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風次郎の『八ヶ岳山麓通信』No128
マツバボタン
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2005年7月16日
百合
風次郎
fuujiro@jcom.home.ne.jp
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南天寮の庭には百合がたくさん咲いていた。ほとんどがオニユリ(家ユリ)
で、百合のなかまでは比較的茎が太く、しっかりと毛羽だった感じのその先
に黒い点のある深紅の花を咲かせて夏の到来を告げた。
父や母がここに生活していたころは、庭というよりは家の周囲は畑であり、
そのあちこちに母が植え込んだものが増えて残ったものと解っていた。
風次郎の妻はなも百合が好きで、他所に家を持ってここに通うようになっ
てからも、ここに白い花の咲くヤマユリの球根をいくつも植え、盛夏の庭先
は赤と白の百合がその大きな花の形ゆえに目立っていた。
いま、庭には百合の花がまったくない。
昨年、初夏からあちこちに芽を出すはずの百合はたったの一本しか芽を出
さず、それも弱々しく萩の小木のわきに立っていたのだが、ついに花をつけ
ずに夏は終わってしまった。
“どうしたのかなあ”
と、はなと私は庭に下りるたびに百合を思い浮かべて不思議をの感を交わし
あったが、結局、モグラの食糧になってしまったのかもしれないと、諦めた
のであった。昨年は春先から夏にかけてモグラが木立の間から芝生のあちこ
ちにさえも土を盛り上げ、なおすのに閉口したのだった。
モグラは今年もあばれたが、いったい百合を食べつくしたあと何を漁った
のだろう。
もちろん、今年も寮の庭に百合はない。
球根をたくさん仕入れて、また百合の咲く夏の庭を復活させたいと思って
いるのだが。
その間、八ヶ岳の麓に町が創りあげた数千本の百合園を見に行くことにし
ている。こちらは壮大で海外からの新種と思われる何種類もの花が色鮮やか
に咲く。
そしてまた、国道20号線、富士見峠から富士見小学校へ登る坂道の左手に、
もう一箇所『白林荘』と呼ばれるもと犬養毅氏(226事件の当事者・首相)
のつかった別荘の敷地に立ち入りをお願いして、山林の中に咲くヤマユリを
眺めて歩く。『白林荘』の由来となった白樺の木はかなり少なくなって落葉
松が目立つようになったが、ヤマユリがあちこちに咲いている。木漏れ日の
中で静かに揺れる白い百合の花は高原そのものの風情である。
来年は南天寮の庭に何本の百合が咲くだろうか。
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