☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
       
風次郎のColumn『東京楽歩』  
  (No301H−006)
       
         ご近所の庭園の薔薇   

                                                         
       東京楽歩(H-006) 私的花語り(6) 「ばら(1)」      ―2013初夏―

 
                               バラが咲いた バラが咲いた 真赤なバラが
                               淋しかった ぼくの庭に バラが咲いた

                               たったひとつ 咲いたバラ 小さなバラで
                               淋しかった ぼくの庭が 明るくなった

                               バラよ バラよ 小さなバラ そのままで そこに咲いてておくれ

                               バラが咲いた バラが咲いた 真赤なバラで
                               淋しかった ぼくの庭が 明るくなった ―――

                               バラが散った バラが散った いつの間にか
                               ぼくの庭は 前のように 淋しくなった
                               ぼくの庭の バラは散って しまったけれど
                               淋しかった ぼくの心に バラが咲いた

                               バラよ バラよ 心のバラ
                               いつまでも ここで咲いてておくれ  

                               バラが咲いた バラが咲いた ぼくの心に
                               いつまでも 散らない 真赤なバラが ―――― (浜口庫之介 曲詞) 

                               ばらの季節になった。ばらの愛好者は多い、そして「ばらの歌」も多い。
                               マイク真木が唄った上の曲は、「ぼくの庭の バラは散って しまったけれど 淋し
                              かった ぼくの心に バラが咲いた」の歌詞ところがとても好きで、よく聴き、謳った。

                               今頃は、街を歩くといたるところに「ばらの花」が見られる季節だ。艶やかに輝く緑
                              の葉ならびの中にしっとりと、深紅で大輪の薔薇を見る時こそ、豊かさを感ずる。
                              薔薇が「花の王様」と慕われることに納得の光景である。
                              目立って華やかなそれらの花は、ピース、バレー、ロイヤル・ハイネス、シャルル・
                              マルランといった外来種だ。
                               バラは種類が多く世界で愛されて、それが故改良種も多い。しかし、大別する原種の
                              中には日本の野生3種ノイバラ(野薔薇)Rosa.multiflora、テリハノイバラ(照葉野
                               薔薇)Rosa.Wichuraiana、ハマナス(浜茄子)R.rugosaが含まれていることは、ファン
                              として何となく心地良い。

                               我が家には薔薇の木はない。棘が苦手なのである。だから、棘の無い「モッコウバラ
                              」の小さな根を育て、私の書斎のベランダの手すりに這わせてある。今年はその可愛い
                              黄色の花が1か月あまりも咲いて楽しませてくれた。
                               モッコウバラ(木香薔薇、学名:Rosa banksiae)は、中国原産とのことである。黄
                              は秋篠宮家第一女子・眞子内親王のお印と聞いた。街を歩きながら、白い花が咲く種類
                              もあることを知った。この花が薔薇の季節の始まりを飾り、いまは大きな赤や白の、又
                              見事なクリーム色の花をつけた華やかな薔薇垣を眺められる本格シーズンに入った。
                               例年、腕自慢のごとく立派に育てた薔薇垣を見せてくれる近所のお邸数軒には、今年
                              も楽しませてもらっている。

                               薔薇は日本では、古くは「うまら」「うばら」と呼ばれ、
                              「みちのへの茨(うまら)の末(うれ)に延(ほ)ほ豆のからまる君をはかれか行か
                              む」などと『万葉集』にも詠まれている。
                               また、『常陸国風土記』の茨城郡条には、「穴に住み人をおびやかす土賊の佐伯を滅
                              ぼすために、イバラを穴に仕掛け、追い込んでイバラに身をかけさせた」とあり、常陸
                              国にはこの故事にちなむ茨城(うばらき)という地名があって、茨城県の県名の由来と
                              もなっているのだそうだ。
                               古くから親しまれているというものの、バラが野薔薇から庭園の花として、さらに「
                              花の女王」として愛好されるようになるのは明治以降であるらしい。
                               明治政府は「ラ・フランス」を農業試験用の植物として取寄せ青山官制農園(いまの
                              東京大学農学部)で栽培させたが、馥郁とした香りを嗅ごうとの見物客が多くなりすぎ
                              て、株には金網の柵がかけられたという。当時まだ、バラは西洋から来た「高嶺の花」、
                              一般に普及したのは大正から昭和にかけてであった。

                               茨の道とは人生行路の苦難を例えるのに使われる表現であるが、これは「棘」をもっ
                              て戒めの比喩であろうか。美しき花にこそ天が与えた外からの備えを保持している例え
                              とすれば、注意深く優れた美しさを鑑賞すべき戒めかとも取れる。
                               野に咲く薔薇は愛らしく誠に見応えがあるが、庭や垣に手を入れて構成された薔薇苑
                              を見ると心豊かに思う。

                               その姿美しき故、個の姿が写真や絵画に多様な美観をもたらす対象として扱われてい
                              る薔薇は、どこまで行っても「花の王様」ということであろう。
                               薔薇描きに打ち込み97歳で絶筆するまで800点を超える作品を残したのは中川一
                              政である。真鶴の美術館には独特の表現の絶筆が飾られていた。
                               私の画の師(菊地鉄楼=故人)も亡くなる前の数年、毎週土曜日には近所の花屋から
                              自宅に薔薇を届けさせて描いていた。「とても中川のあのタッチは真似できない」と口
                              走りながら、わが師は線の目立たない雰囲気を大事にした画風であったが、やはり絶筆
                              は「薔薇」だった。
                               私も一度だけ「ばら」を描いたことがある。師に連れられて深大寺の庭園で挑んだも
                              のの、とても物にはならなず、途中で筆を止めてしまった思い出がある。
                               私の描けるような、そんな美しくもない「ばら」は無かったのである。

                                                                                 風次郎
            

                 
                 薔薇の花は見飽きない、弦薔薇も良いと思う     

メルマガ・風次郎の「東京ジョイライフ」「私的花語り」No7へ 
メルマガ・風次郎の「東京ジョイライフ」トップへ
風次郎の「東京ジョイライフ」ホームページのトップへ
風次郎の「八ヶ岳山麓通信」のトップへ
風次郎の「世界旅」へ