☆☆☆

風次郎の世界旅
 2011冬のドイツの旅
(12)

music by TAM Music Factory

                
                           牧場の中のヴィーズ教会              雪の中に見えてきたノイシュヴァイ           

      12)雪の中のノイシュヴァイシュタイン城                           

                            曇り空の下、ミュンヘンを発つたバスは市街地を出るとアウトバーンへは向わず、一般
                           の幹線道路を走って行った。今日はフッセンからノイシュバイシュタイン城へ向かうので
                           ある。
                            私たちの行程には世界遺産に登録されたヴィーズの巡礼教会へ立ち寄ることも含まれて
                           いた。
                            バイエルン州南部はスイス、オーストリアとの国境、アルプスにつづく山岳地帯にかか
                           っている。12月であればこその雪の山々を背景に森と湖が次々と美しい風景を連ねてい
                           た。
                            牧歌的な地帯であった。
                            地図を広げるとミュンヘン、フッセンの間には幾つもの湖を渡っていくように道路が巡
                           っている。時には湖を眺め、時には枯れ草の広がる丘を眺め、部落を見たかと思うと街並
                           みを通り抜けたりしながらバスは進んでいった。
                            2時間も走った頃、いつの間にか雪が降りはじめ、バスの窓にも掛かっている。
                            シュタインガーデンという小さな街並みを過ぎて田園地帯の丘を登っていくと林に囲ま
                           れた一帯の中に淡い色の教会が立っていた。それこそ「ヴィーズの巡礼教会」であった。
                            1983年世界遺産にも登録され、ロマンティック街道、アルペン街道の観光スポット
                           の一つであるとのことであるが、私たちの前回の旅では通過してしまったので初めてであ
                           る。

                            1738年、ある農家の夫人はシュタインガーデン修道院の修道士が彫った「鞭打たれ
                           るキリスト」の木像をもらい受けた。
                            ところが、ある日このキリストの像が涙を流したという。その噂は「ヴィースの涙の奇
                           跡」として広まり、巡礼者が農家に集まるようになったので、キリスト像を1740年に
                           は牧草地の小さな礼拝堂に移したが、巡礼者は増える一方であった。
                            そこでシュタインガーデン修道院が先頭に立ち、一般からの浄財を募るなどして建設資
                           金をつくり、1746年から建造されたのがこの教会とのことである。
                            教会は冬枯れの林の中に質素にひっそりと立っているのだった。雪の舞う通路を辿って
                           教会の中に入ると、礼拝堂の奥に哀れみのキリスト像が掲げられていた。厳かというより、
                           ヨーロッパ随一と言われている華麗な明かりに照らし出されたロココ調装飾が、私には優
                           しげな雰囲気に感じられた。
                            入り口の左側にオルガンが設けられ、礼拝席は2列に、思ったより狭い礼拝堂であった。

                            小さな売店と休憩所が駐車場の隣に建っていた。世界遺産といえ林の中の素朴さが印象
                           に残る処だった。そこは牧場の中だという。

