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風次郎の『八ヶ岳山麓通信』 No246
海からあがったヴィーナス
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海からあがったヴィーナスの像
朝から好天に恵まれる日には、明け方の高原は霧の流れに満たされる。白んできた辺り
は何も見えず、わずかに真上の空にガスが流れる様子が伺われる程度だ。そしてやがて八
ヶ岳の東稜線に陽が登り始める時、反対側の西山並を見ると頂陵辺りからガス状の雲の流
れが南に早くなり、一瞬陽光を見せたと思うと、山腹まであっという間に晴れ上がってい
く。
標高1200mあたりに棚引く北から南へ向かうガスの流れを見る頃、ここからは西の
山腹しか見えないが、まだ八ヶ岳はガスに覆われている。
そして、高気圧に覆われたまま夜気に冷やされた高原一帯はこの西斜面を含めた八ヶ岳
全容に陽が高くなって射す頃になってその夏らしい、清々しい、朝の満たされた緑の風景
となって現れるのである。
13日の夕方迎え火を焚いて、月遅れの盆を過ごしている。
7月の後半から八ヶ岳山麓も全国並みの猛暑に見舞われていたが、やはり盆が来る頃に
なると夜気は冷たく感ずる程になった。自然の移り変わりは酷暑、猛暑とは言っても、そ
れは自然の体系にとっては些細なことのようで、夏の盛りから秋へと変わっていく兆候は
見えてきている。
南天寮の庭に咲く、この辺りの田舎では「お盆花」と言われる「おいらん草」はこれも
例年になく気候が植物の為には順調だったからだろう、いつもより30cm程背が高くな
った先に、紫或いは白の花房をつけて揺れている。
ベランダの先、芝生の脇には、春一番にクロッカスが咲き、チュウリップ、サツキ、ラ
イラック、すずらん、あやめと順を追って花が咲く。夏に入るとキキョウが咲き、盆が来
るとおいらん草が黄色い夏山菊と競って群れ咲き賑わうのだ。
家族にはお気に入りの花園である。
今年は近くの庭用建材店で50cm丈程の白いヴィーナス像を見つけてその庭に置くこ
とにした。
ヴィーナスは元々エーゲ海に海からあがってきた美の女神と言い伝えられているが、こ
の彫像は海中の藻草を携え、身にヴェールを纏った上品な感じのものである。同じ店で丁
度つり合いの良い、西洋の魔除け神の彫刻を用いた台座を求めて、その上に立たせるとな
かなか格好の風情である。
南天寮を訪れる友人たちからも好評なので、気を良くして眺めているが、わが庭のある
いはシンボルとして当分は馴染み深い存在となろう。
まだススキには少し早いが、次第に物思う秋へ進み行けば、月下のヴィーナスは如何様
に輝くのであろうか。今、おいらん草の揺れるあいだに、如何にもうってつけの様相で、
「山に在る海をあがって来たヴィーナス」が陽を浴びる姿が好い。
盆の夏が行く。
風次郎
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