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風次郎の世界旅
2011サンフランシスコ雑感
(4)

music by KASEDA MUSIC LABO

        
       マーケットストリート                                  ベイエリア   

       4.シティーの不景気風

                 アメリカの関心事は今、景気がどうなっていくのか?世界を揺るがせた9.11金融
                工学によるバブル崩壊が、リニューアルして登壇した黒人初代の大統領バラク・オバマ
                によってもままならぬことがほぼ決定的と言えようか。
                 金の無い国が「パックスアメリカーナ」を掲げて世界の金を集めることに成功(米国
                債の販売)したが所詮借金は借金、ドルの強さだけを維持することは出来そうも無い、
                ということになろう。
                 「自動車が牽引する景気は去ってもITによる新世界の創立があるさ」、と今、気を吐
                くのはipad!「NYの書店経営に女性の進出、ipadで読む本」との記事が、街角の新聞ス
                タンドで踊っていた。さすがにサンノゼを取り巻くシリコンバレーの近いところだ。
                 海外からの観光客でもタブレットpadを手にしている人が多い。しかし、サンフラン
                シスコの街は賑わってはいない。不景気である。
                 もっとも、その大元に禍根を残しているのは日本のバブル崩壊であって、アメリカは
                日本の国債発行による後始末を、当時痛烈に批判しておきながら、$基軸通貨を良いこ
                とに$ばら撒きで時間を稼いで乗り切ろうとしたのであった。
                 が、世界は病む一方で健全性は回復しそうに無い。
                 日本は、貿易立国宜しく円安誘導のため買い捲った$を何時までも抱え込みつつ、頼
                りの米景気を眺めて国民からの借金をGDPの2倍にまでに膨らませて悩んでいる。さらに
                昨今、未曾有の天災に身動きが取れない状態になってしまった。
                 金融工学による国富論?を掲げた米新自由主義者(ネオコン)たちは、材料にした住
                宅ローンを福音的響きを醸し出すがごとく「サブプライムローン」と銘打って、群れ動
                くヘッジファンド化したリーダーバンクまでもが博打的にレバレッジ取引を過熱膨張さ
                せてしまった。まだブラックボックスを国民にも、世界にも見せられず、国が抱え込ん
                だまま。すなわちファニーメイ、フレディーマックの出した住宅債権であり、倒産した
                AIGのCDSの処理が手付かずなのである。
                 そんな中で、豊かな老後を恵まれた気候の地で、と住まいの憧れの地「カリフォルニ
                ア」は住宅バブルによる地価高騰(住宅価格高騰)が、結果的に現在のカリフォルニア
                州の財政破綻?を招いてしまったのである。所詮住民が貧困に陥れば公共は成り立たな
                い。もはやこれまでというべきか。
                 今、不釣合い?に円が高くて、物が安く感じられるのである。
                バーナンキが乗り出したQE2も、6月で終焉の由、国の財政は如何に大統領選に向け
                ての時と言えども小さくなっていくのではないだろうか。
                 アメリカの家計は証券(住宅証券を含む)を担保にしたカード決済で消費するパター
                ンが多かっただけに、リーマンショック以来の住宅価格下落で各家庭の家計は楽ではな
                いだろう。
                 やっとのことで高いカリフォルニアの住宅を手に入れたものの、相場下落で売り物多
                く、売り出されている住宅の数は膨大のようである。長男の現在住んでいる家(借家)
                も大家は土地を買っておいたところへ、売却目的で建築した家だったとのことである。
                 思惑通りの買い手が着かず、止む無く賃貸に出されたものらしい。
                 250坪といえばオリンダのこの辺りでは、むしろ狭い敷地である。そこに60坪くらい
                の平屋住宅で、月家賃が50万円位とのこと(米国では庭の手入れと主な家財は貸主
                の負担である)相応の値段に下がっているようだ。

