☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
       
風次郎のColumn『東京楽歩』  
  (No304H−008)
         
         近くの家に綺麗に咲いた“あじさい”   

                                                         
       東京楽歩(H-008) 私的花語り(8) 「あじさい」      

 
                               私的花語り(No8)「紫陽花」             ─2013夏─


                               あじさいの歌    作詞 滝田 順  唄 石原裕次郎

                               花のよそおい 美しく
                               匂うそよ風 朝露あびて
                               ぬれた瞳に 火と萌える
                               心に秘めた あじさいの歌

                               花の香りも かぐわしく
                               かわすささやき かなでる調べ
                               咲いたあじさい あでやかに
                               よりそいうたう しあわせの歌

                               花のさかりを 美しく
                               燃える紫 ほんのり紅く
                               愛のしるしを ちりばめて
                               やさしくそよぐ あじさいの歌

                               あじさいの花が咲く頃は雨が多い。雨に咲く花と言われるが、夏が来たことと同時にその
                              前に過ごさなければならないこの雨の季節を想い、季節感をしっとりとした思いの中に過ご
                              すテーマの象徴と、“あじさい”を私は受け止めている。

                               あの頃――、感受性の変化を自ら感じていた少年時代から青年時代への道を歩んでいた
                              頃、ヨットに気を奪われて通っていた葉山の海岸であった。
                               この季節、雨では折角重いセールの袋を担いで行っても船を出すことができないことが多
                              かった。だから、晴れた日に当たった時の喜びは大きく、青い海と青い空をすべて我が物の
                              ごとく勇んだ思い出がある。
                               今はマリーナになっている葉山港は当時鐙摺(あぶずり)漁港で、その構内の一部がヨット
                              ハーバーになっていた。船を出すには、会社の宿舎からセールを担ぎ浜を歩いて通うのであ
                              るが、通りすがりに浜から見た民家の庭の紫陽花が、晴れた夏の陽に咲いていて、それは
                              美しく胸に焼き付けられたのである。以来、私はこの花を夏が来た象徴として崇めるように好
                              きになった。
                               ふわっと大きな花の塊、季節を通じての紫の範囲を広げた花色の変化、激しくなく咲いて
                              生き、立ち枯れしていく様を追って季節を過ごすのである。
                               今は色々な種類のこの花を、街中のどこでも目にすることができる。
                               今年も夏が来て、その季節の日々がやってきた。
 
                               歌詠みの世界でもあじさい(紫陽花)は夏の季語である。
                               万葉集には二首あって、

                             ○ 言問はぬ木すら味狭藍(あじさい) 諸弟(もろと)らが
                                                     練の村戸(むらと)にあざむかえけり(大伴家持)
                             ○ 紫陽花の八重咲く如くやつ代にを いませわが背子見つつ思(しの)はむ(橘諸兄)

                                と、やや固重いが、平安後期になるとしばしば詠まれるようになった。

                             ○ あぢさゐの 花のよひらに もる月を 影もさながら 折る身ともがな
                                                                     (源俊頼『散木奇歌集』)
                             ○ 夏もなほ 心はつきぬ あぢさゐの よひらの露に 月もすみけり
                                                                     (藤原俊成『千五百番歌合』)
                             ○ あぢさゐの 下葉にすだく蛍をば 四ひらの数の添ふかとぞ見る    (藤原定家)

                              いずれも淡々としている。
                             ただ、花言葉は「冷淡」とか「移り気」など素直に推奨できるものではない。花の色が移り変わる
                             からなのだろうが、その花の情緒性は文学や絵画の題材に取り上げられる事頻繁である所以は、
                             そういったことなのだろうか。
                              私も何度か水彩画を試みたことがある。眼に入るイメージは小品にするにはもってこいだと思う。

                              歌謡曲では比較的最近のもの(1960年代からのもの)だけでも随分あるようだ。いずれも「愛」
                             を唄う。
                              「あじさいの歌」  石原裕次郎   1960年
                              「紫陽花の詩」   グレープ    1974年
                              「紫陽花」     アリス    1975年。
                              「あじさい橋」   城之内早苗    1986年
                              「あじさいのうた」 原由子     1987年
                              「紫陽花の坂道」   熊谷幸子 歌、 1994年
                              「あじさい通り」 スピッツ 歌、 1995年
                              「あじさい」 サニーデイ・サービス 1996年
                              「アジサイ」 LINDBERG 1996年
                              「紫陽花のうた」 浜田省吾 1996年
                              「あじさい」 山崎まさよし 1997年
                              「紫陽花」 五木ひろし 1997年
                              「紫陽花」 TUBE 2000年
                              「紫陽花の咲く庭で」川澄綾子 2001年
                              「紫陽花」 シド 歌 2004年
                              「紫陽花」 椿屋四重奏 2005年
                            
