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風次郎の『八ヶ岳山麓通信』No 53


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                                      2004年2月07日
  
   東八つ                            風次郎
                                    fuujiro@jcom.home.ne.jp
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 麓は毎日晴天の気持ちよい1週間だった。
 夕暮れから真夜中にかけて雪の散らつく事はあっても、朝は晴れて中空に
ほぼ丸い月を浮かべながら星空が静かに回転していくのを眺めつつ
富士見高原中学の高台に登る日課を爽やかに過ごす。
 今朝、陽が昇り始めた頃八ヶ岳を見たら雲ひとつない青空が広がっている。
寒いときの八ヶ岳を朝の東側から撮ろうと狙っていたのだが、
暮れから2回の野辺山行きにもかかわらず、着いて見るとガスに囲まれたり、
雪に見舞われたりで今年の“冬八つアルバム”には東側が欠けている。
「よし!今日こそ」と車を繰り出した。
 標高1100mの通称「鉢巻道路」あたりは昨晩散った雪が薄っすらと
道路を覆い木々は霧氷で華やかな化粧姿であった。
 小淵沢インターから連なる八ヶ岳エコーライン(誰がつけた名か)を左へ走ると
すぐに八ヶ岳牧場の中を通る。
そこからの南アルプスは、牧場の緑(今は白一色)落葉松林、
釜無の谷を隔てて前山の横の連なりの上に乗っかった甲斐駒ケ岳と鳳凰三山、
富士に次ぐ本邦第2位の頂点を誇る北岳の眺めが、
その高さを景観として味わえるビューポイントである。
しかし今朝は谷を渡るガスが遅い渡航の最中であった。
このビュウは今朝は諦めるしかない。
気温の上がる帰りの時間には大抵陽に照らされた地上の気温の上昇で
霞がかってしまうのだから。
 権現、編み笠の沢から続く谷を3つほど越えると牧場(まきば)公園の高台に着く。
ここからは富士が良い。南アルプス連山の切れたあたりに浮かぶ富士を、
見下ろす感じで捕らえられる。が、これも今朝は駄目。
しかし、振り返ると権現の山頂が嶮しさそのものに切り立って
谷を伴った姿で見られた。
 ここから清里の別荘地帯を経て野辺山までが、キレッドを挟んで
主峰赤岳の威容を思う存分眺められる道筋だ。
今朝は幾分残った南からのガスが取り巻いていたが、
待っている30分ぐらいのうちに晴れて、
道路脇の樹氷とともに嶮しくも美しい姿を見せてくれた。
 八ヶ岳の魅力は当にこれだと思う。
 久しぶりに見た東八つの姿を追いながら野辺山駅前から農場に入り、
雪野原の中で暫しのときを過ごす。
 至福の時を感ずるのである。
雪の原を時折煽るような風が渡って来る。
何を語るのか、山の挨拶は彼らが唸り、ささやく言葉でしかない。
手招きをするススキも、立ち枯れた背の高い雑草たちも、
まだ雪にしっかり抱きこめられて冬を過ごしている。

 山の気の良い挨拶はほんの一時であるらしい。
峰は今日もお決まりの吹雪を山の神から戴くのであろうか。
 それが冬なのだから。
まだ真冬なのだから。
 
 里はそれとなく春の気配を感ずるようになってきた。

                     (風次郎)