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風次郎の世界旅
 イベリア半島駆け歩き
  [スペインとポルトガルの旅]

music by KASEDA MUSIC LABO


エボラ神殿跡
                     

 (11)エボラからリスボンへ

              セビリアを離れるバスの中で地図を広げる。
              イベリア半島南端アンダルシアは、東西に大きく横たわるシエラモレナ山脈を北にいただき、その山地に発する水に潤いを
             得た豊かな大地である。
              麓を流れるグワダルキビール川流域が、温暖でもあり、スペインでは最も肥沃な生産地となって、セビリアが地の利によって
             栄えたことが一目瞭然である。
              西に眼を移すと、私たちがこれから走って越えるポルトガルとの国境地帯が起伏の多い山間地と顕されてあった。次に訪ね
             るエヴォラまでは330キロ、国境の町「ロサール、デ、ラ、フロンテーラ」まででも200キロ近い。
              バスはしばらくハイウェイを北上し、やがて国道433号線を西に向かった。
              地図では山脈沿いの湖沼が続く地域のように表されていたが、起伏に富んだ地形を進む中、湖沼を見ることは出来なかった。
              途中アラセナとコルテガナの市街地を通過したが目立って印象に残るものは無かった。
              私はいつの間にか眠っていた。

               1時間余の眠りから覚めると、最早国境を越えていた。山間地を過ぎ去り、風景が変わっている印象を受けた。あたりは木
              々の緑と言うより、イベリア独特の荒涼たる山間地の風景にもどっていた。木があっても背の低いものばかりであった。
               ポルトガルの最初の町べージャに入った辺りであることが地図でわかった。
               とうに昼は過ぎていたが、街道に面した、あらかじめ予定されていたレストランで昼食になった。レストランはホテルも併設さ
              れたきちんとしたもので、昼食は子牛のシチューであると案内されたが、いよいよ長旅の疲れが出てきたのか、長距離ドライ
              ブの疲れも出て体調が優れず、食欲がわかなかった。
               ただ、バスを降りて暫しの休憩にホッと一息つけたのが有り難かった。

               ベージャからさらに130キロ。エヴォラに着いたときは、流石に多くの仲間はバスに疲れきっていた。暑さも加わってきたので、
              中には草臥れて体の調子が悪いと車中で横になる人も出ていた。
 
               エヴォラでは世界遺産になっている歴史地区を観光した。
               街の中でも午後の陽は容赦なく照りつけ、イベリアのアフリカと言える暑さを感じた。それでも仲間たちは良く歩いた。
               歴史地区は城壁で囲まれた旧市街地の中心に固まっていた。カテドラルはどこへ行っても見学の対象となる歴史遺産であるが、
              ここの聖堂も中世ヨーロッパのキリスト教の権威を見せ付ける美しい13世紀のゴシックで、ことに内装が目を惹いた。
               ガイドはしきりに1584年に日本から訪れた天正遣欧少年使節、伊東マンショと千々石ミゲルがここでパイプオルガンの演奏
              をしたことを説明した。
               他にもロイオス教会等を見た。
               私は、只柱だけが崩れそうに、しかも堂々と立っている「ディアナ神殿」が興味深かった。それは、ローマ初代皇帝アウグストゥ
              スが祀られたコリント様式の神殿の遺跡であった。この街の歴史を起源するに相応しくローマ人がその創生時代に建てたもので
              あった。
               エヴォラは、紀元前57年共和制ローマの支配下に入っての後、カエサルもこの町を「Liberalitas Julia(肥沃なるジュリア)」と呼
              んで重視し、リスボンと結ぶ交易路の交差点として、その後2重の城壁を持つ歴史上の重要都市として栄枯の跡を残してきたの
              であった。

               最終目的地リスボンはさらに西へ向かって130キロである。
               バスの正面から西陽を受けながらハイウェイを進む。昨日まで連夜のフラメンコショウですっかりスペインのロマンチシズムに
              乗った感があったが、この日の山道を含む荒野のツアーは熱い遥かな国ポルトガルに期待を託す思いを募らせるものだった。
               その首都リスボン。
               そこは、大陸最西端大西洋への海港都市、暖かな地中海性気候で、乾燥し快適に過ごせる情緒豊かな、西ヨーロッパで最も
              美しい街と言われたとくれば、テンションも上がるのであった。
               地図を見ると、街の中心街はテージョ川口の港を南にする起伏の多いところのようだ。エヴォラからのハイウェイはセトウーバ
              ル側の半島に着き、「4月25日橋」を越えて市街地に入っていく。真っ直ぐ突っ走っていたバスが一般道に変わり、窓外に街並
              みや他の道路との交叉を映し出すと、都心が近い実感を得る。
               すでに夕方の5時を過ぎて、道路は混雑する時間帯に入っているようだった。
               橋の上から対岸の丘や街並みが良く見えた。
               川口と言うより大きな湾そのものであるリスボンの港が果てしなく続くように見えた。
               4月25日橋は両側に高い塔を立てた華麗な吊橋で、当初独裁者「サラザール」の名をつけて呼ばれていたのであったが、
              1974年4月25日の無血革命を誇りにする新政権によって、この珍しい名前がつけられている。
               道路は橋を渡るとさらに渋滞の様相を呈してきた。橋を渡って坂を下り、ロシオ駅の先、ポンバル侯爵広場に通ずるリベルタ
              ーデ通りに面するチボリホテルが投宿先であったが、中々到着出来ず、いらいらした運転手はさらに道を取り違えてしまったよ
              うだった。
               やっとのことで7時過ぎて到着した。

      
  広場に面した小さな土産物店

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