                   ノイシュヴァンシュタイン城へ

                            雪は綿のように舞いながら振り落ちていた。
                            バスはヴィーズ教会から20分ほどでフッセンの町を通過し、レッヒ川を渡ってシュヴ
                           ァンガウに入っていった。やがてバイエルン王ルートヴィヒ2世の馴染んだホーエンシュ
                           ヴァンガウ城と、ノイシュヴァンシュタイン城が雪の舞うバスの窓に現れてきた。そこは
                           ドイツロマンチック街道の終点でもある。
                            ロマンの世界に取り込まれて生きたルートヴィヒ2世は、彼の父親が所有していたホー
                           エンシュヴァンガウ城で少年期を送ったのであるが、憧れたワグナーの創作する楽劇の世
                           界に酔い痴れ、その世界を具現化する城を造ろうと決意したのであった。その具現化こそ
                           ノイシュヴァンシュタイン城だったのである。(「ノイ (Neu)」は「新しい」の意)  
                            城は宮廷劇場の舞台装置・舞台美術を担当していた画家クリスチャン・ヤングに建設が
                           命じられた。このため城全体のグランドデザインは建築家でも技術者でもないまま王に従
                           ったのである。その結果、ドイツの城館に本来は必ずあるべき小聖堂や墓地さへもこの城
                           にはなく、洞窟などがつくられルートヴィヒ王の趣味のためだけに建設された実用には不
                           向きな城となったのである。
                            城は1869年9月に建設が開始され、1886年には、なんとか居住できる程度には
                           できあがった。これ以後、ルートヴィヒ2世は首都には戻らず、この城に住まうようにな
                           るが、その期間はわずかに102日間であった。狂気じみた王はベルク城に軟禁され翌日
                           謎の死を遂げてしまう。
                            しかし、「我が死後、城は破壊せよ」との彼の遺言に拘らず、残されているノイシュヴ
                           ァンシュタイン城は今、夢を伝える美しい城として世界の人気を集めつづけているのであ
                           る。
                            はなと私にとってはこの城は再訪である。前回は秋のライン川からロマンチック街道を
                           訪ねたときでであった。紅葉の山を登り、ペラートの渓谷に架けられた橋からお伽噺に出
                           てくるような、といわれる綺麗な城を眺めて感嘆したものであった。
                            雪の中の城が眺められるのは、たまたま今回のツアーにここが組み込まれていたからで
                           あったが、なかなかそういった機会に巡り合えるものでもあるまいと思う。冬の情景に期
                           待しつつ城に近づいたと言っていい。 
                            右にホーエンシュヴァンガウ城を見ながらやや急な坂を上り、殆どが日本人の利用客だ
                           という土産品店兼休憩所の前にバスを降りた。ただ2回目の降り立ちというだけなのに少
                           し懐かしい思いがした。 
                            雪はふわふわと「舞い降りてくる」というに相応しい降り方だった。冬は見学用のバス
                           も運休しているので、仲間の中には馬車を待つ(混んでいるので)人達もいたが、白くな
                           り始めていた坂道を親しくなった2〜3組の仲間と歩いて行った。近くの他の休憩売店か
                           らは他の国から来た人々も沢山一緒になった。日本人と見るや「こんにちわ!」と声を掛
                           けてくる家族連れもあって和やかだった。
                            少し登ったところにペラート渓谷の高い場所にあるマリエン橋に通ずる道への分岐があ
                           ったが今日は立ち入り禁止のバリケードが張られていた。車道の脇の山中を歩いていける
                           登山道も進入禁止であった。約40分の道のりだったが賑やかで、馬車の人達に手を振っ
                           たりして、楽しく歩けた。
                            雪は帽子や肩に溜まったが、軽く払うとさらりと拭えて寧ろ気分が良かった。
                            城門のすぐ下に参観者の休憩所と売店があってホッとワインが人気を呼んでいた。ワイ
                           ンは城の絵が描かれたカップに注いで渡されそのカップは記念に持ち帰ってよいとのこと
                           が原因かもしれない。雪の中で目前の華麗な城を見上げながら飲む暖かいワインは格別で
                           あった。
                            城は雪にかかわらず大変な混雑で30分ほど待たされて入った。螺旋階段を上り王冠の
                           シャンデリアのある4階王座の間、5階、吟遊詩人たちが詠唱力を競った「歌人のホール
                           」と豪華絢爛の部屋を巡った。今回は日本語のツアーガイドイヤホンが貸与されたので説
                           明が良くわかって良かった。ワーグナーのオペラの場面が飾られ現在もコンサートに用い
                           られている階上の大広間はやはり格別であった。気違い扱いされ悲劇的な最後であったル
                           ートヴィヒ王も今魂が甦ってそのばの椅子に居るか如くを想像したい遺産となっている。
                            時は流れた感を味わった。
                            写真撮影が禁止されていたので、窓から外の風景を数枚収めた。

                        
                       ノイシュヴァイシュタイン城     ホーエン・シュヴァンガウ城        

* 2011冬のドイツの旅(13)
* 風次郎の『東京 JOY LIFE』トップへ
* 『風次郎の世界旅』 トップページへ戻る