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風次郎の世界旅
 カナダの秋
(2)(3)

music by KASEDA MUSIC LABO

      
     カナダ滝(ナイアガラ・フォールズ)
     

 2.トロントからナイアガラへ

                      目的地ナイアガラは空港から約1時間とのことだ。空港はトロント市内から西よりに位置し、エリー湖とオン
                     タリオ湖を結ぶナイアガラ川の始まりにあるナイアガラフォールズはオンタリオ湖の南対岸になる。
                      沿道は街灯や所々にある建物のランプが見えるばかりで、遅い月はまだ空に無く暗い静かな街道を進んだ。

                      丁度一眠りするに良い時間だった。眠っているうちにバスはナイアガラ川沿いを上ってきたようだ。
                      添乗員の寺山さんの、
                      「これからナイアガラの町に入りますが、折角ですから遅い時間ですけど夜のナイアガラの滝を眺めていきま
                     せんか?」との問いかけに皆沸き立った。ちろん異存は無い。

 3.夜のナイアガラフォールズ

                      右手にナイアガラの繁華街が見えていた。クリフトン・ヒルという名前がついているとのことだったが、明かりを
                     煌々と輝かせケバケバしたネオンの街はラスベガス並にギャンブルで賑わっているらしい。若者の活躍するレジ
                     ャーセンターでもあるらしく、連れ立った姿もたくさん見えた。
                      すぐにバスの左手が開けて、闇の中に滝が見えてきた。
                      アメリカ滝である。すでに夜の照明がなされ、サーチライトの光に揺れる滝姿をゆっくりと巡り照らしている。
                      ああ!これがナイアガラの滝だ。バスに乗った一行の視線が一斉に左の窓に向けられた。それはスクリーンに
                     映し出されたすだれのカーテンのようだった。
                      続けてすぐに右隣の目の前に水しぶきの上がっているダイナミックな光景が見えた。
                      こちらがカナダの滝だ!歓声が上がった。
                      アメリカ滝は流れを隔てた向こう側、夜の闇に照明を伴って現われた。
                      こちらは、もうもうとガスを噴き上げるように、間近かに水しぶきを伴って落込んでいる。闇に現れたカナダ滝は勇
                     壮であった。
                      バスは道路にまで及ぶカナダ滝の水煙をくぐってすこし上流に寄った道路脇に止められた。
                      「さあ、夜の滝を少し見ていきましょう。」
                      寺山さんのリードで私達はバスを降り、ナイアガラ川の流れが落ち込む傍の手摺にむかった。カナダ滝は流れ落
                     ちる勢いによって、ものすごい勢いで水煙を立ち上らせ、私達の進む先はその水煙が上空で大粒の雨になって降
                     り注ぎ、手摺や道路を水浸しにしているのである。
                      それでも滝壺の先あたる手摺に行かねば、滝の下る姿は眺めることができない。ゴーゴーと轟音を聞きながら、
                     皆は雨のような水煙の中を走って下流方向へ行った。滝壺から下流へ向かう流れが少しの明かりで小刻みに震え
                     て揺れ、早いものに見えた。
                      上着が濡れたがもうホテルへ入るのはすぐだ、と期待したその滝の姿をまさぐる様に眺め回した。水煙の切れ目
                     から、ちょうど月が対岸のアメリカの丘に上り始めるところだった。

                      先ずは憧れの滝にお目にかかって、一行はホテルに向かう。 
                      車内のざわめきが少しおさまって、バスはついさっき横目で眺めて通り過ぎたクリフトン・ヒルを上り始めた。今夜
                     の投宿先オークスホテル・オーバールッキング ザフォールズはこの丘を登って、フォールズをすぐ見おろせる場所
                     にある。

                      旅の第一夜、ネオン街の人の動きも気になったが、やはり窓から見る景観に期待がかかるのは人情だ。ましてた
                     った今、間近にその感触を味わって来たのでは‐‐。
                      室内に入ると東、滝側の窓のカーテンを開けた。広く大きくつくられたガラス窓には正面にアメリカ滝が、その右に
                     ついさっき浴びた飛沫の水煙を立ち上らせているカナダ滝が見えた。アメリカ滝の照明はここから見る方がライトの
                     巡りがはっきりと見え、滝は静かに落ちている風情だった。優美であった。
                      夜のカナダ滝はやはり水煙ばかりが目立ったが、二つの滝が対照的な静と動で、川幅広く壮大な流れの先の月に
                     照らされたアメリカの丘や、さらに続く上流の橋などに点る灯りが静かで、象徴的なナイアガラの夜景を見る心地だっ
                     た。

                      旅仲間との約束で遅い夕食を皆で楽しむことになっていたので、ホテルと棟続きのレストラン「アップルビーズ」へ行
                     った。既に9時をまわっていたが、まだ店内は賑わっていた。ちょうど大きなテーブルが一つ空いていたので、がやが
                     やと詰め込んで8人のグループで掛けた。“ステーキ!”、“シュリンプ!”、それぞれの叫びは、笑顔で飛び回る若いカ
                     ナダのウェイトレスをてんてこ舞いさせた。旅仲間は皆元気で朗らかな人達だ。
                      飛行機で隣り合わせた指村さんご夫妻は、偶然にもお住まいが隣町と言うか西東京市の人だった。宇都宮から来た
                     渡辺さんは丸い顔に人の良さそうな笑顔をほこらばせて流暢な英語で皆の注文を愉快に取り次いでくれたし、添乗員
                     の寺山さんも長旅添乗の1日を終えて寛ぎのひと時を私達と一緒に過ごしているようだった。 彼女がとてもスマートな
                     人当たりの方であることがすっかり浸透して、お世話になるメンバーとして嬉しかった。今度の旅もみんな良い人達に
                     囲まれて良かった。
                      私ははなとビールを飲んだ。ありきたりにサンドイッチを注文し、一つのステーキを2人で食べたらちょうど良かった。   
 



朝のカナダ滝・右岸一番手前が宿泊したホテル


 

* 4.ナイアガラの一日
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