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風次郎のColumn『東京JOYLIFE』  
   No260(C-15)
  
 大月駅と岩殿山
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                                                     2012年11月25日
中央線各駅停車15.大月
                                                  

                      猿橋駅を出た列車は、右手に町並みを少し眺めつつ、まだ山中の感が抜けないまま進
                     む。右眼下に駒橋発電所を見つつしばらく行くが、小さなトンネルを経てやや大きな鉄
                     橋があり、すぐに殺伐とした感じのセメント工場の構内が眼に入ると駅に入っていく。
                      右手北側に、大月ではどこからもあのドデカイ岩(兜岩)の出っ張りが見える。それが
                     大月の殿山城址。ユニークな岩壁である。

                      大月市はJR中央本線や中央自動車道、国道20号などの幹線交通網、更にこれらの
                     交通網と交差する国道139号や富士河口湖町に向かう富士急行線などの分岐点に位置
                     し、古くから交通の要衝である。
                      全面積の約87%が山林であることから、豊かな緑や清流など美しい自然環境に恵ま
                     れているとともに、富士山の北東約30Kmに位置していることから、「秀麗富嶽十二景」
                     に制定された美しい富士山の眺められる街である。

                      平成19年度に着手した大月駅前広場の整備がおわって綺麗になった。
                      駅舎は丸太造りの平屋建て、山小屋風で1928年(昭和3年)11月に完成したも
                     のである。当時としては丸太造りの駅舎は珍しく、JR東海高山本線飛騨小坂駅の駅舎と
                     ともに知られているとのこと。この丸太作りの風情から、関東の駅百選に選ばれている
                     とのことだ。
                      単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線、あわせて2面3線のホームを有する地上
                     駅、互いのホームは跨線橋で連絡している。
                      JR東日本の直営駅であり、梁川駅−笹子駅間の各駅をも管理している。
                      東京方面からの通勤列車(快速電車)の一部が当駅まで運転されるが、その中には当
                     駅で車両を切り離し、富士急行線河口湖駅まで直通するものもある。既に首都通勤圏の
                     地位も確保したということか。
                      富士急行のホームでは発車メロディに文部省唱歌「ふじの山」が使用されて和やかだ。
 
                      岩殿山は、大月駅の北東に聳え立つ、市のシンボルともいえる標高634m、武田氏
                     の臣小山田氏が築いたといわれる城の跡地である。城といっても居城ではなくのろし台
                     などの軍事的役割を果たした山城と言われている。
                      その山の岩肌がユニークな目立ちに惹かれて、一度登ってみたいと思っていたので、
                      この秋の好天の午後に大月駅に降り立った。

                      綺麗になった駅前広場を左に抜けて国道139号から北に向かい、中央高速道の手前
                     の登山口を入る。
                      登山道とは言っても階段状に整備されて、急ではあるが登りやすかった。
                      「岩殿山ふれあいの館」が中間にあった。一帯は丸山公園と呼ばれ、ここからの市街
                     地、渓谷を経由して富士に至る山並みの風景も素晴らしい。「ふれあいの館」にはたく
                     さんの富士の写真が地域の特産品と共に展示されている。なんとプラネタリウムまで設
                     置されている。
                      山頂まで一息というところに「稚児落とし」という列車から見える大岩壁(兜岩)へ
                     の分岐があった。岩の上から覗くというわけにはいかず感激はないが、尾根歩きのよう
                     なスタイルで横からの岩の壁を眺めながら散策ができるのであった。
                     そして山頂は岩殿城址である。
                      山頂展望台からの富士の眺めは「秀麗富嶽十二景」にも選ばれていて、まさに絶景で
                     ある。

                      私は、この初夏に武田家終焉の地「甲斐大和」を訪ねた時、武田勝頼は大月の小山田
                     氏に身を寄せることを断たれ、最後の決断を為したといわれるいきさつも思い出しつつ、
                     暫し山頂の城址に佇んだ。
                      狼煙場の跡(ここが最高地点)には2本の電波塔が立っていた。
                     奇妙な一致はこの標高634mは東京スカイツリーと同じ高さである。

                      城址の検分?や富士の展望を楽しんだ後東側への下山路を試みた。
                      麓には、県重要文化財指定の七社権現立像が安置されている真蔵院があった。そこか
                     らは秋の夕日に映える中、「石の杖」という名所のある石動部落を通り、中央高速脇の
                     道を歩いて猿橋駅へと辿ったのであった。
                      街道筋から改めて見上げる岩殿山は、西日に照らされた岩肌が大きく反射しているよ
                     うに見えた。

                      あの昔話のヒーロー「桃太郎」が活躍した場所は、実は大月だったとも言われる。
                      ―― その昔、岩殿山には暴れん坊の鬼が住み、里の人々を苦しめていととのこと、
                       一方、岩殿山の東側に立つ百蔵山には沢山の桃の木が生えていとという。
                       ある日、たわわに実った桃の実の、中でも特別に大きな実がポトリと川に落ち、下流
                      の「鶴島」(上野原)市に住むおじいさんとおばあさんに拾われたのだそうだ‐‐‐。
                       ‐‐‐‐桃太郎は、鬼退治に行く途中、「犬目」(上野原市)で犬、「鳥沢」で鳥、
                      「猿橋」で猿を家来にした。そして勇気リンリンと攻めていく。その時、犬が投げつけ
                      た「石の杖」が大地震を起こしたため、石の落ちた付近を「石動」(大月市賑岡町)と
                      呼ぶようになったのだそうである。
                       ――そんな話も時には楽しい。

                       岩殿山の岩壁が輝く。
                       大月市を通る甲州街道は、かつて徳川幕府が開設した五街道のひとつ。江戸城が万が
                      一の事態に遭つた時には甲府城を幕府の拠点にするための重要な軍用路でもあった。
                       信州下諏訪までの四十五宿の宿駅のうち、市内には下鳥沢宿から黒野田宿まで十二宿
                      もあったのだそうだ。
                       四百年を経ても人々の生活に根ざした道として活用され、今なお、あちらこちらに歴
                      史の香りが感じられるようである。
                       一方で、現代は時代の先端を行くリニア実験線の拠点にもなっているのであるが――
                      ―。
                                    

                                                                           風次郎           

  
大月駅構内
        

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