西伊豆巡りの完了となる訳だ。

                                良く晴れた2月5日の朝、8時45分に新宿に集合した。
                                申し込みをしたときはバスが満席になりそうで、補助席になることも了解してほし
                               いとのことであったが、どうにか全員が着席の状況でバスはスタートした。
                                私たちの席は運転席に近い前のほうで見晴らしがよくラッキーだった。
                                ツアーは東名の海老名PAで小休止のあと伊豆の道路に入り、目的地修善寺、長岡
                               と順次それぞれの客を降ろしていくのである。
                                首都高も難なく過ぎ、東名に入ると青空を背景に雪の富士が雄大で素晴らしかった。
                                広がる冬枯れの裾野は、彼方まですっきりと見渡せ、近くに迫る富士を引き立てて
                               いた。
                                伊豆半島の中央道へ入るあたりのドライブイン「伊豆フルーツパーク」でも休みを取っ
                               た。東京では私の住んでいる国立辺りにも、まだ陽の当たりにくい北側には融け残
                               った雪があったが、もうイチゴ狩りの始まる伊豆にはその影もない。バスを降りてみると、
                               春の忍び寄る気配さえ感ずるのであった。
                                2か所のホテル前で沢山の乗客が降りて、バスの中は15人ほどになった。
                                狩野川に沿っていた道路、414号線は修善寺から天城へ向かって行くがすぐに1
                               36号線へと右折し、狩野川の支流、船原川と並行して土肥峠(船原峠)へと登って
                               いく。峠の下りは狭い道が蛇行の連続で続いており、かつては相当の難所といわれた
                               ところである。
                                峠道を降り切り、少しばかりの土肥の街並み半ばで左折して海岸沿いを岬に向かう
                               と右手は海原である。少し風があるのか白波の立つ青い海が広がっていた。
                                やがて岬の突端にある伊東園ホテル土肥に着いた。
                                バスはそのあと松崎にむかうのであったが、土肥では私たちの他5〜6人が降りた。
                                入口から広いロビーの先は大きなガラス窓になっており、その窓の向こうに大海原
                               が広がっていた。白い大きなソファーが並ぶロビーであった。
                                海を見ながらそのソファーに腰を下ろし、まずはバスの揺れを癒しつつ海を眺める
                               のであった。とても久しぶりな気がした。

                                13時を過ぎていたが昼食は町まで出るか、食堂でカレーライスなら食べられると
                               いうので、私たちは3人でそのカレーをいただくことにした。
                                伊東園は系列のどこのホテルでも昼食はそんなところ。旅慣れた伊東園ファンは自
                               前の弁当を用意したり散策を兼ねた街行き散歩を自ら考慮している人が多いようであ
                               る。
                                簡単にチェックインを済ませ、部屋のキーと夜具を預かって(格安旅であるだけに
                               セルフサービスが多いのは承知のうえだ)指定された部屋へ行く。
                                ホテルは高い斜面の上にあり、フロントの4階から上階の客室すべてが見晴らしの
                               良い海に面している。
                                私たちは6階の和式の部屋であった。部屋からも一面に広がる海が見えた。
                                さっそく風呂を浴びようということになり、浴衣を抱えて4階の大浴場へいく。
                                又々浴場からの展望が素晴らしかった。ロビーの大窓から見たと同じ海の広がりが、
                               西に落ち始めた陽の光にキラキラと光って美しく、風呂にもここも大窓から差し込んだ
                               陽光が、室内に明るく清々しく満たされていた。
                                浴槽から次第に陽が落ちるのを眺め、これから水平線に沈む夕陽の海の光景を想像
                               させられるのであった。
                                「これは良い。部屋に帰ってじっくりと眺めよう――!」と3人で申し合わせて、一
                               汗流した後の気分爽快を失わないように部屋に戻る。
                                FもYもカメラを嗜む人たちだから、窓辺の椅子に陣取って陽の落ちていくのを見
                               つめつつ待つのであった。15時30分を回っていた。
                                海は相変わらず風が起こす小さな波をあちこちに見せながら、それは広大な中にあ
                               ってはさざ波のように、アクセントのように漂っているかに見えて広がりを連ねてい
                               る。その先は凪いでいるかのように見える一帯の広がりであって、水平線には少々の
                               雲が浮いていた。
                                太陽は先ず、一段上の雲に掛り、その雲に一部を隠されていたがそこを過ぎると大
                               きな丸い火の塊のように輝き、私たちは歓声をあげた。
                                その円形の下端が海に触れると、夕陽が滲むような、光がまるで円形から漏れ出し
                               たかのように広がりをつくった。
                                カメラを構えた2人は、何回もシャッターを切って絶好の一枚を狙っているようだ
                               った。私も食い入るように西伊豆の海を眺めた。
                                夕陽を楽しみ、皆満足した。                                               
                                                                             風次郎


伊東園ホテル土肥

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