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風次郎の世界旅
 アメリカの思い出
(6)

music by KASEDA MUSIC LABO

     
     チェサピーク湾の「R・ヘミングウェイ」

6.「レストラン・ヘミングエウェイ」

               Mr.Donが良い店があると言う。
              蟹のうまいところだと言う。
              アナポリスの湾の中だが車だとたいしたことないというので、「That's good idear!」と呼応して向かった。
              腹もだいぶ減っていた。 でも後で地図を見ると80kmも離れているところだったから、我々の感覚からすると近くはない。

              Donは車の運転もうまい。
              日本製の日産プレセアがスイスイハイとウェイを駆け、輝く太陽の下、心地良い風に心を揺らせながら海岸沿いに続く木々
             の合間から見える海を眺めつつ進んだ。木々は背が低いが、緑の濃さを感ずるのは季節が良いからなのだろうか。
              やがてハイウェイはぐっと海に寄って大きなブリッジにかかった。
              Donの話だと“米国でもその長さが3本の指に入るメモリアル・チェサピーク・ベイブリッジ”で、10kmを超えるのだと言う。
              湾の中にある島、ケントアイランドをうまく使って、東海岸の幹線道路をこの橋がさらに有用なものにしているのである。
 
              車窓にブリッジのワイヤーが飛び流れていく。吊り橋だ。
              10年かけて2本作り上下線として使い分けているとのことである。
              窓を開けると海風がさらに清々しさを加えた。右手彼方の海軍士官養成学校から訓練の小型機が頻繁に離着陸している
             のが見えた。
              橋の中ほどに来たと思える頃、草原のように緑が広がるケントアイランドが見えてきた。
              すべてが富豪の別荘地とのことである。橋げたが作られた袂の緑の中にDonがよく来ると言うレストランがあった。ブリッジ
             の上からも『Hemingway’s』と白い壁に大きく書かれたのがよく見えた。
              橋を渡ってくる人には良く目立つし、思わず気を引かれるに違いない。
              文豪ヘミングウェイが愛好した店とのことであった。 

              2階のデッキは好天下の見晴らし楽しむ客で混雑していたが、幸い入れ替えの人とタイミングが合ってテーブルを確保するこ
             とができた。
              Donとはなは蟹ケーキサンドウィッチを、わたしはDonの勧めで蟹ステーキサンドウィッチを注文した。
              Bay Windsはいかにもリゾート気分だし、他の客の笑顔もゆったり和やかである。
              運ばれた蟹ステーキサンドウィッチは手ごろの大きさの蟹がやわらかめに焼かれ、普通のパンより一回りちいさなパンの間
             に挟んであった。蟹ケーキサンドは蟹の肉を潰して荒めのクリーム状(ちょっとグラタンのよう)にし、パンに挟んだものだ。勿
             論ペロッと平らげ美しい海辺の草原に浸る雰囲気のなかの美味しい昼食だった。
              小太りで茶目っ気のある顔をしたウェイトレス(ママ?)が近づいて来て、「日本のお客さん、ここの味はどうですか?」と愛嬌
             を言う。
              私が“Of course very good!"とウィンクして答えると、Donが美味しさの表現を大げさに付け加えて笑いを誘った。

              光が眩しい。ブリッジもレストランも海の青さに溶け込んでいきそうだ。
              それほど燦々と陽光がもたらされている。
               「ああ、こんなところに来て良かった!」と、おそらくヘミングウェイも感じたのだろうか。
               「素晴らしい一日だ。」
              2時半になっていた。


港近くから見るボルチモアの街

* 『アメリカ』7.マクナラン・ファミリーと
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