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風次郎のColumn『東京楽歩』
(No318H−010)
萩の花(ヤマハギ)”
東京楽歩(H-010) 私的花語り(10) 「萩」 ─2013秋─
南天寮の入り口の片方の垣に萩の木があって、秋を告げる花が咲いている。
今が見時である。
東京にもやっとあちこちに咲いているのが見えるようになったが、涼しくなり始め
るとすぐに咲き始める花だから、ススキと一緒で、秋風が早い八ヶ岳山麓の方が早く
咲くのだ。
一般にハギと称される種はほとんどがヤマハギだと言われる。
楕円形の2〜4cmの互生した葉が並ぶ多数の花枝の先端に、背丈より少し高い位
置でしだれて、房のように咲いている。
小さな紫の花が可愛い。
今年は盛夏の前に隣側の大きくなりすぎた椹(サワラ)の木をさっぱりと切ってし
まったから、ふわあーと広がって咲いている萩の花の見栄えが良くなったと思う。
萩は「秋が来た」と実感が伴う花である。
秋の七草のひとつで、日本のほぼ全域に分布しているようだが、古くから日本人に
親しまれ、『万葉集』にも141首で取り上げられ最もよく詠まれている花でもある
とのこと。万葉時代だけにとどまらず、文芸では萩の名所である歌枕として宮城野も
ある。ミヤギノハギの名に由来するのか、名が宮城野を由来するのか。
ススキと合わせて中秋の名月に萩、薄(すすき)を月見団子と共に月に供える風習が
まだ残ってはいる。庶民の楽しむ風流と言えよう。
萩もススキも、昔の日本では山野に自生する身近な植物であったのだ。背の低い落
葉低木ではあるが、木本とは言い難い面もある。茎は木質化して固くなるのだが、年
々太くなって伸びるようなことはなく、根本から新しい芽が毎年出てくる逞しさも漂
わせる。
ハギは、マメ科の植物である。荒れ地に生えるパイオニア植物で、放牧地や山火事
跡などに一面に生えることがあるとのこと、代表的なものにはヤマハギ、キハギ、シ
ラハギ、ツクシハギ、マルバハギ、ミヤギノハギ、このほか、マメ科植物でハギの名
を持ったものにはメドハギ・ヤブハギ・ヌスビトハギ・ネコハギなどの閉鎖花(花被
(かひ)片が開かず、つぼみのまま自家受粉・自家受精し、結実に至る花)もある。
ヌスビトハギ(盗人萩)などとは不名誉な呼び名だと思うが、これもマメ科ヌスビ
トハギ属の多年草。ひっつき虫と呼ばれる草類のひとつである。果実が泥棒の足跡の
形に似ていることからだと言う語り草である。奇妙に聞こえるが、古来の泥棒は足音
を立てないように、足裏の外側だけを地面に着けて歩いたとのことで、その時の足跡
に似ているからだとか。
また、ハギはマメ科植物特有の根粒菌との共生のおかげで、痩せた土地でも良く育
つ特性があるから、この特徴を買われて、古くから道路斜面、治山、砂防など現場で
緑化資材として活用されている。
現在では、ヤマハギ、メドハギの種子が、斜面緑化のための吹付資材として用いら
れているので、そういった工事の後の土手などに見かけることは多い。この点は実在
価値としての貢献もあるということだろう。
○
そう言えば仙台の銘菓に「萩の月」と言うのがあるのを思い出した。
最近では月見団子は流行らないから、名産店で手に入れて、月見でもしようか?
晴れた夜は山麓ではもう涼しさを通り越している。見上げる月は、今週は下弦に入
った。
台風が幾つか過ぎて行き、暑さの夏が去って、収穫と祭りの季節、そして、やっと
秋の風流?に近づきたくなる季節が来た。
その昔、ハギをいとしい人の記念に植えることがあったと言う。
――恋しくは形見にせよと我が背子(せこ)が植ゑし秋萩花咲きにけり――
(万葉集 巻10)
これは大人しいが、
――さを鹿(しか)の朝立つ野辺の秋萩に玉と見るまで置ける白露――
は、さすが大伴家持(巻8)、如何様に受け止めて許されるやら―――
風次郎
南天寮の萩 マルバハギ
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