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風次郎の『八ヶ岳山麓通信』 No230
  
  エコーラインからの「八つ」(2014.05)

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                                                     2014年5月11日
春から初夏へ(1)                                                          
                                                    風次郎
                                                  yahkoba3@yahoo.co.jp

                                ゴールデンウィークの最終日6日は好天になった。
                               愛犬Supicaを連れて早朝墓の草刈りに出かけ、朝から快晴の空を仰ぎつつ八ヶ岳最南端に見
                              える編笠山の右中腹から登る日の出を拝んだ。
                              澄んだように青い空が広がるのは朝の一時で、新緑が芽吹く裾野一帯は陽射しを受け止める
                              と暖められた空気が、いわゆる春霞となり遠山を隠してしまう。丁度陽が昇らんとする頃が最
                              高で、桜の枝越しに富士の姿が浮かんでいた。
                               富士見は「富士見」と名付けられているくらいで、良き見える富士は整った姿ではあるが、
                              南に小さく浮かんでいる。その右側に大きく連なる南アルプス連山は特に雪解けの頃、勇壮な
                              北斜面を見せつけ、その分富士の優しさが際立つようにも思う。
                               殆どが昨秋からの枯柴であった墓の草刈りを終えた頃、陽は編笠山の上を跨ぎ山麓一帯に輝
                              きをもたらしていた。
                     
                                                          ○

                              はな(妻)と朝食をしながら、話題になているのにまだ訪ねたことがなかった蓼科の「バラ
                             クラ」へ行ってみようと言うことになって、車を繰り出した。
                              富士見からはJR中央線を越えて八ヶ岳に向かって立沢部落の方へ登って行き、エコーライン
                             と称する広域農道を八ヶ岳連峰に沿って北へ走っていけば良い。
                              八ヶ岳の広い裾野には峰からの幾筋ものかなり深い谷間をつくっている。これを渡って繋ぎ
                             行く為の橋が何本も架けられたのである。その先の蓼科から霧ヶ峰へのビーナスラインは中仙
                             道和田峠を越えて美ヶ原まで、山脈の景観を眺めながら小淵沢インター・松本間のドライブが
                             可能になっている。
                              立沢部落の手前を左折してエコーラインに入ると八ヶ岳は横岳の全景が眺められるようにな
                             った。「八つ」は赤岳や阿弥陀岳の嶮しく鋭い峰々も良いが、横岳西面の大同心・小同心など
                             荒々しく連なる岩峰群の眺めが格別と思う。横岳は主峰が主峰とも思えない尾根状の峰である。
                             かつて毎年のように夏のひと時そこを歩いた時代があった。
                              初夏の頃は日陰に雪が残って岩峰もくっきりと姿を現わしているのである。

                              芹が沢からビーナスラインに入り蓼科高原に向かう。
                              ゴルフ場から蓼科湖リゾートの地域の少し手前に「バラクラ」があった。
                              91年オープンの日本初の本格的な英国式庭園と銘打って人気を高めている。オーナーのケイ
                             山田氏(経営は弟さん)の感性を基につくられた庭園で、年間を通じてさまざまなイベントが
                             開催されており、今回はスプリングフラワーショーの終盤とのことであった。
                              約1万平方メートルのスケールの地に、設計から石工、ガーデナーまで庭園の全て、英国人
                             専門家の手を掛けた日本初の本格的英国式庭園とのこと、英国の庭園と言えば、花々のやさし
                             い色と香り、そして蝶や蜂が飛び交い鳥が唄い、地上の天国のような心地よい癒しの空間、と
                             思いを寄せるのであるが、そもそも『英国式庭園』とは?と情報を得た。
                           
                              西洋風庭園の様式のひとつイギリス式庭園(English garden, English park)は、狭義では、
                             平面幾何学式庭園(フランス式庭園)に対して“自然の景観美”を追求し、広大な苑池から構
                             成される“イギリスの風景”を持ち込んだ様式の庭園を指すとのことである。
                              19世紀のイギリスで認識されるようになったコテージガーデン(en:Cottage garden)など
                             の園芸様式を含めて用いることもあり、現代日本において家庭園芸(ガーデニング)用語とし
                             て使われる「イングリッシュガーデン」は、この流れを汲んでいるようだ。
                              イギリスにおいて風景式庭園の着想が生まれ発展を遂げた背景には、古典主義の“写実的な
                             風景画”の影響があったと考えられており、17世紀にクロード・ロランなどが地中海風景や
                             古代風建築を描いた絵画がイギリス貴族の間で流行したことに由るのである。
                              絵は壁であるが、彼らは、壁の絵ではなく窓外の現実風景にこれら絵画のような理想的風景
                             を造り上げることを望むようになったのであった。風景式庭園の基礎を築いたウィリアム・ケ
                             ントが、庭師の経験のない画家だったことは、象徴的な事実である。
                              この流れを受け、18世紀イギリスにおいて、庭園の中に自然風景の美しさを入れようとす
                             る動きが現れたが、反面アントニー・アシュリー=クーパー (第3代シャフツベリ伯爵) など
                             は、あるがままの自然を賛美し、これを人工の整形式庭園の美学と正反対のものとして批判を
                             述べている。(1709年『モラリストたち』)

                                                      ○

                              イングリッシュガーデン「バラクラ」は、当初、2500本もの草花を英国から移植したと
                             のこと。その後山田家族たち自らが植えた植物たちが美しく見事に成長していた。
                              山田氏は英国園芸界を代表する多くの指導者達の協力を仰ぎ、英国ランドスケープデザイナ
                             ーズ協会会長を務めるジョン・ブルックス氏をはじめ、植物の専門家やバラの研究者など、多
                             くの領域からも参画を得ている由、今や「蓼科のバラクラ庭園」は英国の権威ある専門書に収
                             録されたり、米国のテレビにも紹介される存在となり、人気を得ている。
                              まだ薔薇のシーズンには早いので、主役の薔薇は生育中であったがにもかかわらず、駐車場
                             は一杯になるほどの参観者であった。上手に手入れのされた山桜や辛夷の木を後背に常緑の芝
                             生を囲む散策路に沿って、色とりどりの、チューリップ、クレマチス、さまざまなスミレやパ
                             ンジーが美しく咲いていた。
                              早咲きの薔薇垣に囲まれたテラスで、併設されたフードコートの豪華なケーキを戴き、コー
                             ヒーを飲んで時を過ごしてきた。
                              再び薔薇のシーズンに訪れてみたい。                        
                                                                                  (風次郎)          

  
                            テラスでご機嫌のはな

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