☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
       
風次郎のColumn『東京楽歩』  
  (No322H−012)
         
         日高の彼岸花(巾着田)   

                                                         
       東京楽歩(H-012)  私的花語り(No12)「彼岸花」                                  ─2013秋─
                              
                                                

                                 散歩の折、ふと街なかの民家の庭に真っ赤に咲いているのを見た。美しいが猛毒があるので住居
                                周辺にはあまり植えない花だったから珍しく映った。だが花そのものの美しさは秋の深まる頃のま
                                るで絶品と言えよう。
                                 数年前、関東ではこの花の名所である埼玉県日高市にある巾着田の500万本のヒガンバナを見
                                に行ったことがあった。
                                 一本の花は繊細でむしろ爽やか、だが広大な野に一面に咲いている様は艶やかな毛氈のごとしで
                                ある。たしか今にも雨の降りそうな空の日であったが、そこだけは明かるかった。

                                 彼岸花は道路脇の土手などに群生、9月の「お彼岸」の頃花を咲かせると言う記憶であった。
                                高さ30−50cmの真っ直ぐな花茎が地上に突出し、その先端に包に包まれた花序が一つだけ
                                付く。やがて包が破れ5−7個の花を見せる。花は短い柄があって横を向いて開き、全体としては
                                すべての花が輪生状に外向きに並ぶ。6枚の花弁は長さ40mm、幅約5mmと細長く反り返っている。
                                 花が終わる晩秋には長さ30−50cmの線形の深緑でつやがある細い葉をロゼット状に出す。
                                 冬中はその姿が見られるが、翌春には枯れてしまい、秋が近づくまで地表には何も生えてこない
                                のだと言う。
                                 花言葉の「再会」はその辺から由来するのかも知れない。
                                 秋の季語でありまた花言葉は、他に「情熱」「独立」「あきらめ」などがある。エキゾチックな印象でも
                                ある。

                                 日本には北海道から琉球列島まで見られると言われ、中国から稲作の伝来時に土と共に帰化した
                                ものと考えられている。
                                 その経緯については、土に穴を掘る小動物を避けるために有毒な鱗茎をあえて持ち込み、畦や土
                                手に植えたとの説もあるようだ。全草有毒な多年生の球根性植物である。
                                 今や人里に生育し、田畑の周辺や堤防、墓地などに見られることが多い。特に田畑の縁に沿って
                                列をなすときには花時に見事な景観をなす。湿った場所を好むが、時に山間部森林内でも見られる
                                場合がある。そのような場所はかつては人里であった可能性を示すのだそうだ。
                                 日本に存在するヒガンバナは全て遺伝的に同一であり、中国から伝わった1株の球根から日本各
                                地に株分けの形で広まったと考えられている。三倍体であるから種子で増えることができないのだ
                                からと聞いた。

                                 有毒性は、特に鱗茎にアルカロイドと言う毒成分を含んでいるからであるとのことで、経口摂取
                                すると吐き気や下痢を起こし、ひどい場合には中枢神経の麻痺を起こして死に至ることもあるそう
                                だ。
                                 田畑の周辺や堤防に人為的に植えられたと考えられているのは、目的が、田畑の場合はネズミ、
                                モグラ、虫など田畑を荒らす動物がその鱗茎の毒を嫌って避けるように、また墓地の場合は虫除け
                                及び土葬後、死体が動物によって掘り荒されるのを防ぐためだった。モグラは肉食のためヒガンバ
                                ナに無縁という見解もあるが、エサのミミズがヒガンバナを嫌って土中に住まないためにこの草の
                                近くにはモグラが来ないともいう。我が家の庭にもモグラが来るから一度試してみたい。
                                 鱗茎は猛毒の反面デンプンに富んでおり、有毒成分中リコリンは水溶性で、長時間水に曝せば無
                                害化が可能であるため、救飢植物として第二次世界大戦中などの戦時には食用とされたこともある
                                そうだ。また毒成分の一つであるガランタミンはアルツハイマー病の治療薬として利用さるとのこ
                                と、人知はあなどれない。

                                 別名「曼珠沙華」も一般的な呼称と言えよう。これは法華経などの仏典から「白くやわらかな花」
                                に由来する。白いものもあるそうだが現実は赤が大半である。また、「天上の花」という意味も持って
                                いる。
                                 また、毒を抜いて非常食とすることもあるので「悲願の花」という解釈もある(ただし、食用は一般
                                的には危険)そうだ。
                                 異名が多く、死人花(しびとばな)、地獄花(じごくばな)、幽霊花(ゆうれいばな)、剃刀花
                                (かみそりばな)、狐花(きつねばな)、捨子花(すてごばな)、はっかけばばあなどは不吉であ
                                ると忌み嫌われる呼び名だが、反対に「赤い花・天上の花」の意味で、めでたい兆しとされること
                                もあったり、日本での別名・方言は千以上といわれる。

                                 学名Lycoris(リコリス)、ギリシャ神話の女神・海の精であるネレイドの一人 Lycorias から
                                とられた。
                                 欧米では園芸品種が多く開発されている。園芸品種には赤のほか白、黄色の花弁をもつものがあ
                                る。
                                 韓国では、ナツズイセン(夏水仙)を、花と葉が同時に出ないことから「葉は花を思い、花は葉
                                を思う」という意味で「相思華」と呼ぶが、同じ特徴をもつ彼岸花も相思花と呼ぶことが多いとの
                                こと。

                                 今年もやっと彼岸までの暑さを終えて、秋の季節感が広がる野に、花を終えた彼岸花の姿を見る
                                のもいいと思う。――港街なら街のなかに数本見るのはもっと良い。

                                   赤い花なら 曼珠沙華 ――オランダ邸に雨が降る――
                                     濡れて泣いてる ジャガタラ―― −−−      ――未練な出船の、
                                         ――鐘 が鳴る  ララ 鐘 が鳴る―‐

                                 ‐ ‐ ‐ 侘しさが漂えば 秋は本物だ ‐  ‐  ‐
             
                                                                                    
                                                                                 風次郎                                  

メルマガ・風次郎の「東京ジョイライフ」「私的花語り」No13へ 
メルマガ・風次郎の「東京ジョイライフ」トップへ
風次郎の「東京ジョイライフ」ホームページのトップへ
風次郎の「八ヶ岳山麓通信」のトップへ
風次郎の「世界旅」へ