☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
風次郎のColumn『東京楽歩』
(No471H−030)
やつで―1―
東京楽歩(H-471) 私的花語り(No30) やつで 2016.初冬
居間の窓越しにはお隣との境に椿があり、その下に「やつで」が花を咲かせている。椿の花に比べ
たら色合いは勿論、花らしさから言っても愛でる対象とは言い難いようにも思う。
にも拘らず、方々の家の庭に植えられているのは別名「天狗の羽団扇」(てんぐのはうちわ)と
言われるでかい葉っぱに、魔物を追い払う力があると伝えられてこの別名がついたらしく、家の守
役をとの縁起担ぎのようである。縁起担ぎも、生活の知恵と思えば許せるように思う。
秋たけなわに山茶花の花が咲き終わる今の頃、「やつで」の球状の散形花序がさらに集まって大き
な円錐花序をつくる。花びらは小さいが、花茎を含めて黄白色でよく目立つ花ではある。他の花が少
ない晩秋にに咲くので、天気の良い気温が高い日はミツバチやハナアブ、などが飛んできていること
もある。
この花は昆虫の少ない真冬に開花するので、受粉のため多くの昆虫を引き寄せる必要があり、特
別甘い蜜を蓄えているのだと聞いた。
「やつで」は日本が原産地で東北地方を北限とし、沖縄まで生育しているとのことだ。日本原産故か、
日本では古くから親しまれており、方々の家の庭だけでなく、公園にもよく植えられているのを見るこ
とができる。。
名前の「やつで」から、葉っぱが8枚と思われることが多いのだが、実際は、7〜11枚ほどに
葉先が分かれているのが普通(8つに裂けることは実際は稀)で、しかも葉の数が奇数に別れると
いう特徴があるそうである。
葉は肉厚の常緑低木である。日陰でもよく育つ丈夫さは、冬の緑が欲しい家の庭には欠かせない。
葉を「手」に見立て、「八」は、”数が多い”からという意味からくる命名と考えるのが分かり易いと思う。
20〜40cmの葉っぱは、表面に光沢があり、葉の縁は細かいギザギザになっている。その葉の姿か
ら「天狗の葉団扇」とも呼ばれるようになったのであろう。
晩秋から初冬に小さな白い花が集まって咲き、球状になり、冬から春にかけては白い花が果実を
つけ、徐々に黒く熟していく。翌年の春を終える頃には、黒くなった実を観ることができる。
○
ヤツデの花言葉は、『健康』『親しみ』『分別』『固い絆』、
「健康」は、枯れ葉や葉の傷みが目立たない光沢のある丈夫な葉に由来しているとか。
魔除けに加えて手堅い花言葉である。
葉を乾燥させたものは「八角金盤」と呼ばれる生薬になり、去痰などの薬として用いられという。
しかし、葉などにはヤツデサポニンという物質が含まれ、過剰摂取すると下痢や嘔吐、溶血を起
こすため、昔は蛆用の殺虫剤として用いていた由。古い鉄道駅の一角に栽培されていることが多い
のは、かつて汲み取り便所の蛆殺しにその葉を使っていたためといわれる。
尚、日本原産に加えて、以下の種類もある。
フクリンヤツデ(覆輪ヤツデ) 葉っぱに白い斑がある品種
キモンヤツデ(黄紋八手) 葉っぱにクリーム色や黄色の斑が入った園芸品種
リュウキュウヤツデ 南西諸島に分布する、葉色や肉厚が薄い品種で、裂ける葉も細い特徴あり
タイワンヤツデ 台湾に分布する品種
ムニンヤツデ 小笠原諸島が原産の品種
キアミガタヤツデ 葉脈に沿って黄色い斑が入る品種
ツムギシボリ 白砂子斑入りの品種、葉の縁に白い砂が散りばめられた様な人気種
○
艶やかさ漂う花も少なくなり、去りゆく落葉樹の赤黄が彩る時節になった。巡る自然界の静ま
っていくひと時を思うこの頃である。
風次郎
やつで―2―
メルマガ・風次郎の「東京ジョイライフ」「私的花語り」No31へ
メルマガ・風次郎の「東京ジョイライフ」トップへ
風次郎の「東京ジョイライフ」ホームページのトップへ
風次郎の「八ヶ岳山麓通信」のトップへ
風次郎の「世界旅」へ