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風次郎の世界旅
2011サンフランシスコ雑感
(2)

music by KASEDA MUSIC LABO

     
       葡萄畑と孫娘ミサ   

       2.ワイナリー・ピクニック

            サンフランシスコ(S/F)には日本のようなはっきりと四季があるわけではなく、
           「夏は涼しく、冬は暖かい住みやすいところ」として人気が高い。夏の平均気温が1
           5度C前後、最高でも20度、冬でも平均気温は11度前後、最低気温も8度止まり
           ということである。
            そして、サンフランシスコは霧が風物詩として有名である。特に季節の変わり目に
           多く発生するようで、不順の今年も変わりないようだ。サンフランシスコ湾を囲むよ
           うに存在する起伏の激しい地形、カウンティー(郡)一帯の渓谷や盆地を通って上昇
           した暖かい空気と、太平洋を流れるカリフォルニア海流(寒流)がもたらす冷たい空
           気の相互作用で朝夕に発生するもので、今年は朝の霧がなかなかどかなくて、どんよ
           りとして気温が上がらず、寒くさえ感ずることのようらしい。今回、東京ではもう邪
           魔になったセーターやジャンバーが必要であった。
            そんな日が多かったので、長男家族は丁度私達が着いた頃から天気が良くなったの
           を喜んで、たまたま到来した休日には、皆でワイナリー・ピクニックに行こうという
           事になった。

            長男の家はシティーからベイブリッジを渡り、湾の東側の街オークランドの北東に
           広がる丘陵地帯に比較的新しく出来たオリンダという街にある。バート(SFO−ダ
           ウンタウン(地下鉄)−居住区を結ぶ鉄道)のオリンダ駅近くにあるフリーウェイの
           インターチェンジまで丘陵地の渓谷を下り、湾に沿った別のフリーウェイを北上し、
           さらに内陸サクラメント方面へ向かう80号線を走ると、家を出て1時間ほどでナパ
           バレーに着いた。
            ナパとソノマは全米No1のワイン生産量を誇るカリフォルニアワインの中心地で
           ある。それだけに観光地としても賑わっており、洒落たレストランや相当の規模で構
           えたホテルも幾つも見えた。
            何処までも続く葡萄畑の中にいくつかの見学可能なワイナリーがあり、試飲を兼ね
           てピクニック用のテーブルを用意してくれる工場があるのだった。
            私達が訪ねたのは、長男がインターネットで探し出したところであったが、お昼に
           近い時間だったので、自家用車が12〜3台来て随分な賑わいになっていた。
            蔵を覗き、展示されたこの蔵の製品を一渡り眺めてから、葡萄畑に案内してもらっ
           た。畑の葡萄の木は作業しやすいように背を低く栽培され、或いは棚があっても低い
           もので、だから広がる畑の様子は一面に何処までも見通せるのだった。
            畑の中に設けられた頑丈な木製のテーブルを囲んで、長男夫妻と孫娘ミサそれに愛
           犬テディー(オスのキーテリア)も席に着く。はなと私が加わって座ると、腰に前掛
           けをつけた屈強そうないかにも工場の者らしい男性がワインを運び、葡萄の素晴らし
           さと丁寧な工程を経て醸造されているとの口上を述べつつワイングラスに注いでくれ
           た。

            青空が広く、葡萄畑も広く赤いワインの香りは優しかった。
            私達は持参した海苔巻きのおにぎりを食べながら談笑した。そこでは陽射しの元で
           こそ清々しいワイナリーのひと時に、寛ぐ仕合せを見出すことが出来た。

            ワインの工場の葡萄畑で過ごした後、私達は少し離れた高台に見えるシャトウに寄
           ることにした。高台のシャトウは、これぞワインの殿堂とでも言いたげな見栄えのす
           る建物で、テラスにはパラソルが並び、訪れたグループがそれぞれ午後のひとときを
           楽しんでいる様子が伺えた。
            私達も一つのパラソルの下に、ここではシャンパンをいただいた。
            喉に触る小粒の泡と甘酸っぱい香りが微風に運ばれて、眼下に広がる葡萄畑に飛ん
           でいくように思った。葡萄畑が周囲の丘のむこうまで波を描くように続いているのだ
           った。
            なかなか陽の降りないカリフォルニアの夕暮れは、とても豊かな午後をもたらすも
           のである事を思った。斜めの陽の光がいつまでも惜しげもなく葡萄畑を輝かせている
           ようだった。
            
                                                            風次郎
 


  シャトーの家族

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