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風次郎の世界旅
2011サンフランシスコ雑感
(1)

music by KASEDA MUSIC LABO

     
       オリンダの街居住区の森に咲く名も知れぬ花   

       1.美しい陽の光に感謝

            サンフランシスコ(S/F)の今年は天候が不順だと聞いていた。
            日本も遅い春、急激な夏の到来、そこに加わって人々の心を締め付けるように地震
           の被害は自然の威力による悲劇とさえ言いたいほど国を覆っている。だから、「かな
           り寒いよ」と言う長男家族の電話などでの様子を聞くと、「そちらもか」と、つい地
           球的異変の時代をも想像してしまう。社会も人も自然も大きな流れの中にあるような。
            爽やかなカリフォルニア気候を期待するだけでしかなかった今までの印象からは予
           想もし難い、カリフォルニアの寒い6月なんて。
            はなが時折見せてくれるS/Fの天気図に印された気温も、10度Cを少し上回る
           程度の日が多い。
            台風が近づいてきて関東も風雨に悩まされはじめた頃だっただけに、東京の留守が
           心配な反面、鬱陶しい入梅を逃れて過ごせることが出来そうだと、逃げるような気持
           ちも併せ持ちつつ雨の成田を発って、9時間のフライトをなんなく過ごした感があっ
           た。
            これまで長男家族はニューヨークに住んでいたから、そちらへの行き来と比べたら
           北米東西間の搭乗時間差はたった3時間なのにとてもこちらは近く感ずる。
            SF国際空港上空は快晴で、着陸態勢に入ったデルタ機の窓からはゴールデンゲー
           トブリッジから広がるシティーの白いのっぽのビル群が朝陽に光って見えた。
            機は穏やかに青い湖のようなサンフランシスコ湾を越えて東側に大きく旋回し、長
           いサンマティオブリッジを下に見ながら機首を北に向けて海岸沿いに着陸路を確保し
           た。
            8時20分、好天だ。朝陽の光が右窓から機内に入ってきて幾筋もの鋭い光の線を
           作り乗客の背に当たる。そしてスムーズな着陸の感触を得た。
             「ああ、新しい日が始まりそうだ」と、励まされるような、それが又久し振りなよ
           うな気がして心地よかった。

            カリフォルニアは晴れていた。晴れたサンフランシスコに来たいと思っていたんだ
           から、これで嬉しい。はなと荷物ケースを引っ張りながらゲートを出たところには長
           男達は見えなかった。
            車で来てドアの外にいるのだろうかと出て行くと、「ジー!!」と大きな声がして
           前の方から孫娘のミサが駆けて来た。「来たよ!」と待ち構えるとミサはそのまま飛
           びついてハグするのだった。私も抱きしめながら久し振りを思って懐かしかった。昨
           年東京に来たとき以来だが、随分大きくなった。中学生になってから逢うたびに背も
           高くなって、ぐっと大人びてきた。
             「パパはあっちに車止めてるよ。」とはなと二人がついて従う。この空港の国際線
           ターミナルは出入り口を単純にしてとてもわかり易く、使い勝手が良くなったように
           思う。
            長男が車の脇で立っていた。「めずらしくスカッと晴れたよ!」と言った。
            日曜日の爽やかな朝だった。陽の輝きが何よりも気分を明るくしてくれ、はなとは
           しゃいで喋る孫娘ミサの弾む声が嬉しかった。
            車はシティーを経由して住居のあるオリンダの街まで東に向けて走る。陽の光の中
           をベイブリッジを渡り始めた。
            何とも言えぬ、まるで私達が祝福されているかの思いの中で、このところの不順な
           周囲の環境を忘れる一時の仕合せ感に満たされていた。
            私は感謝していた。
            カリフォルニアが素晴らしいのは明るい陽の光である、と。サンフランシスコに来
           て良かった、と。
         
                                                            風次郎
 


  葡萄畑の中にあるシャトーのテラスにて

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