                              アジサイの語源ははっきりしないと言われている。最古の和歌集『万葉集』では「味狭藍
                              」「安治佐為」と書かれ(前掲)、平安時代の辞典『和名類聚抄』では「阿豆佐為」の字を
                             あてて書かれている。もっとも有力とされているのは、「藍色が集まったもの」を意味する
                             「あづさい(集真藍)」がなまったものとする説とのことだが、相応しく思う。他にもいろ
                             いろあり、貝原益軒は「厚咲き」が転じたものであると説いたとか。
                              花の色がよく変わることから、「七変化」「八仙花」とも呼ばれることもある。日本語で
                             漢字表記に用いられる「紫陽花」は、唐の詩人白居易が別の花、おそらくライラックに付け
                             た名とのことで、平安時代の学者源順がこの漢字をあてたことから誤って広まったといわれ
                             ている。誤って‐‐‐と言われるが、私はこの字を充てるのが好きだ。

                               アジサイ(紫陽花=学名 Hydrangea macrophylla)は、アジサイ科アジサイ属の植物に対
                              する日本語の名称である。
                               最も一般的に植えられている球状のアジサイは、セイヨウアジサイ(ヒメアジサイ・テマ
                              リ咲きアジサイは別)であり、日本原産のガクアジサイ(Hydrangea macrophylla)を改良
                              した品種である。
                               この球状のアジサイはユキノシタ科の落葉低木。高さ1〜1.5メートルの株立ちになり、
                              若枝は緑色で太い。葉は対生し、広楕円形または倒卵形で長さ8〜15センチメートル、先
                              はとがり、縁に三角状の鋭い鋸歯がある。葉質はやや厚く、滑らかで艶があり、6〜7月ご
                              ろ枝先に球状で大形の淡青紫色の中性花(装飾花)からなる花を多数つける。4〜5個ある
                              萼片が大形の花弁状に見え、縁に鋸歯が出ることもあり、花弁は小さい。雄しべと雌しべは
                              退化して小さく、果実ができない。
                               最近は日本で生まれた母種、園芸品種で奈良時代からあったといわれるガクアジサイから、
                              たくさんの変化に富んだ品種が生まれて季節を彩っているようだ。私もガクアジサイの素朴
                              さを評価する一人である。紫陽花の名所が各地にあって楽しい。
 
                               ところであの花の色は何処に由来するのかを教わった。花(実際には萼)の色はアントシ
                              アニンという色素によるもので、アジサイにはその一種のデルフィニジンが含まれており、
                              これに補助色素(助色素)とアルミニウムのイオンが加わると、青色の花となるとのことで
                              ある。
                               土壌のpH(酸性度)によって花の色が変わり、一般に「酸性ならば青、アルカリ性ならば
                              赤といわれている。これはアルミニウムが根から吸収されやすいイオンの形になるかどうか
                              にpHが影響し、すなわち、土壌が酸性だとアルミニウムが溶け出し、吸収されて花が青色と
                              なり、逆に中性やアルカリ性であれば、花は赤色となるのだという。
                               したがって、花を青色にしたい場合は、酸性の肥料や、アルミニウムを含むミョウバンを
                              与えればよいとのこと。
                               開花から日を経るに従って変化する花の色については、最初は含まれる葉緑素のため薄い
                              黄緑色、徐々に分解されていくとともにアントシアニンや補助色素が生合成され、赤や青に
                              色づいていくのだそうだ。さらに日が経つと有機酸が蓄積されてゆくため、青色の花も赤味
                              を帯びるようになる。これは花の老化によるものであり、土壌の変化とは関係なく起こる現
                              象とのことである。

                               さて、今年は何処に咲くこの花を訪ねようかと新しい名所探しにも心がけている。

                                                                                 風次郎            

                 
                    母種ガクアジサイ                       白い花のアジサイ     

メルマガ・風次郎の「東京ジョイライフ」「私的花語り」No9へ 
メルマガ・風次郎の「東京ジョイライフ」トップへ
風次郎の「東京ジョイライフ」ホームページのトップへ
風次郎の「八ヶ岳山麓通信」のトップへ
風次郎の「世界旅」へ