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風次郎の『八ヶ岳山麓通信』 No274
2019・1・07富士見駅から、午後の八ヶ岳
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冬の山麓 2019・1
正月の数日をゆっくり自宅で過ごし、7日に中央線の列車、立川を8時過ぎに発つ
列車に乗った。新春の車窓を眺めながら2時間余りの列車旅であった。
冬の気圧配置で、北国は雪の舞う日が続いているようだが、関東は晴天が続き、澄
んだ空気に冬枯れの山肌が照らし出され、沿線は静かな穏やかな風景の中を列車は進
んで行った。
大月あたりでは雪化粧の富士を眺め、甲府盆地では陽に輝いている南アルプスの峰
々が美しかった。甲府を出ると八ヶ岳の山麓を列車は八ヶ岳に近づきつつ進んで行く。
八ヶ岳もいまのところ雪は少ないようだ。南八つの側では権現岳の峰が真っ白な雪
で覆われているだけで、暖かい車中から眺めていると山懐の部落も静かに新春の陽光
を浴びて、むしろ暖かそうに見えるのだった。
富士見駅に降り立ったのは11時頃だった。
良い天気とはいえ海抜950mの山の冬は寒い。列車を降りた数人の乗客が駅を出
て散らばる中、私も南天寮までの6〜7分の道のりを気分よく歩いた。いつもの様に
誰にも行き交うことはない。2〜3台の車が行き交うのと出くわすのみであった。
南天寮でも、変わった様子がないのを確かめるだけである。廊下のカーテンとガラ
ス戸を開けて陽を受け入れ、空気を入れ替えればそれで今日の役割は十分だった。
近くの従兄弟の工務店へ寄ったが、もう仕事に出ているらしくもぬけの殻だった。
昔は松の内と言って8日までは職人は正月を過ごしたのだが、昨今は4日に官庁が
仕事始めをすると次の月曜日には職人も仕事始めのようである。
時間を持て余したので、私は昼食を兼ねて界隈を散策に出ることにした。
仕方ないといった気持で私はとぼとぼと歩き、東の丘の頂に登って八ヶ岳の写真を
撮った。車中で眺めてきた南八つに比して、こちらから見る西八つは主峰の赤岳や阿
弥陀岳が、大きいだけに山頂に被った雪の白さが厳冬らしい山容である。ことに阿弥
陀岳は大きくゴツゴツとした頂上付近に雪が険しさを強調しているように見えている。
昼食を目指していた「磯五郎」まで、丘を下り街並みを抜けながら、そんな八ヶ岳
山頂の様子を一つずつ眺めて歩いた。高い山頂が険しく見えるだけに、裾野の山肌は
いかにも穏やかに見えるのだった。
「磯五郎」は、料理屋の職人上がりの店主が板前らしい腕前で、魚を使ったメニュ
ーが好評でいつも賑わっている。時間を少し遅らせて入り、その日はブリの照り焼き
定食をいただいた。山国での海鮮料理は今でも貴重な存在でもある。
昼食を終えて少し先の富士見高原病院へ寄ってみた。古来「富士見高原療養所」と
して結核療養所で有名になった処である。往時の建物と白樺林が今でも残り、ここで
過ごした名だたる文化人の語り草が記念館として残っているが、それ同等にここの佇
まいも富士見高原らしいとして語られる所以である。
白樺林に続く葉の落ちた冬の雑木林は、その透けた木々の間から広がる青空が見え
て、冬の高原の風情の象徴のようだ。
病院ばかりは玄関に人の出入りが多く、静かな山麓の街に市井の一角を見るようだ
った。
坂道を登って町役場の脇を通り、少し西に傾いた陽を浴びながら富士見駅の北側に
位置するコミュニティーセンターの広場で一休みした。
西山と呼んでいる釜無山に連なる山並みはそろそろ日陰に変わりつつある頃であっ
た。さすがに冬の日は短い。
* * *
一旦南天寮に戻った。そして、15時36分富士見駅発の列車に乗った。
西陽に照らされ、飄々とした八ヶ岳山麓の雑木林が連なる車窓が素晴らしいが、そ
れに合わせて甲府までの間に富士山が良く見える場所がいくつかある。
午後の富士はやや雲を山頂に掲げ、霞んでいる麓は寒さを思わせる日陰となって続
いていた。
風次郎
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