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風次郎のColumn『東京楽歩』
(No451T−111)
ルノワール「ムーラン・ト・゙ギャレット」
2016年6月
東京楽歩(No111) ルノワール展
六本木の新国立美術館で開催されている「オルセー・オランジェリー両美術館所蔵のル
ノワール展」を観に行って来た。
オルセーで観た「ムーランドギャレット」と「田舎の踊り」が東京で見られるのを、企
画を知った時から楽しみにしていたので、少し混雑も治まった頃と踏んで、先週ウィーク
デーの午後たっぷりと時間を取って出掛けた次第である。
今回の展示は、大半がオルセーからのものであるが、100点を超える作品を10章に
まとめ、それぞれを年代ごとにたどれる構成が分かり易くて良かった。それに注目のルノ
ワール最高の傑作「ムーラン・ド・ギャレット」とルノワールが結婚したばかりの若き妻
アリーヌに迸るような愛情をそそぎつつ描き揚げたであろう「田舎のダンス」、そしてそ
の絵画への情熱を余韻のように偲ばせる貴婦人の姿で現した「都会のダンス」の3点が、
特別に扱われて広い展示室に対峙して掲げられ、ゆったりと眺められたのは嬉しかった。
私はその「田舎のダンス」がルノワールの作品の中では一番好きな作品である。
この夫人の倖せ感溢れる豊かな表情こそ、ルノワールの持ち続けた情感と言えようし、
彼の描いた大半の女性に見られる表情はどこかでこの画の表情に繋がっているように思え
てならない。
10章をあらためて書き留めると、
1.印象派へ向かって 2.「私は人物画家だ」:肖像画の制作
3.「風景画の手技(メチエ)」 4.“現代生活”を描く
5.「絵の労働者」:ルノワールのデッサン 6.子どもたち
7.「花の絵のように美しい」 8.≪ピアノを弾く少女たち≫の周辺
9.身近な人たちの絵と肖像画 10.裸婦、「芸術に不可欠な形式のひとつ」
おおむね、19歳の職人が印象派に魅せられて画家としての人生を歩んだ、視点の変化
に沿ってまとめられ、激昂の心情を揺るがせなく表現しようとした誠実とも言いたくなる
作品たちが年代ごとに語り掛けてくるような作品群である。
40歳近くになって幸福な家庭生活を得たとはいえ、後半のリューマチに耐えつつ、絵
に取り組んだ人生は、何処までも絵画への挑戦であったに違いない。
初期の風景画は遠景まで細微に描写されているし、ウルトラマリンやコバルトブルーを
秘技のように絵具に織り込んで現わす光の眩しさは、やがて心友シスレーの画法へも賛意
を送りつつ、自分も取り入れているようだ。
ルノワールは、郊外のシャトーのレストラン「フルネーズ」の娘を描いたように、淡い
印象を漂わせる画法も取り入れ、それがあたかもルノワール流と受け止められたりもする
ようであるが、晩年不自由になってからの筆使いも、几帳面で、品性を失わない美しさに、
いつも裏づけられている制作であったように思う。眼をしっかりと描きあらわした作品が
多い。
ルノワールは何と言ってもオルセーに人気の高い作品が多くあって、私も巴里で観たと
きの印象が忘れられない。オルセーは展示室内も明るく、また写真撮影も制限しないので、
とても開放的な感じを受けた。加えて日曜日には入場料を免除して、パリを訪れる世界の
人々に開放しているなど、芸術が受け入れられることを、国として歓迎することの表れで
あろうと思えば、日本では文化レベル向上のためには、まだまだ社会として学ばねばなら
ないことが多くありそうに思う。
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オルセーでは気が付かなかったゴッホの描いたモンマルトルの酒場やレストランの絵が
「モンマルトルの丘と祝祭」と題するコーナーに展示されており、その中に「アルルのダ
ンスホール」の絵があった。ゴッホはアルルにゴーギャンを呼び寄せ、病にとらわれる前
のひと時共に制作に励むが、ゴーギャンのタッチに倣って描いた絵があったとは知らなか
ったので、興味深かった。
(風次郎)
田舎のダンス 都会のダンス
(いずれもパンフレッドから)
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