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風次郎の『八ヶ岳山麓通信』 No244
八ヶ岳 雲が走る7月の雨上がり
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I・A・S 2015夏
夏の高原は美しい。特に私は梅雨時の信州が好きである。
そして、初夏の緑から夏本番に移るこの雨のひと時を経た7月には陽光は煌びやかに草木を照ら
し、山は余すところなく燦々として輝いて見える。
近く八ヶ岳、そして遠い富士も、互いに峰に白く残雪を掲げている。
やがて始まる我らが本夏と呼ぶシーズン、8月に至れば徐々にそれも消え、悠然とした姿でそそ
り立ち、又浮かんでいるのだ。
夏が来ると南天寮も人の往来があって俄かに活気づく。
今年も風次郎の最も親しい人々が集まる頃になった。
7月には少年時代を共にこの山麓で生き抜いて勉学に励んだ仲間たちが例年の如くやって来た。
このグループにはI・A・S(International Artisuts Society)という仰々しくも素晴らし
い名前がついている。世界に眼を開き、美を求めて芸術家の志を大切にして、お互いの心の内を交
歓し合う集いで、実態は素朴だ。5人の乏しいメンバーだが、意気軒昂に1泊2日を和気藹々と過
ごす。
今年も相模原に住むYと八王子に住むFと地元諏訪岡谷のAがやって来た。もう一人の船橋に住
むUは夫人が転倒骨折して動けなくなって、今夏は割愛せざるを得ないことになったが、お互い皆
70の坂を登ることは、生活力の衰えを知りつつ過ごすことであり、いろいろな事の起こるのは共
通認識と言うべきであろうか――。
Yが同郷だった妻に先立たれたのは10年以上も前の夏の事であったが、その後の人生の一人旅
を淡々と過ごした彼の、時々もらす感慨は他の者の心にも沁みる。そんな時は皆が後を追ってくる
自分の宿命に、子供や孫たちの思いをなぞらえたりしながら、有意義な時を追って思いを語る。
そう言えば今年は、岡谷に住むAは健気に妻と長男の難病を語っていた。
私にも自分の心に刺さっている先に逝った弟との切ない想い出があるが、あれも暑かった夏を過
ごしている時だった。
いずれにせよ、70の坂とはかくも思い出に捕われつつ過ごしていくことなのかと?―。
寮の庭先に咲く私の母が植えた桔梗は今年はもう咲ききってしまった(いつもの夏より早い)の
で、2〜3本を手折って仏前に飾ったが、お盆(ここでは月遅れの8月)前に花を供えるなど久し
ぶりの事でこの夏はどこかシックである。
7月の14、15の2日間。都会は猛暑となった頃であったが、澄み切った青空から強く降り注
ぐ高原の日光は老いを楽しむ私達には心地良かった。
両日、I・A・Sでは建設的であることを縛りにしている訳ではないから、お茶やビールを飲ん
だり、好きなものを取り寄せて食事を挟み語り尽くした。
勿論、世相談義も充分に思いの丈を開陳し、信州人特有の議論を楽しみつつ過ごしたことは言う
までもなく、しいて言うなれば年追うごとに、落とし処を心得て展開する場に変化してきたと言う
べきか。我が舞台は、他に譲って徐々に素直な観客になりたい気分が漂うと言うべきか。
強がって生きてきた人間たちにとって、かなり難しい試練を味わっているような、我ながら思い
を宥めるのであった。
アマチュア写真家として活躍しているYの撮る記念写真の面々にもそろそろ好爺の印象が滲み始
めたか――。
良き仲間達だと思う。夏は幾たびも来て欲しい。
風次郎
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