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風次郎のColumn『東京楽歩』  
  (No467T−116)
    
       迎賓館・主庭
                                                                                                                                     

                                                                                   2016年10月
          東京楽歩(No116) 迎賓館 赤坂璃宮

                       友人に誘われて、平成21年(2009)に国宝に指定された迎賓館(赤坂離宮)を
                      観てきた。ぐずついた天気の多い秋だが、たまたま素晴らしい秋晴れの日で、入場者も
                      千人を超えたと言うことだ。
                       迎賓館は明治時代に手掛けた、日本の西洋建築の粋と言えよう。正に偉容である。
                       四ツ谷駅から正面ゲートへ向かう整った松の木の並木道路を進むと、瀟洒な鉄格子の
                      門の向こうに白いネオバロックが輝いて建っている光景を眺める。
                       一般開館の当日、この正門の前で入場券の割り当てを受けることもできるが、入場を
                      制限しているのでインターネットで申し込むのが待たなくて良いようだ。友人の計らい
                      があったので、私達は直接西門の入場口から入った。国際空港の搭乗口並みの、厳重な
                      探知検査を受け、大人 \1000の入場料を払う。正面から入れないのはこの厳格な探知検
                      査の為だろう。
 
                       建物は日本で最もゴージャスな宮殿といわれている。1909年(明治42年)竣工し、当
                      時日本の一流建築家や美術工芸家が総力を挙げて建設した日本における唯一のネオ・バ
                      ロック様式の洋風建築物、当初皇太子(後の大正天皇)の住居・東宮御所として建てら
                      れたのであった。 
                       10年の歳月と510万余円(現在のお金に換算すれば500億円以上)の総経費を投じて建
                      設されたこの建築は、ベルサイユ宮殿に倣った壮麗なネオバロック様式で、地下1階、
                      地上2階建て。白い花崗岩に覆われた華やかで重厚な姿が周囲の緑の中で華麗に堂々と
                      して見える。

                       設計したのは明治期に活躍した建築家片山東熊(1854年(嘉永6年)- 1917年(大正6
                      年))である。
                       山口県生まれ。工部大学校の建築学科第1期生。 工手学校(現工学院大学)造家学科
                      教務主理であった東熊は12歳の幼さで奇兵隊に入隊、戊辰戦争では会津へ遠征と言う経
                      歴を持つ。その後ヨーロッパへと渡り、一年余りの時間をかけて宮殿建築の調査を行っ
                      て東宮御所の構想を練り上げたのであった。
                       東熊の作品には、東京国立博物館(表慶館)=1909年(明治42年)竣工。1978年(昭
                      和53年)重要文化財に指定された。(大正天皇のご成婚を記念して計画された日本では
                      じめての本格的な美術館)、グランドプリンスホテル高輪貴賓館(旧竹田宮邸)=1911
                      年(明治44年)竣工、京都国立博物館 特別展示館(旧帝国京都博物館 本館)=1895年
                      (明治28年)竣工。1969年(昭和44年)重要文化財に指定された、などがある。

                       東宮御所は戦後国に移管され、国立国会図書館など国会及び行政の機関に使用されて
                      いたが、戦後国際関係が緊密化し、外国の賓客を迎える機会が多くなってきたので、こ
                      の赤坂離宮が迎賓館として5年間をかけて改修され、昭和49年(1974年)に和風
                      別館を伴って完成したのである(本館改修は村野東吾、別館は谷口吉郎が設計)。
                       また、2009年(平成21年)には、本館、正門、主庭噴水池などが明治以降の建築と
                      しては初めて国宝「迎賓館」国宝に指定されている。

