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風次郎のColumn『東京JOYLIFE』  
   No298(C-26)
   
竜王駅北口
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          中央線各駅停車 26.竜王                                                   

                         下り線の列車が甲府駅を出ると私はわが領域に入った感を持つ。そこには遥かに八
                        ヶ岳が見える車窓があり、いつも信州への誘いが、帰郷への感傷とともに待っている様
                        な気がする。
                         発車ベルが鳴り終わり、ゆっくりと進む列車の窓に目を凝らす。甲府駅の北側にせ
                        り出している丘陵が視線から消え、畑地になった丘を越えると、走り去る建物の間に八
                        ヶ岳の姿が現れる。
                         八ヶ岳は南面のパノラマが遠望から始まる。形は小さいが丁度権現から赤岳へ渡る
                        キレッドの谷を通して、南側からはなかなか見え難い阿弥陀岳、中岳が姿を見せ、文
                        字通り八つの峰を現すのだ。八ヶ岳は必ずしも横並びではないから、全容を眺められ
                        るのはここしかない。だから、私は常に右側車窓から眼を離さない。
                         今回も新たに雪を被ったその朝の「春八つ」に満足の眼を向けて、しばし楽しむこ
                        とが出来た。晴れていなければ之は叶わない。
                         反対側の南向き車窓には、次第に迫りくる甲斐駒の三角の峰と鳳凰三山に始まる南
                        アルプス連峰の稜線が、富士川の谷に向かって棚引いている。
                         ここから信州に向かっては山岳列車らしい中央線を楽しめる時間が続くのである。

                         列車は竜王駅へ入っていった。
                         竜王駅は明治36年12月に開業し、以来当時の竜王町の玄関口として利用されて
                        きた。島式ホーム2面3線を有し、橋上駅舎を有している。また、この駅は山梨県唯
                        一の貨物列車発着駅であり、旅客駅南口の西側に1面2線のコンテナホーム(ヤード)
                        が設置され、100メートルほどの荷役線がある。
                         当駅を発着する貨物列車はすべて高速貨物列車。また、コンテナホームと本線を挟
                        んだ向い側には、新日本石油甲府油槽所が置かれ、その荷役設備へ続く専用線も敷設
                        され、1日2往復横浜の根岸駅との間に石油輸送列車が運行されているのである。

                         竜王駅の所在は山梨県甲斐市竜王新町、2004年(平成16年)9月1日に発足し
                        た甲斐市の南西部、旧竜王町竜王新町の南部平坦地に位置する。
                         平成18年3月に、利用客の利便性を図るとともに、合併後の新市のシンボルとなる
                        よう、世界的建築家の安藤忠雄設計による竜王駅周辺整備事業が行われ、平成22年3
                        月、デラックスに完成した。
                         地上駅舎時代は南側のみに駅舎があり、北側にある旧敷島町地域からは当駅から東側
                        へ200mのところにある中央本線のガード下をくぐらなければならなかったが新駅舎
                        の供用が開始されると駅舎を挟んでの交通は利便性を増し、広い豪華で真っ直ぐなガラ
                        スの回廊からは遠く南アルプスと八ヶ岳の眺望が楽しめる。
                         正に安藤氏の設計の雄大さがもたらす芸術性の高い駅舎は田園風景に突如として現れ
                        たモニュメントの感があり、時に違和感を催すくらいだ。合併で誕生した甲斐市を鎹に、信
                        玄公が築いた信玄堤の聖牛をイメージし設計されたとのことである。南口および北口の
                        ロータリーが整備され、南口は「富士山ゲート」、北口は「昇仙峡ゲート」と名付けも
                        凝っている。
                         東日本旅客鉄道の直営駅であり、隣接の塩崎駅をも管理している。2004年に当駅
                        を含む区間が東京近郊区間に組み込まれた。パークアンドライドの推進のため、朝晩の
                        新宿方面への「特急かいじ」が一部当駅を発着する。

                         甲斐市は、甲府盆地の中西部に位置し、共に連携し発展してきた旧竜王町・旧敷島町
                        ・旧双葉町の三町の合併により平成16年9月1日に誕生した。
                         甲府盆地の北西部を流れる釜無川の左岸に広がる南部には、住宅地と農地が混在する
                        平坦な里、豊かな森林資源や自然景観を有する北部には、中山間地域が広がる。
                         南部地域は、度重なる釜無川の氾濫と、氾濫を鎮める人間の知恵と努力が肥沃な土壌
                        を生んだところと言われ、四百数十年の歴史を経て今なお雄々しい姿をとどめる戦国善
                        政の跡形「信玄堤」がある。
                         一方、秩父多摩甲斐国立公園に指定される森林地帯に連なる北部地域は、昇仙峡など
                        の景勝地を有し、自然条件を利用した果樹栽培やワイン醸造も行われ、沢沿いや谷筋な
                        どに形成された集落群とあわせて観光地化が進んでいる。

                         下車して駅前の散策に有富山「慈照寺」を訪れた。
                         竜王駅、西側の第一信州往還踏切を渡り、旧甲州街道を進み赤坂を登る手前を左折す
                        ると、ちょっとした小高い丘の佇まいだった。慈照寺には竜王の地名の由来とも言われ
                        る竜王水が湧いており、山門、法堂のある境内で春の陽を浴び少時の寛ぎを得た。

                                                                       風次郎                                                                                    

     
    竜王駅南口と広く見晴らしの良い橋上駅通路     

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