                                          ○

                 いわゆるサンフランシスコの観光ルートであるケーブルカーが走る坂道、ノブヒルや
                チャイナタウン、ノースビーチへいくのは止めて、シビックセンター広場で開催されて
                いたファーマーズマーケットで地元産のフルーツなどを見て周り、マーケットストリー
                トを途中フィナンシャル・ディストリクトのビルに寄りながら、海岸のフェリービルま
                で、はなと連れ立って歩いてみた。
                 サンフランシスコの目抜き通り、混雑もなく舗道はゆったりと歩けたし、観光客にアジ
                ア系特に中国語を話す人が気に止まったのは、ここでも彼の国中国の進出が抜きん
                出ているという事だろう。
                 ユニオンスクエアへのぼるパウエル交差点に目立つGAPの大きな店(ビル)の隣にダ
                イソーの「1$ショップ」があった。中に入ってみると、商品は$1.5であったが「
                大創」マークは日本字で、日本にある店で売られている¥100グッズが売られていた。
                折からの景気はこの類の商品は受けるのであろうかと思った。その隣が「セブンイレブ
                ン」だった。昨今「ローソン」と並んで世界戦略に余念の無い生活密着型ファシリティ
                ーショッパーズである。不景気に活躍する日本の店舗の存在は私も国民の一人として
                プライドも感ずるし尊いと思う。言語の難しいと言われる国だけに、世界に受け入れられ
                る発想は貴重である。

                 フェリービルの岸壁側に窓が開いたイタリアンレストランでビールをもらい、食事を
                した。ウェイターはラティーノらしかったが、私たちを中国人と間違うことも無く、テーブル
                クロスの掛かった席に案内し「日本のビールにしますか?」と聞いてきた。長男から酒
                もビールもほとんどが現地工場産で、日本から輸入したものは出されないと聞いていた
                ので、カリフォルニアのビールをもらった。相応に旨かった。

                 そうは言ってもベイエリアは国際観光地としての賑わいを崩してはいない。はながロ
                ンドンスタイルの、屋根に展望椅子があるバスに乗ってみたいとうので、ピア39から
                市内一周のコースを巡って見た。こちらの乗客には中国人や韓国人もいたが、殆どがヨ
                ーロッパから来た人のようだった。気の良いwitを飛ばしながら男性ガイドが乗客のお国
                柄をお惚けで紹介していた。日本人は私たちだけだった。まさか地震を茶化すこともな
                くホットしたが、相変わらず”お金持ちの国から来た人”には参った。コメントする気
                にもなれず、お国柄宜しく恥ずかしそうに黙りこくって難を逃れた。
 
                 オークランドにあるアスレチックスの本拠地球場で、丁度NYヤンキースとの試合が行
                われ、うまく内野席の切符が手当てできたのでファミリーで出かけていった。
                 ヤンキースに居た頃の松井を、前のヤンキースタジアムで私たちも2度応援したこと
                がある。彼はアスレチックスに所属してからあまりよい成績ではないが、今宵あたりは
                出番もありそうか、と期待して行った。
                 6・1の夜は寒くてセーターに厚手のジャンパーという出で立ち。あまり治安のよ
                くない地域だし、球場の窮状もあって、飲食物一切持ち込み禁止。これを見事に掻い潜
                ってみんなでおにぎりを持ち込み、ほおばりながら見物した。切符は3類側アスレチッ
                クスのベンチ側であったのに、私たちはヤンキースのジャンパー姿、”不味けりゃ松井
                のユニフォームでも買や良いだろう”ということで――ところが、結構ヤンキーズファ
                ンがいて大声で応援していた。後ろの席に太ったおばちゃんが、ピエロみたいなお化粧
                をして、アスレティックスの選手をいちいち呼び叫び続けており、周りと口論が絶えな
                かった。
                 試合は開幕早々からヤンキースの花形、ジータが好打して得点を重ね、アスレチック
                スは見せ場のない展開、松井の出番もなく、ヤンキースのワンサイドゲーム。それでも
                陽気なアメリカンの観客席は寒さを吹き飛ばしてビールの売り子がてんてこ舞いなほど
                お祭り気分だった。
                 不景気は時を忘れて楽しむ庶民の生活までも犯しては居ないようだ。
                 この球場で行われるアメリカのもうひとつの大人気屋外スポーツ「アメフト」の試合
                がある日など、もっと盛り上がると周りの人々が言っていた。
            
                                                            風次郎
 

  
 アスレチックス球場の風景(6・1対NYヤンキース)

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