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風次郎のColumn『東京楽歩』
(No600H−042)
南天寮の桔梗
東京楽歩(No600) 私的花語り(No42) 桔梗 2019.夏
南天寮の庭には毎年桔梗の花が咲く。
母が好んだこの夏の花は、ベランダの先の小さなビーナス像の脇に梅雨のころから茎
を伸ばし、炎天下の梅雨明けから月遅れ盆にかけて花を絶やさない。高原の空気に馴染
む清楚な感じの花である。
桔梗( Platycodon grandiflorus)はキキョウ科の多年生草本植物宿根草。本来山野
の日当たりの良い所に育つ日本全土の花であるが、朝鮮半島、中国、東シベリアにモ分
布するという。
背丈は40-100cm程度。葉は互生で長卵形、ふちには鋸歯があり、下面はやや白みがか
っている。清楚な花の印象に比し、黄白色の根は太く逞しい。もう一種母が愛した家ユリの
根は耐えてしまったが、桔梗は生きている。
つぼみの頃、花びら同士が風船のようにぴたりとつながっている。そのため英名では
"balloon flower" と呼ばれる。つぼみが徐々に緑から青紫にかわり、裂けて星型の花
を咲かせるのである。雌雄同花だが雄性先熟で、雄しべから花粉が出ているが、雌しべ
の柱頭が閉じた雄花期、花粉が失活して柱頭が開き、他の花の花粉を待ち受ける雌花期
があるとのことである。
花冠は広鐘形の五裂、径4-5cm、雄しべ・雌しべ・花びらはそれぞれが5本である。
前記のように盆の頃の花のイメージが強いが、実際の開花時期は六月中旬の梅雨頃か
ら始まり、夏を通じて初秋の九月頃まで続く。
桔梗(キキョウ)は万葉集(万葉集のなかで秋の七草と歌われている「朝貌の花」は
本種であると言われている)や家紋に使われ、古くから日本人に愛される日本の花であ
った。しかし、昨今、絶滅危惧種に指定され、本種の先行きは危うい。園芸品種には白
色や桃色の花をつけるものや、鉢植え向きの草丈が低いもの、二重咲きになる品種やつ
ぼみの状態のままほとんど開かないものなどがあるが、桔梗と言えば、やはり青紫の花
が夏風に揺れる姿でなければイメージが湧かない。
桔梗(キキョウ)の花言葉は「永遠の愛」「気品」である。
根はサポニンを多く含むことから生薬(桔梗根という)として利用されている。去痰、
鎮咳、鎮痛、鎮静、解熱作用があるとされ、消炎排膿薬、鎮咳去痰薬など、桔梗湯(キ
キョウ+カンゾウ)や桔梗石膏(キキョウ+セッコウ)、銀翹散、十味敗毒湯、防風通聖
散、排膿散などの漢方方剤に使われる。
長野県塩尻市の奈良井川第一河岸段丘を指す地域は桔梗が原と呼ばれる。
奈良井川の扇状地にあり、礫層の上に乗鞍岳由来の火山灰が堆積した、標高690
メートルから730メートルの台地であるが、水に乏しい土地で、川は一筋もなく、地下水
位は低く、さらに、火山灰の影響で土壌は酸性。
このため古くから農耕に適さない場所であったが、この原野にはただただ桔梗が咲く
夏があった処だという。ここが明治時代以降開拓が進められブドウなどの果樹やワイン、
野菜の一大生産地となった。いまや塩尻市はブドウの出荷量を誇るほどに、また、また、
当地にはワイナリーも増えて、長野県産ワインの8割は塩尻市桔梗が原で生産されるほ
どである。
ブドウと桔梗紫の因縁がどこかにありはしないかと――――。
今年も桔梗の花を飾って盆を迎えることにしたい。そして、絶滅しないよう大事に育
てたい。
風次郎
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