                       館内の観覧は、設けられた順路で外からの特設階段を上り、「彩鸞(ラン)の間」から
                      入って行った。
                       鸞は架空の鳥で、暖炉の両脇に金色の浮き彫りで配されている。白が基調の部屋にシ
                      ャンデリアが下がり、10枚の鏡は部屋を広く感じさせる。フランス(ナポレオン1世
                      時代)で流行したアンピール様式と言うのだそうである。
                       続いて「花鳥の間」、木曽産のシオジ材と言う茶褐色の腰壁がしっとりとした雰囲気
                      の中、その中段を飾る30枚の楕円形の七宝に、花や鳥が描かれているのである。この
                      部屋は主に、国・公賓の公式晩餐会が催される大食堂であるとのことだ。
                       次の「朝日の間」は国・公賓用のサロンに使われ、表敬訪問や首脳会談等が行われた
                      数枚の写真が展示されていた。
                       部屋の周囲にノールウェー産の大理石の円柱が16本、壁には京都西陣の美術織物が
                      張られ、床は桜花を紫色で織り出した見事なものであった。 
                       この建物で最も大きな部屋である「羽衣の間」は歓迎行事やレセプション、会議、晩
                      餐会など広く用いられてるとのこと。天井に謡曲「羽衣」の趣で描かれた300uの大
                      絵画が、また白い壁には楽器、楽譜をあしらった石膏の浮き彫りが、華やかな演出を想
                      わせる雰囲気であった。この部屋の3基のシャンデリアは部品が7000個にも及び、
                      高さ3m、800kgの最も豪華なものである。
                       迎賓館のシャンデリアはすべてフランス製でアントワープより輸入されたものだそう
                      である。全般的にフランス18世紀末の古典主義様式で、ベルサイユ宮殿に倣ったと言
                      われる所以であろう。
                       いづれも2階の部屋であったので、そこから中央階段の脇を通ってホールから観覧出
                      口に向かう観覧順路を進んだ。一階の正面玄間からこちらに向かう階段には大理石に赤
                      い絨毯が敷き詰められ、上がって2階大ホール正面に向かい合うと、入り口の壁には小
                      磯良平の「絵画」と「音楽」の油絵が飾られている。
                       訪れた客は、ここで心の寛ぎを得る機会を与えられるのであろうか――。

                       外に出て、大きな噴水池のある主庭を観た。快晴の青空が広がる日だったのが余計に
                      幸いして、秋の爽やかな迎賓館全景を眺める事が出来た。
                       帰り口が正面になるので、西入口脇から正面に廻った。正面の広場までは時間と人数
                      を限って無料で一般に開放されているので人影も多かった。
                       正面から眺める建物は少し仰々しい程装飾の凝らされた印象を受けた。
                       バルコニーのついた正面玄関があり、緑青の屋根には日本の甲冑を形どった装飾が左
                      右対称をなし手じ掲げられ、中央部には菊の紋章が飾られている。バルコニー2階右側
                      のレリーフは麦や果実等の農作物・農機具、スパナ・ハンマー等の工具がデザインされ、
                      農業・工業の振興を意味しているのだそうである。ここでも所々に桐紋と鳳凰(桐紋は
                      皇室と日本政府を表す)が配されている。また、建物左右の入口は其々皇太子・皇太子
                      妃の玄関として想定されたものであるとのことである。

                       国宝とあれば一見に値し、見事な建物、広大な敷地であるが、私的には厳粛な国の遺
                      産、言わば芸術作品を観覧するのに、厳格な入場チェックはともかく、作業衣にハンド
                      スピーカーを持った監視人が「壁に触るな」「前へ詰めろ」など鑑賞中もひっきりなし
                      にガナリたてる案内の仕方にはいささか辟易した。帰宅して友人に聞くと何人かの知り
                      合いもそんな印象が否めず不快感を顕にしている人は多いと聞くとのことであった。
                       内閣府の事務所が入場者の休憩所と同じ建物のなかの隣の部屋にあったが、職員は何
                      も感じないのであろうか。違和感も感じつつ国宝を後にしたのであった。
                                                                         風次郎


迎賓館正面・皇太子妃用に使われたの玄関

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