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風次郎のColumn『東京JOYLIFE』  
   No288(C-21)
  
朝の山梨市駅
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          中央線各駅停車 21.東山梨から山梨市へ                                                  

                      果樹園の中の駅、東山梨の駅のホームに立つ。塩山方面も山梨市駅方面も真っ直ぐ
                     な線路が続いていた。
                      私はホームを降りて、駅の渡線路の脇から外へ出た。そして線路沿いに続く果樹園
                     の中の道を再び歩き始めた。ぶどうの芽はまだ茎の中に待機しているようだ。
                      そして盆地から眺める山梨の山々は高い。それを仰ぎつつ歩く。

                      美しい山々を眺めながらの列車旅は最高である。まして冬は、その裾野に雪の広が
                     る白い世界の中に、灰色の線で浮かぶ葉を落とした木々と、常緑の針葉樹林が並ぶあ
                     たりから端正に立ち上がる高い峯への斜面が良い。淡い影と濃い影の雪模様を連ねて
                     いる風景、この図は山で育った人間だからこそ、伝わり受けることのできる朝の静寂
                     感であろうか。また季節の慰めであろうか?
                      山が高ければ高いほど、斜面が続けば続くほど、大きさに引き込まれていくような、
                     抱かれているような気持ちになる。心地良い車両の揺れに乗せられて、愉しい時は流
                     れていく。
                      そして時折、促されて列車を降り、その風景に抱かれて過ごす時もまた、列車旅の
                     中に含まれる贅沢な過ごし方なのかと思う。
                      地に立てば、そこには誰にも共通にもたらされる安堵と清陵域へ誘われる気分があ
                     る。そそて、自然に生まれる感情や、その地の人々の感情を味わう豊かな時の流れが
                     予感できる。生きている日常からの当たり前の誘いなのであろうかとも思う。

                      ぶどう園の中の径が終わると、私は雪を踏んでそのまま果樹園を進み、次の駅に近
                     い部落まで行った。部落では起き出した民家の主が、「早くから、どっから歩いてき
                     たね!」と声をかけてくれ、白い息を吐きながら「今日はいい天気になりそうだで」
                     などと言葉を交わしてくれた。駅は近くの大通りに出て鉄道を陸橋で越えればすぐだ
                     とも教えてくれた。
                      大通りに出た頃に朝陽が登りはじめ、通勤や通学の人々の駅に向かう姿が多くなっ
                     てきた。
                      陸橋の上からは駅が確かめられた。
                      陸橋の坂を下り、大きな信号を渡って駅前の広場に着いた時は7時30分だった。
                      山梨市駅前は「夢の実広場」と名付けられ、市民のいろいろな姿を形どった像の立
                     つモニュメントを中心に、ロータリーが設計された広い駐車場のあるモダンな感じの
                     広場になっている。
                      私はリックを下ろして、汗を拭いつつ朝陽を浴びた。
                      この街には「街の駅やまなし」と称する山梨市営の地域交流センターが駅の近くに
                     にあり、訪れた人が憩い、交流できる場があるとのことだ。施設内には、研修やイベ
                     ントに利用できる会議室や広場のほか、足湯やチャイルドスペースなどの交流の場も
                     あるという。市民は訪れる人々との交流を願っているのだろう。
                      全般に山梨の中央線沿いの街は駅前の近代化も整っているし、他地域からの来訪に
                     も適宜応える施設が充実しているように思う。県が観光に留まらず触れ合いをリード
                     している感もある。

                      山梨市が位置するのは山梨県の中部にあたる。2005年3月22日に、東山梨郡
                     牧丘町・三富村と合併して、新山梨市が発足した。それまでも1954年(昭和29
                     年)に合併発足した同名の旧山梨市があったが、この新発足で人口は36000人に
                     なった。
                      歴史的には古い地域だ。
                      一般に甲府盆地は河川の扇状地で氾濫原であったため、縄文時代の遺跡は少ないと
                     いわれるが、この市内の笛吹川や支流流域にはいくつかの縄文遺跡が分布している。
                      後期旧石器時代から縄文時代草創期には八ヶ岳西麓地域を中心に遺跡が分布してい
                     るのであるが、この地、東後屋敷遺跡から出土している掻器が縄文草創期である可能
                     性が指摘され、甲府盆地東部の花鳥山遺跡や釈迦堂遺跡群(ともに縄文早期・笛吹市
                     )との関連も含め古くから開けた場所とも考えられている。
                      又、鎌倉時代から戦国時代にかけて甲斐の国は守護である武田氏の支配下にあり、
                     室町期には武田信昌の隠棲地で菩提寺である永昌院の存在や武田信縄の館跡はここに
                     あった。
                      武田氏が本拠を甲府に移転する以前の政治的中心地に属していたと考えられている。

                      山梨市駅は東日本旅客鉄道中央本線の駅である。駅舎側(東)に単式ホーム1面1
                     線、その奥に島式ホーム1面2線を有する地上駅。両ホームは跨線橋で結ばれている。
                      1日の利用客は約2000人。木造平屋建ての駅舎は、平成17年に改修されたも
                     ので駅としては質素な感じがした。
                      山梨市はデザインコンセプトを「自然の恵みと文化の香りが調和した街=フルーツ
                     ・ガーデン・シティ」として意気込み、木目調の外壁や西欧風本葺き形瓦の採用など、
                     甲府盆地とその周辺景観との調和を考慮した外観としたとのことである。
                      1903年(明治36年)6月11日、国鉄中央本線が初鹿野駅(現甲斐大和駅)
                     ・甲府駅間の開通と同時に日下部駅(くさかべえき)として開業した。ここは元(旧
                     山梨市発足前)東山梨郡日下部町であった。現所在は山梨市上神内川、1962年(
                     昭和37年)山梨市駅に改称された。

                      狭い駅の待合室は通勤通学の人々が改札へ急いでいる時間だった。一息入れた私は
                     ここから再び列車に乗ることにした。                     
                                                                       風次郎                                                                                    

    
    山梨市駅前「夢の実広場」のモニュメント     

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