諏訪湖畔にて(1) 諏訪湖畔にて(2)
中央道諏訪湖ssの紅葉 中央道諏訪湖ssから八つの夕映え
富士見高原からの八つ
月曜日の朝、奥多摩街道から八王子インターに向かうときに、まだ朝もやのかかる多摩川の大橋を渡りながら眺めると、多摩川の川霧につつまれた茅の穂と並び、川中の瀬に生えた雑木の紅葉がほのかに映るのである。武蔵野の紅葉はまだ始まったばかりなのだと思う。
濃い朝の霧は、中央道に乗って笹子の山にかかるまでつづき、山影さえ見えない事が多い。秋から冬にかけて山を下りる冷気が脈々と続く谷合をうねる道路にガスをもたらしているのだ。しかし、この季節、朝動く霧のかかるの日は、きまって好天快晴となる。ちょうど笹子トンネルを出て、明るくなった空と同時に開ける甲府盆地に朝日が射しこむのを見る事ができればラッキーだ。大抵は霧の海というよりガスたまりのなかへ車は下りていくのである。ここですっきりと山が眺められるのは12月にはいって山々が雪を戴いた頃の事になろう。
今の季節、この霧の中を走る朝は、甲府盆地を通りすぎて白州、大武川の辺りまで来て、やっと白雲たなびかせた南アを眺められる事になる。しかも、朝陽に輝く峰、そして、その光の中で霧の流れて行ったあとに広がる、濡れて光る山肌の彩りは絶好である。紅葉の醍醐味が味わえる。
10月も半ばを過ぎた。
白いススキの、ほだけはじめた穂が、少々の風に揺れているその先は、楓の紅、白樺の黄、豆蔦の橙。野の枯草のうすくなった緑をベースに、重なる山々の紅葉絵巻は信州に入ってさらに延々とつづく。
富士見から諏訪の平にかけては、西山山塊と八ケ岳の落ち合うなだらかな谷である。この谷から左(西山)、右(八ケ岳)の山脈を眺めると中腹が紫に映るのが今頃である。もちろん朝陽の中で彩りを輝かせるのは西山であるが、反面八ケ岳が、午後3時を過ぎた頃から夕陽を浴びて見せる紫、赤、黄、そして裾野の松林の中に落葉松がその橙を映すようになると、秋たけなわである。八ケ岳から諏訪湖にそそぐ川辺から湖畔にかけて一面の茅の穂が陽か落ち始め、あたりが夕闇に入るまでやわらかな白で前景をととのえんとつづくのだ。
暗くなっても山の影に太陽の存在が知らされるほどの明かりは、八つの峰に暫く残る。やがて澄んだ空気だからこそ、赤岳や権現の小屋の灯かりが懐かしい星のように光り始める。
秋の日は、一日中草木の彩りに心引かれ、そのまま私の週末である金曜日まで夢心地でいたい気分になる。 (01.10.25 風次郎)