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風次郎のColumn『東京ジョイライフ』
No26(T-010)
世田谷・松蔭神社本殿
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2007年10月27日
世田谷・松蔭神社
風次郎
fuujiro@jcom.home.ne.jp
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宗教には関心があるが信仰心が高いと言えるほどではない。信仰と言う方向からでは
なく、心が和むのでその施設が持つたたずまいの静けさに引かれて寺院や社を訪ねるこ
とは人並みに好きな方である。
夏の暑い日の午後、世田谷の松蔭神社を訪ねたのであった。
今でこそ路面電車ではないが、その雰囲気を残して家並みの軒先をうねるように走る
東急の世田谷線に乗って三軒茶屋から2駅、「松陰神社前」の駅からすぐだった。
大きな鳥居をくぐり真っ直ぐな参道はそれほど長くなく、石畳の上を、日陰に身を寄
せながら境内に入っていく。思っていたより広い境内で、松蔭他烈士の墓所、社殿の
他にも幾つかの建物があり、都会にいて静かに思いを巡らして過ごす場所には丁度良
い感じがする。吉田松蔭を強く偲んで訪れる人も多かろうから、うつろに思いの時を
過ごすため、ではすこしもったいないかなとの考えも過(よ)ぎったほど境内は整い、
清掃が行き届いていた。
松蔭は萩に松下村塾を開き、高杉晋作など明治時代をリードした新進気鋭の若者を
育てたのであった。行動に行き過ぎはあったが、思想はしっかりと先を見つめ、勇気を
自分の行動に明確に表した人だと思う。
伝馬町にある牢獄あとにも行ったことがある。ただそこに松蔭が時を過ごした場
所というだけのことだが、その場所に威厳を感じた。安政の大獄は、今尚、世論に師と
仰がれる若き30歳にして生涯を閉じた青年を、育むことを容さなかったのである。
数年前、「萩、津和野の旅」というツアーに参加して、萩の松蔭神社の近くに1泊
したことがある。その時にはゆっくりと萩の松蔭神社を巡り、境内にある松下村塾の
空気を吸ってきたのであった。早朝から繰り出して、今尚形を残す志士たちの武家屋
敷も訪ねた。少しは新進気鋭を取り込んだような気がしたものだが、私にとっては気
だけのものに過ぎない。いや、他人は気の問題が大事だとも言うが――。
世田谷の神社は、松陰の門下生であった高杉晋作、伊藤博文たちが師を改葬した
墓に接して、やはり門下生によって祭られた処に建つ社である。
松蔭の指南は今も世に生息するといっていいだろう。
松蔭は18歳にして山鹿流軍学の免許皆伝を許されたというから驚くが、幕末の志
士はほとんど10代から20代という若さで活躍していることを思うと、現代は寿命
ばかりが伸びて、自分の生涯にしがみつく年寄りが多く蔓延り、若者の活躍する場が
無くなってしまったのだろうかとも思う。
容赦なく照りつける夏の陽を浴びながら、欧米先進国に憧れ、自らも実行に勇気を
奮いつつ、後進に道を預けた松蔭を偲び、散策して過ごした。
松下村塾のレプリカが建っている。本殿も立派だ。立派過ぎる。と、思う。本殿に
向かう門の脇にある鐘楼が、一発ゴーンと音を発して真昼の街を刺激したいほど美し
かった。(2007.8)
風次郎
気に入った鐘楼
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