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        風次郎の『八ヶ岳山麓通信』No 7


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             白鳥は旅立った!
白鳥の写真 
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Sumire/4066/merumaga/   =1枚
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Sumire/4066/gallery/hakutyou.htm =4枚


 白鳥達は春の来るのがが遅れていることを知っていたんだ。
 「春はまだ来ていないよ。」「まだ旅立ちはしないよ。」と、
 一族のリーダーは、長旅の訓練を終えてはやる子白鳥達を抑えて、
 その時を見極めていたに違いない。
     〇
 11日の朝、風次郎は上川のコハクチョウの越冬場所で車を止めた。
     
 「まだいるんだね。」
 「ああ、いつまでも寒いでなあ」
 上川白鳥の会の岡村会長は、今期は11月16日以来ここに葦小屋まで建てて
世話をしている。今年は例年より多くの白鳥がここで越冬した。一番多いときは
580羽もいたということだ。
 「まだ400いるよ。」
目を細める岡村さんは冬が長引く方が仕合わせな人。彼は白鳥が去れば寂しい。
 今年は数が増えて賑わったのでえさを与えるのも大変だったが、見に来る人が
川辺の葦に入り過ぎるのに気をもんだりもした。このあいだは、幼鳥に樹脂製の
袋が絡みつき危なかったところを救出もした。彼(岡村氏)は怪我をしたけれど‐‐‐。
 地元紙(長野日報)は「まだ帰らないの?」(3/5)、「白鳥と別れの季節、
北帰行始まる」(3/7)と紙面で報道したが、10日を過ぎても白鳥達は毎朝通勤
途上の風次郎に「くあっ、くあっ」と元気な声を聞かせてくれていた。
 寒さも緩みはしなかった。
     
 だから風次郎は『白鳥帰らず!』とメルマガを書かねばならないと思っていた。
これが今年の白鳥達との別れになるとも思わずカメラを向けていた。
     〇
 コハクチョウ達は確かに12日の朝はいたのだ。まだ賑わっていた。そして‐
‐‐‐‐
 13日には一羽もいなくなった。
 静かになった彼らの冬の棲みかを訪れると昼の陽光が小さな川面のうねりを光
らせているばかりだった。たまたまラジオの予報が週末は暖かくなると伝えてい
た。
 岡村さんはいなかった。いつも勢い良く燃えていた焚き火の燃えさしが燻って
いた。

 コハクチョウは行ってしまった。今ごろはまだ飛びつづけているのだろうか。
この高い空を、どのあたりを、飛んでいるのだろう。
 ある日、一斉に旅立つなんて、忽然といなくなるなんて風次郎は知らなかった。
 来年まで会えなくなるなんて、寂しい‐‐‐‐‐。


 そして春が来る。
 コハクチョウ達がざわめいていた川面には、もうカモ達の春の子育てをする姿が
群れている。これからは彼等が主役なのだ。

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