☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
       
風次郎の『八ヶ岳山麓通信』No 58


上川のコハクチョウ

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
                                       2004年3月13日
  
  白鳥の旅立ち                                   
                                          風次郎
    fuujiro@jcom.home.ne.jp
  фффффффффффффффффффффффффффффффф
                                

寒さはつづかない。
 真冬のような冷え込みがあっても、日中は気温が上がるし、
3日もすれば必ず暖かい日が織り込まれる。
 3日続いた寒さが去って、スキッと晴れた9日の夕方、初めて白鳥の旅立ちを見た。
私は上川縁の道路を諏訪湖から茅野市のほうに向かって走っていた。

 ちょうど夕陽が西山に落ちる前、4時20分ごろだった。
 葦の茂みに囲まれて越冬している白鳥の群れから、比較的大きな体の3羽が舞い上がった。
“あっ、今日も飛行訓練かな!”と注目していると、上空を旋廻し始めた。
ここまでは規定どうりだ。そしてその3羽がある程度の高さに達した頃、
今度は一団となった、そう30羽程の群れが舞い上がったのだ。
この集団も暫く越冬地の上空を旋廻していた。
 下から見上げるコハクチョウの姿は広げた羽がとても大きく見える。
全体で行動する群れの彼らはしきりに羽を動かしてコントロールしているから忙しくも見えるが、
位置付けが安定して落ち着いた上の3羽は西日を受けて輝き優美と言うにぴったりだ。
 次第に高度が上がっていくが、
先の3羽はさらに一段上の高さを保って旋廻を続けていた。
下の集団は丸く膨らんだように見えた。
それぞれの位置付けはちょうど村すずめが居場所を変えるときのように、
アメーバの動きに似た凹みやふくらみを繰り返していた。
 やがて上空の3羽が矢印の形に並んで夕陽のある方向へ向いて群れを引いたのである。
 群れは一段低い位置付けのまま、ある一羽が先頭になってその3羽に従い、
旋廻を止めて翼の形に隊列を整えつつこれに倣って行く。
 
 その時私ははじめて“ああ、これが旅立ちなのだ!”と理解した。
彼らはたった今、この冬の生活を終えて、
また次の新しい生活を始めるために旅立つのだと。
何処まで行くのだろうか、今日発つことを、今が旅立ちだということを、
群れの皆はどんなにして知らされたのだろう。

 群れは太陽の方角に向いてどんどん高さを上げ、まっすぐに進んで行った。
山の端の薄雲が白く、夕陽の赤がしだいいに広がっていく時間だった。
 “さよなら、次の冬まで----”
 翌日、越冬地を訪れると、
残された最後の集団であろう約30羽が、
泳げる広い場所を離れて彼方の浅瀬に戯れていた。
 彼らも何日もおかず旅立つのであろう。

 
                                                          (風次郎)
  ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

風次郎の『八ヶ岳山麓通信』No 59へ
メルマガ「八ヶ岳山麓通信」のトップへ
風次郎の「八ヶ岳山麓通信」のトップへ
風次郎の「世界旅」へ