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風次郎のColumn『東京楽歩』  
  (No322H−013)
         
         野菊    

                                                         
       東京楽歩(H-013)  私的花語り(No13)「野菊」                                  ─2013秋─
                              
                                                

                                 菊の季節である。
                                 私は野生のごとき菊が庭に咲いて年々広がっていくのを見るのが好きだ。と同時に、
                                一本ごとに鉢に植え見事に育てたり、菊人形を創作して展示会が開催されたり、美し
                                い花姿を見るのは楽しみだ。ところが‐‐‐‐、
                                 散歩道沿いに可愛らしく、美しく咲いた菊の花を見つけ写真にとって原稿を書こう
                                と書物を紐解いたら、今まで知らなかった菊の知識を大いに啓発されることになった。
                                 つまり、野菊は野菊としてキクと分けて認識すべしと言うことである。

                                 何と野菊(のぎく)そのものは野生の菊であり、一般に栽培されている菊は、和名を
                                キク(キク科キク属)と言い、野生のものは存在せず、中国で作出されたものが伝来し
                                たのだと知った。したがって、菊(キク)の野生種というものはないことになり、どう
                                も野菊は菊と別の物であるということ。しかしながら、日本にはキクに似た花を咲かせ
                                るものは多数あり、「野菊」というのはそのような植物の総称として使われている。と
                                書かれているのだった。

                                 キク科の植物は日本に約350種の野生種があり、帰化種、栽培種も多い。多くのも
                                のが何々ギクの名を持ち、その中で菊らしく見えるものもかなりの属にわたって存在す
                                るということである。
                                 つまり、「野菊」は、野生の植物でキクに見えるもののことであるとのこと。野菊に
                                関しての解説をもう少し書き加えたい。

                                 菊の花と一般に言われているものは、実際には多数の小さい花の集合体で、これを頭
                                状花序と言う。頭状花序を構成する花には大きく2つの形があって、1つはサジ型に1
                                枚の花弁が発達する舌状花、もう1つは花弁が小さく5つに割れる管状花である。
                                 キクの花の場合、外側にはサジ型の舌状花が並び、内側には黄色い管状花が密生する
                                のが基本である。
                                 このような特徴のキク科植物は、非常に多く、ガーベラやヒマワリ、コスモスも含ま
                                れる。しかしこれらの花が野生で存在しても野菊とは呼ばない。草の形で言えば、ヒマ
                                ワリは大きすぎる。タンポポやガーベラのような、根出葉がロゼット状で、茎に葉がな
                                いものもそれらしく見えない。
                                 したがって、あまり背が高くならず、茎に葉がついた姿のものが「野菊」なのである。
                                 そして、菊は秋の花、秋に咲くものをこう呼ぶにすぎないということになろう。
                                 一般に「野菊」と呼ばれるのは、キク属キクと同属のものの多くで、株立ちになり、
                                茎は立ち、あるいは斜めに伸び、葉は互生して大きな鋸歯があったり、やや深く裂ける
                                ものが多い。管状花は黄色、舌状花は白のものと黄色のものがある。
                                 代表的なのは、山野に生えるものでは白い花のリュウノウギク、黄色い花のシマカン
                                ギク、キクタニギク、海岸に生える白い花のノジギク、コハマギクなど。特に最初の二
                                つが標準的な野菊らしいものだとのこと。
                                 何処にでも広がっていて庶民的に思う。
                                 この属のものはキクと同属なだけに、菊らしいものが多いが、イソギクなど舌状花の
                                ない花をつけるものもある。

                                 シオン属では単独の茎が高く伸びるものが多く、葉は根出状のものと茎の葉がつき、
                                茎の先端が多数枝分かれして花が多数つく。舌状花は白か紫を帯び、種子(実際には痩
                                果)には冠毛がある。
                                 野菊としては最もそれらしいのがノコンギクである。山間の沢から人里まで広く分布
                                するごく普通の野菊で、花は薄紫の、非常にヨメナに似た花である。
                                 ノコンギクの名で栽培品として店頭にも並んでいることがある。
                                 北海道のエゾノコンギクには、いくつもの亜種があり、中でもヤマシロギク、シロヨ
                                メナ、などは山野に生え背が高い野菊である。他に、シラヤマギク、やゴマナ、サワシ
                                ロギクなど背が高く花の小さい野菊がよく見かけられるといわれる。
                                 特殊なものとしては、塩性湿地に生育するウラギク、海岸の岩場に生えるイソノギク、
                                関東の河原に生えるカワラノギク、紀伊半島の瀞峡周辺の川岸にだけ生えるホソバノ
                                ギクなど、色々な場所にも適合するということか。また、広範囲な分布は菊が国民性に
                                親しまれる所以かも知れない。同属の中で最も普通なもののひとつ、ホウキギクはやや
                                湿ったところでよく見かけるが、これは帰化植物で、花があまりに小さいので野菊とい
                                う印象はない。

                                 ヨメナ属には地下茎があり、群落になる。葉は細い形のものが多く、種子には冠毛が
                                ない。なお、この属をシオン属に入れる考えもあるし、ヨメナを野菊の代表とする人も
                                多い。薄紫の花をつけ道端に最もよく見かけるからであろう。ただし、これは本州中部
                                以西のことであるとのことだ。
                                 近縁の似た種類が多く、カントウヨメナやオオユウガギクなど地域によっても違う種
                                があり、これらもすべて野菊と呼ばれる。

                                 ハマベノギク属はヨメナ属やシオン属に似ているが、種子の冠毛に二通りの長さのも
                                のがある。この属もシオン属に含める説がある。
                                 乾燥した原野に生え、細い葉をもち、白い野菊の花をつけるヤマジノギク。海岸の砂
                                地に生え、茎は這い、葉がサジ型のハマベノギクなどがある。
 
                                 ハマギク属の茎は木質化し、丸っこくて厚い葉をつけ、やや大柄な白い野菊の花をつ
                                ける。ハマギクは東北地方の海岸線に生育するが、江戸時代より栽培されていた。

                                 以上、多種多様だ。成育環境別にまとめると、
                                 道端ではノコンギクとヨメナ、それにこれらの近縁種、
                                 自然の豊かな野外では、上記二種のほかに、背が低くて花の大きなリュウノウギク(
                                白)キクタニギク(黄)、背が高くて花数の多いヤマシロギク、シラヤマギク、ゴマナ
                                などとなる。

                                 散歩の途中で見たものはヨメナやノコンギクであった。
                                 正しい花の名を知ることは、それとして納得のある意義深いことだが、野菊の場合「の
                                ぎく」という呼称そのものが、優しく懐かしい名称に感ずる。
                                 伊藤左千夫には「野菊の墓」と言う、正に愛らしい花を思わせる小説があるし、「野
                                菊」を謳った歌は多い。私には、「野」がついているだけで秋の庶民花と思えてしまう。 
                                  だが、「菊」は皇室の紋章ともされている高貴な印象をも齎す花だ。鎌倉時代の初め
                                後鳥羽上皇が菊の花の意匠を好み、「菊紋」を天皇家の家紋とした言われからとのこ
                                とである。
                                 五十円硬貨の表にデザインされたり、いずれにしろ日本の象徴的な花であって、親し
                                まれるに難くない。                                                      

                                                                                 風次郎                               

               

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